低栄養と浮腫の関係
看護師国家試験 第105回 午後 第14問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
浮腫が生じやすいのはどれか。
- 1.甲状腺機能亢進症(hyperthyroidism)
- 2.過剰な運動
- 3.低栄養
- 4.熱中症(heatillness)
対話形式の解説
博士
浮腫の成り立ちにはどんな機序があるか答えられるかな?
アユム
毛細血管圧の上昇、膠質浸透圧の低下、血管透過性の亢進、リンパ流障害の4つですよね。
博士
よく覚えておるな。今回の問題は4つの選択肢のうち浮腫が生じやすいものを選ぶ問題じゃ。
アユム
選択肢を見ると、低栄養が浮腫と関係ありそうです。
博士
その通り、正解は3の低栄養じゃ。栄養不足でアルブミンが合成できなくなると、血漿膠質浸透圧が下がって水分が血管外に漏れてしまうのじゃ。
アユム
血清アルブミン値がどのくらいで浮腫が出るのですか?
博士
目安として3.0g/dLを下回ると浮腫が出やすくなる。クワシオルコルという重度栄養障害では腹水や全身性浮腫がみられるのじゃ。
アユム
1の甲状腺機能亢進症はなぜ違うのですか?
博士
甲状腺ホルモン過剰で代謝がぐんと上がり、発汗・頻脈・体重減少が主症状になる。浮腫はむしろ機能低下症の粘液水腫で特徴的じゃよ。
アユム
2の過剰な運動はどうですか?
博士
運動では発汗が増え、血流も良くなるから水分は外に出ていく。脱水方向に傾くので浮腫は起こりにくいのじゃ。
アユム
4の熱中症も同じですね。
博士
そうじゃ、高温環境で大量発汗と水分摂取不足が重なり、循環血液量は減少する。むくみどころか脱水が問題となるのじゃ。
アユム
浮腫の種類にも色々ありますよね。
博士
そうじゃ、圧痕性と非圧痕性がある。低栄養や心不全では圧痕性、甲状腺機能低下症の粘液水腫は非圧痕性が特徴じゃ。
アユム
看護のポイントも教えてください。
博士
浮腫部位は皮膚が脆弱になるから、保湿・圧迫予防・下肢挙上・塩分制限が基本じゃ。栄養状態の把握も看護アセスメントの要じゃよ。
POINT
浮腫が生じやすいのは低栄養で正解は3です。アルブミン合成低下により血漿膠質浸透圧が下がり、血管内の水分が間質へ漏出して全身性浮腫が出現します。甲状腺機能亢進症・過剰な運動・熱中症は発汗や代謝亢進によりむしろ脱水傾向となるため浮腫は起こりにくい病態です。看護では血清アルブミン値や皮膚状態の観察、塩分制限や保湿などが基本となります。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:浮腫が生じやすいのはどれか。
解説:正解は 3 です。浮腫は細胞間質に水分が過剰貯留した状態で、発生機序は主に毛細血管圧上昇、血漿膠質浸透圧低下、血管透過性亢進、リンパ流障害の4つです。低栄養では食事由来のアミノ酸不足から肝臓でのアルブミン合成が低下し、血漿膠質浸透圧が下がって血管内の水分が間質に漏出し、全身性の浮腫(クワシオルコルなど)を生じます。血清アルブミン値が3.0g/dL未満になると浮腫が出現しやすくなります。
選択肢考察
-
× 1. 甲状腺機能亢進症(hyperthyroidism)
代謝亢進により発汗・体重減少・頻脈・振戦が主症状で、浮腫はむしろ甲状腺機能低下症(粘液水腫)で特徴的です。
-
× 2. 過剰な運動
発汗と血流増加により体液は失われやすく、脱水・電解質異常の方向に傾くため浮腫は起こりにくいです。
-
○ 3. 低栄養
アルブミン合成低下による膠質浸透圧低下で水分が間質へ移動し、全身性浮腫を生じやすくなります。
-
× 4. 熱中症(heatillness)
高温環境で大量発汗や経口摂取不足から脱水となり、循環血液量は減少するため浮腫は通常起こりません。
浮腫の原因別では、心不全(右心不全)は下腿から始まる圧痕性浮腫、肝硬変は腹水+下腿浮腫、腎性ネフローゼ症候群では眼瞼浮腫が特徴的です。甲状腺機能低下症の粘液水腫は指圧しても圧痕が残らない非圧痕性浮腫が特徴です。看護では浮腫部位の皮膚は乾燥・損傷しやすいため保湿と保護が重要で、塩分制限や下肢挙上、弾性ストッキングなども基本的ケアです。
浮腫の発生機序のうち、膠質浸透圧低下による浮腫を引き起こす病態を選べるかを問う必修問題。
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