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HbA1cでわかる血糖コントロールの全体像

看護師国家試験 第105回 午前 第15問 / 必修問題 / 徴候と疾患

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第15問

糖尿病(diabetes mellitus)の血糖コントロールの指標となる検査値はどれか。

  1. 1.総ビリルビン
  2. 2.総コレステロール
  3. 3.グリコヘモグロビン
  4. 4.クレアチニンクリアランス

対話形式の解説

博士 博士

今日は糖尿病の血糖コントロール指標、HbA1cの話じゃ。グリコヘモグロビンとも呼ばれるが、なぜこれが重要かわかるかな?

サクラ サクラ

血糖値って食事で上下しますよね。それをどうやって長期で評価するんですか?

博士 博士

よい疑問じゃ。血糖値は刻々と変動するが、HbA1cは赤血球中のヘモグロビンにブドウ糖がくっついた『糖化ヘモグロビン』の割合を示す。赤血球の寿命は約120日じゃから、過去1〜2か月の平均血糖が見えるんじゃ。

サクラ サクラ

食事の直後でも測れるのがいいですね。

博士 博士

そう、食事の影響を受けないから、外来でいつ測っても信頼できる数値が出る。日本糖尿病学会では合併症予防のためにHbA1c 7.0%未満、厳格な血糖コントロールなら6.0%未満を目標にしておる。

サクラ サクラ

診断基準ではどう使うんですか?

博士 博士

HbA1c 6.5%以上は糖尿病型じゃ。ただし単独で診断はできず、空腹時血糖126以上、75gOGTT2時間200以上、随時血糖200以上のいずれかと組み合わせて診断する。

サクラ サクラ

他の選択肢はどう違うんですか?

博士 博士

総ビリルビンは黄疸の指標で肝胆道系疾患評価、総コレステロールは脂質代謝評価、クレアチニンクリアランスは腎機能(GFR)の指標じゃ。いずれも糖尿病患者で合併症評価に使われるが、血糖そのものを評価するものではない。

サクラ サクラ

糖尿病腎症の評価にはクレアチニンクリアランスを使うんですね。

博士 博士

その通り。糖尿病は合併症評価が重要で、腎機能(クレアチニン、eGFR、尿アルブミン)、眼底検査(網膜症)、神経学的検査(神経障害)の三大合併症を定期チェックする。さらに脂質異常症・高血圧・動脈硬化も合併しやすい。

サクラ サクラ

HbA1cでは見えない血糖変動はどうしたらいいですか?

博士 博士

HbA1cは平均値だから、低血糖と高血糖が相殺されると見えなくなる。そこで自己血糖測定(SMBG)や持続血糖モニタリング(CGM)で日内変動を確認する。最近はTIR(Time in Range)という指標も注目されておるぞ。

サクラ サクラ

溶血性貧血だとHbA1cが正確に出ないと聞きました。

博士 博士

鋭いな。赤血球寿命が短くなる病態ではHbA1cが低く出る。その場合はグリコアルブミン(過去2週間)や1,5-AG(過去数日)といった補助指標を使う。妊娠中もHbA1cが参考程度になる。

サクラ サクラ

ありがとうございます。HbA1cだけで済ませない、全体像の評価が大切なんですね。

POINT

糖尿病の血糖コントロール指標の代表はグリコヘモグロビン(HbA1c)で、過去1〜2か月の平均血糖値を反映します。日本糖尿病学会の合併症予防目標は7.0%未満、診断基準では6.5%以上が糖尿病型とされます。総ビリルビンは黄疸、総コレステロールは脂質代謝、クレアチニンクリアランスは腎機能の指標であり、血糖評価には用いません。溶血性貧血や妊娠中など赤血球寿命が短い状況ではグリコアルブミンなどの補助指標を活用する、という応用知識まで押さえておきましょう。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:糖尿病(diabetes mellitus)の血糖コントロールの指標となる検査値はどれか。

解説:正解は 3 です。グリコヘモグロビン(HbA1c)は赤血球中のヘモグロビンがブドウ糖と非酵素的に結合した糖化ヘモグロビンで、その値は過去1〜2か月間の平均血糖値を反映します。赤血球の寿命が約120日であるため、血糖値が長期間高いほどHbA1cも高値を示します。食事の影響を受けず、食前・食後を問わず採血できることから、糖尿病の血糖コントロールを評価する最も標準的な指標として用いられます。日本糖尿病学会の合併症予防目標はHbA1c 7.0%未満(NGSP値)です。

選択肢考察

  1. × 1.  総ビリルビン

    総ビリルビンは赤血球のヘム代謝産物で、主に黄疸の有無や肝胆道系疾患の評価に用いる検査値です。基準値は約0.2〜1.2mg/dLで、血糖コントロールの指標ではありません。

  2. × 2.  総コレステロール

    総コレステロールは脂質代謝を評価する指標で、動脈硬化や脂質異常症のリスク評価に用いられます。糖尿病では合併症として脂質異常症が重要ですが、血糖そのものの指標ではありません。

  3. 3.  グリコヘモグロビン

    HbA1cは過去1〜2か月の平均血糖値を反映する指標で、糖尿病の診断基準(6.5%以上)と治療目標の両方に使用される代表的な血糖コントロール指標です。

  4. × 4.  クレアチニンクリアランス

    クレアチニンクリアランスは腎糸球体濾過量(GFR)を評価する腎機能の指標で、基準値は約90〜120mL/分です。糖尿病腎症のモニタリングに用いられますが、血糖コントロール指標ではありません。

糖尿病の診断基準(日本糖尿病学会2019)は、(1)空腹時血糖126mg/dL以上、(2)75gOGTT2時間値200mg/dL以上、(3)随時血糖200mg/dL以上、(4)HbA1c 6.5%以上、のいずれかを満たし、別の日に再確認することです。HbA1c以外の血糖関連指標として、グリコアルブミン(過去2週間の平均血糖を反映)や1,5-AG(過去数日の高血糖状態を反映)もあり、溶血性貧血や妊娠中など赤血球寿命が短くなる状態ではHbA1cが正しい値を示さないため、これらの補助指標が活用されます。

糖尿病の血糖コントロール指標としてHbA1cを選べるかを問う必修問題です。