胸痛といえば急性心筋梗塞!4疾患の主症状をスッキリ整理
看護師国家試験 第106回 午前 第13問 / 必修問題 / 徴候と疾患
国試問題にチャレンジ
胸痛を訴えるのはどれか。
- 1.髄膜炎( meningitis )
- 2.腎結石( renal stone )
- 3.急性心筋梗塞( acute myocardial infarction )
- 4.Ménière〈メニエール〉病( Ménièreʼs disease )
対話形式の解説
博士
今日は胸痛を訴える疾患はどれか、という問題じゃ。選択肢の4疾患、それぞれ主症状を言えるかな?
サクラ
えっと、髄膜炎は頭痛と発熱、腎結石は腰の痛み、メニエール病はめまい…で、急性心筋梗塞が胸痛ですね。
博士
うむ、正解はまさにそれじゃ。ではもう少し掘り下げようか。
サクラ
急性心筋梗塞の胸痛って、どんな痛みなんですか?
博士
典型的には『胸が締め付けられる』『象に踏まれたよう』と表現される強い絞扼感や圧迫感じゃ。30分以上持続し、安静やニトログリセリンでも改善しないのが特徴じゃ。
サクラ
安静で治まらないのがポイントなんですね。狭心症だと治まるんですか?
博士
良い質問じゃ。安定狭心症は数分〜15分以内で軽快し、ニトロが効く。心筋梗塞はニトロが無効で痛みが長く続く。ここが大事な鑑別点じゃ。
サクラ
胸以外の場所に痛みが出ることもあるんですか?
博士
あるとも。左肩・左腕・頸部・下顎・心窩部(みぞおち)に放散することが多い。だから胃の痛みだと思って消化器科を受診する患者さんもおる。
サクラ
見落としそうで怖いです。
博士
さらに高齢者や糖尿病患者では痛みが軽く、息切れや冷汗・倦怠感だけの『無痛性心筋梗塞』もある。これも要注意じゃ。
サクラ
髄膜炎の項部硬直って何ですか?
博士
仰臥位で首を前屈させると抵抗と痛みが出る徴候じゃ。Kernig徴候・Brudzinski徴候と合わせて髄膜刺激症状という。
サクラ
腎結石の痛みは?
博士
結石が尿管に詰まると、側腹部から背部、鼠径部へ放散する激しい疝痛発作じゃ。血尿を伴うことも多い。胸痛ではない。
サクラ
メニエール病の回転性めまいって、グルグル回る感じのめまいですよね。
博士
その通り。内リンパ水腫が原因とされ、難聴・耳鳴・耳閉感の3徴が特徴。胸痛とは無関係じゃ。
サクラ
胸痛で救急外来に来たら、まずどんな鑑別を考えるんですか?
博士
『killer chest pain』として心筋梗塞・大動脈解離・肺塞栓症・緊張性気胸・食道破裂の5つを絶対に見逃してはならん。心電図・トロポニン・胸部画像で素早く評価するのじゃ。
POINT
急性心筋梗塞は冠動脈の閉塞により心筋が壊死する疾患で、30分以上続く前胸部の絞扼感・圧迫感が典型症状です。冷汗・悪心・呼吸困難・左肩や下顎への放散痛を伴い、ニトログリセリンが無効という点で狭心症と鑑別されます。一方、髄膜炎は頭痛・発熱・項部硬直、腎結石は尿管疝痛、メニエール病は回転性めまいと難聴・耳鳴が主症状であり、いずれも胸痛は起こしません。胸痛は心筋梗塞以外にも大動脈解離や肺塞栓症など致死的疾患で生じるため、看護師は迅速なトリアージと早期治療への結び付けが求められます。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:胸痛を訴えるのはどれか。
解説:正解は 3 です。急性心筋梗塞は冠動脈がアテローム血栓などで急に閉塞し、その灌流領域の心筋が虚血・壊死に陥る疾患。典型症状として30分以上持続する強い前胸部痛・絞扼感・圧迫感があり、冷汗・悪心・嘔吐・呼吸困難・左肩や頸部・下顎への放散痛を伴うことが多い。ニトログリセリンが無効な点も狭心症との鑑別ポイントとなる。
選択肢考察
-
× 1. 髄膜炎( meningitis )
髄膜炎は脳や脊髄を覆う髄膜の炎症で、発熱・頭痛・嘔吐・項部硬直・Kernig徴候・意識障害などが特徴。胸痛を主訴とすることはない。
-
× 2. 腎結石( renal stone )
腎結石では結石が尿管に嵌頓すると側腹部〜背部〜鼠径部に放散する激しい疝痛(尿管疝痛)、血尿、悪心・嘔吐を呈する。胸痛は起こらない。
-
○ 3. 急性心筋梗塞( acute myocardial infarction )
冠動脈の閉塞による心筋虚血壊死で、30分以上持続する強い前胸部痛・絞扼感が典型症状。冷汗・呼吸困難・放散痛を伴い、ニトログリセリンで改善しない。
-
× 4. Ménière〈メニエール〉病( Ménièreʼs disease )
内リンパ水腫が原因とされる内耳疾患で、回転性めまいの反復発作、難聴、耳鳴、耳閉感を呈する。胸痛は出現しない。
胸痛の鑑別では「見逃してはいけない(killer chest pain)」として、急性心筋梗塞・急性大動脈解離・肺塞栓症・緊張性気胸・食道破裂を押さえる。急性心筋梗塞の初期対応はMONA(Morphine、Oxygen、Nitrate、Aspirin)と心電図(ST上昇の有無)、心筋トロポニン測定、発症後早期の再灌流療法(PCIや血栓溶解療法)が重要。高齢者・糖尿病患者では典型的胸痛を伴わない無痛性心筋梗塞もあるため注意。
各疾患の主症状を整理し、胸痛を主訴とする疾患を選ぶ問題。疾患ごとの代表症状のマッチングが重要。
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