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身体拘束の3要件、言えますか?切迫性・非代替性・一時性を理解する

看護師国家試験 第112回 午前 第54問 / 老年看護学 / 老年看護の基本

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第54問

高齢者の身体拘束に関する説明で適切なのはどれか。

  1. 1.身体拘束の実施は担当看護師が決定する。
  2. 2.ミトン型の手袋の使用は身体拘束ではない。
  3. 3.本人が身体拘束に同意していれば家族への説明は不要である。
  4. 4.切迫性、非代替性および一時性の全てを満たしている場合に検討される。

対話形式の解説

博士 博士

今日は高齢者の身体拘束じゃ。臨床で避けて通れないテーマじゃが、原則は「してはならない」というところから始めるぞ。

アユム アユム

どうして原則禁止なんですか?

博士 博士

身体拘束は高齢者の尊厳を著しく侵害し、さらに関節拘縮・筋力低下・褥瘡・誤嚥性肺炎・認知症の悪化・せん妄誘発など多くの弊害を招く。だから介護保険指定基準でも原則禁止とされておるのじゃ。

アユム アユム

でも点滴を抜いてしまう患者さんもいますよね。どうすればいいんですか?

博士 博士

そこで厚労省が示したのが「3要件をすべて満たす場合に限り、例外的にやむを得ず認められる」というルールじゃ。これが選択肢4の根拠じゃな。

アユム アユム

その3要件って何ですか?

博士 博士

一つ目が「切迫性」。本人または他人の生命・身体が危険にさらされる可能性が著しく高いこと。二つ目が「非代替性」。拘束以外の代替手段がないこと。三つ目が「一時性」。拘束が一時的なものであること。この3つすべてが同時に満たされる必要があるのじゃ。

アユム アユム

どれか一つでも欠けたら拘束できないんですね。

博士 博士

その通りじゃ。そしてこの判断は一人でやってはいかん。選択肢1の「担当看護師が決定」は誤りで、医師・看護管理者・担当看護師・介護職が多職種カンファレンスで協議し、医師の指示のもとに実施する。

アユム アユム

ミトン型手袋も拘束に入るんですか?

博士 博士

もちろんじゃ。手指の動きを制限して自分で外せない状態は、まぎれもなく身体拘束に該当する。厚労省は11の具体的行為を示しておるぞ。

アユム アユム

他にはどんなものがありますか?

博士 博士

ベッドや車椅子に体幹をひもで縛る、4点柵でベッドを囲って降りられなくする、つなぎ服、手足の抑制帯、行動制限目的の向精神薬の過剰投与なども身体拘束じゃ。

アユム アユム

本人が「縛ってもいいよ」と同意していれば家族への説明はいらないですか?

博士 博士

いや、必須じゃ。本人の同意だけでは不十分で、家族への説明と同意取得が必要じゃ。認知症で判断能力が低下している場合は特に重要で、実施中も定期的に経過を家族に報告する義務がある。

アユム アユム

拘束を減らすための工夫は何かありますか?

博士 博士

ルート類の工夫(衣服の下を通す、短くする)、見守りの強化、センサーマットの活用、活動時間や生活リズムの調整、原因疾患の治療(せん妄への対応)など、代替策の検討が大切じゃ。

アユム アユム

拘束しない看護を考えることが非代替性の判断につながるんですね。

博士 博士

その通り。身体拘束ゼロを目指す組織文化が最も重要じゃ。記録も態様・時間・理由を詳細に残すことが義務付けられておるぞ。

POINT

身体拘束は高齢者の尊厳を侵害し多くの身体的・精神的弊害を招くため、介護保険指定基準で原則禁止されています。やむを得ず実施できるのは「切迫性・非代替性・一時性」の3要件すべてを満たす場合に限られ、判断は担当看護師の独断ではなく多職種カンファレンスで行い、本人と家族の同意が必要です。ミトン型手袋、4点柵、体幹抑制帯、つなぎ服、行動制限目的の向精神薬なども身体拘束に該当し、実施時には態様・時間・理由の記録が義務付けられています。看護師は代替手段の検討と観察を通じて、身体拘束ゼロを目指す組織文化の醸成に貢献することが求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:高齢者の身体拘束に関する説明で適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」では、身体拘束は原則禁止とされ、やむを得ず実施できるのは「切迫性(生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく高い)」「非代替性(他に代替する介護方法がない)」「一時性(拘束が一時的である)」の3要件すべてを満たす場合に限られます。実施にあたっては医師・看護師長・担当者による多職種カンファレンスでの判断、本人・家族への説明と同意、拘束内容・時間・観察記録の残存が必須です。

選択肢考察

  1. × 1.  身体拘束の実施は担当看護師が決定する。

    担当看護師の独断で決定してはならない。医師・看護管理者・担当看護師・介護職など多職種カンファレンスで緊急性と必要性を協議し、本人・家族の同意を得た上で医師の指示のもとに実施する。

  2. × 2.  ミトン型の手袋の使用は身体拘束ではない。

    ミトン型手袋は手指の動きを制限し、自分で外せない状態にするため、厚労省が定める身体拘束の11行為の一つに該当する。車椅子への固定、ベッド柵を4点で囲う行為なども身体拘束にあたる。

  3. × 3.  本人が身体拘束に同意していれば家族への説明は不要である。

    本人の同意があっても家族への説明と同意取得は必須。拘束の目的・方法・時間・解除条件を説明し、文書で同意を得て、実施中も定期的に経過を家族に説明する。

  4. 4.  切迫性、非代替性および一時性の全てを満たしている場合に検討される。

    3要件のすべてを満たす場合にのみ、例外的にやむを得ず認められる。いずれか一つでも欠けていれば身体拘束は実施できない。

厚労省が身体拘束と定める具体的行為の例:徘徊防止のためにベッドや椅子にひもで縛る、転落防止のためにベッドを4点柵で囲う、点滴抜去防止のために手足を縛る、ミトン型手袋、つなぎ服の着用、向精神薬の過剰投与など。身体拘束による弊害には、関節拘縮・筋力低下・褥瘡・誤嚥性肺炎・認知症悪化・せん妄誘発・尊厳の侵害などがある。介護保険指定基準では、やむを得ず身体拘束を実施した場合、その態様・時間・入所者の心身の状況・やむを得ない理由を記録することが義務付けられている。

身体拘束の3要件(切迫性・非代替性・一時性)と、組織的判断・家族同意の必要性を問う問題。高齢者の尊厳に直結する重要テーマ。