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高齢者PEMの基本と評価指標を整理しよう

看護師国家試験 第103回 午後 第54問 / 老年看護学 / 健康状態・受療状況に応じた看護

国試問題にチャレンジ

103回 午後 第54問

高齢者の蛋白質・エネルギー低栄養状態〈protein-energy malnutrition:PEM〉について正しいのはどれか。

  1. 1.体脂肪の消耗はみられない。
  2. 2.要介護度が高いほどPEMの発症率は高い。
  3. 3.PEMの発症率は心疾患によるものが最も高い。
  4. 4.栄養指標は血清アルブミン3.7g/dl以下である。

対話形式の解説

博士 博士

じゃこ博士じゃ。今日は高齢者の蛋白質・エネルギー低栄養状態、PEMについてじゃぞ。

アユム アユム

PEMって最近よく聞きますが、どんな状態ですか?

博士 博士

エネルギーと蛋白質の摂取不足で、骨格筋や体脂肪が消耗していく状態じゃ。フレイルやサルコペニアの基盤にもなる重要な病態じゃよ。

アユム アユム

選択肢を見ていきましょう。

博士 博士

正解は2の「要介護度が高いほどPEMの発症率は高い」じゃ。要介護度が高まるとADLが落ちて、自力で食事を摂るのが難しくなるからのう。

アユム アユム

1の「体脂肪の消耗はみられない」はどうですか?

博士 博士

逆じゃ。エネルギー不足を補うために脂肪が動員されて体脂肪が消耗し、同時に筋蛋白も分解されるのじゃ。マラスムス型では特に著明じゃぞ。

アユム アユム

3の「心疾患によるものが最も高い」は?

博士 博士

違うのじゃ。高齢者PEMの主因は加齢による食欲不振、口腔機能低下、嚥下障害、認知症などの摂食関連要因じゃ。心疾患は主因ではないのじゃよ。

アユム アユム

4の「血清アルブミン3.7g/dl以下」はどうですか?

博士 博士

カットオフは3.5g/dL以下が一般的じゃ。3.7g/dLはまだ正常域じゃから誤りじゃ。

アユム アユム

アルブミン値で評価できるんですね。

博士 博士

アルブミンは半減期が約20日と長くて慢性的な栄養状態を反映するのじゃ。短期評価ならトランスサイレチン、半減期2日のものを使うのじゃよ。

アユム アユム

評価ツールには何がありますか?

博士 博士

MNA-SFという簡易栄養状態評価表が有名じゃ。体重減少、BMI、食事摂取量、移動能力、ストレス、神経精神的問題の6項目で総合判定できるのじゃ。

アユム アユム

サルコペニア対策には運動も大事ですよね。

博士 博士

その通りじゃ。栄養介入だけでなくレジスタンス運動を併用してこそ筋量が維持できるのじゃぞ。

POINT

PEMはエネルギーと蛋白質の不足により体脂肪・筋蛋白が消耗する状態で、要介護度が高まるほど発症率が上昇します。主因は加齢による摂食関連要因で、低栄養指標の血清アルブミンは3.5g/dL以下がカットオフです。MNA-SFで評価し、栄養介入と運動療法の併用が基本となります。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:高齢者の蛋白質・エネルギー低栄養状態〈protein-energy malnutrition:PEM〉について正しいのはどれか。

解説:正解は 2 です。PEM(蛋白質・エネルギー低栄養状態)は、エネルギーと蛋白質の摂取不足により体組成が変化し、筋蛋白や体脂肪が消耗する状態です。高齢者では加齢に伴う食欲低下・嚥下機能低下・認知機能低下などにより発症しやすく、要介護度が高まるほどADLが低下し自力での摂食が困難となるため、PEMの発症率は明確に上昇します。指標としては血清アルブミン3.5g/dL以下が低栄養とされ、体重減少率やBMIと併せて総合的に評価します。

選択肢考察

  1. × 1.  体脂肪の消耗はみられない。

    PEMではエネルギー不足を補うため貯蔵脂肪が動員されて体脂肪が消耗し、同時に骨格筋の蛋白質も分解されます。マラスムス型では特に著明にみられます。

  2. 2.  要介護度が高いほどPEMの発症率は高い。

    要介護度が高いほどADLが低下し、摂食動作の困難・嚥下障害・寝たきり・認知症進行などが重なるため、自力での十分な栄養摂取が難しくなりPEM発症率が高まります。

  3. × 3.  PEMの発症率は心疾患によるものが最も高い。

    高齢者PEMの主因は加齢による食欲不振・口腔機能低下・嚥下障害・認知症などの摂食関連要因であり、心疾患が最大の原因ではありません。

  4. × 4.  栄養指標は血清アルブミン3.7g/dl以下である。

    低栄養を示す血清アルブミン値のカットオフは3.5g/dL以下が一般的で、3.7g/dLは正常域です。アルブミンは半減期が約20日と長く慢性的な栄養状態を反映します。

高齢者の栄養評価にはMNA-SF(簡易栄養状態評価表)が広く用いられ、体重減少・BMI・食事摂取量・移動能力・精神的ストレス・神経精神的問題から総合評価します。サルコペニアやフレイルとも密接に関連し、栄養介入と運動療法の併用が重要です。短期指標としてはトランスサイレチン(プレアルブミン、半減期2日)も活用されます。

高齢者PEMの発症要因・指標・体組成変化を正しく理解しているかを問う問題です。アルブミン3.5g/dL以下、要介護度との相関、加齢関連要因が主因という3点を押さえます。