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高齢者の恋愛感情への共感的対応

看護師国家試験 第104回 午後 第59問 / 老年看護学 / 健康状態・受療状況に応じた看護

国試問題にチャレンジ

104回 午後 第59問

Aさん(70歳、女性)は、夫のBさんと死別し、軽費老人ホームに入居している。Aさんは「今、再婚をしたいと思う好きな人ができたのに、70歳で再婚なんて恥ずかしいよと息子に叱られました。とても悲しいです」と話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.「息子さんの気持ちは理解できます」
  2. 2.「他の職員の考えを聞いてみましょう」
  3. 3.「好きな人ができることは素敵なことですね」
  4. 4.「亡くなったBさんのことは忘れてしまったのですか」

対話形式の解説

博士 博士

今日はAさん70歳の女性じゃ。ご主人と死別後に軽費老人ホームに入居していて、再婚したい人ができたと話しておる

サクラ サクラ

それを息子さんに恥ずかしいと叱られて悲しんでいるのですね

博士 博士

Aさんは今、自分の気持ちを誰かに受け止めてほしくて看護師に話したわけじゃ

サクラ サクラ

選択肢1の息子さんの気持ちは理解できます、はどうでしょう

博士 博士

これは目の前で悲しんでいるAさんの心情を否定して息子側に立つ発言じゃ。さらに傷つけてしまう

サクラ サクラ

他の職員に聞いてみましょうも違いますか

博士 博士

Aさんは目の前のあなたを信頼して話してくれた。そこで他人に振るのは突き放しに等しいぞ

サクラ サクラ

亡くなった夫のことを忘れたのかと聞くのは

博士 博士

論外じゃ。死別を乗り越えてきたAさんに罪悪感を植え付けてしまう

サクラ サクラ

残るは好きな人ができることは素敵なことですね、ですね

博士 博士

そう、Aさんの感情と意思を肯定して受容する共感的な応答じゃ

サクラ サクラ

70歳で再婚という発想自体に驚いてしまう人もいるかもしれませんが

博士 博士

それがエイジズム、高齢者差別じゃ。看護師は世代や性別によらず、本人の価値観と自己決定を尊重する必要がある

サクラ サクラ

共感した後はどうしますか

博士 博士

さらに思いを語ってもらい、息子との関係や具体的な希望を整理する手伝いをする

サクラ サクラ

家族との橋渡しはどうすれば

博士 博士

Aさんの同意を得たうえで、息子さんにもAさんの気持ちを伝え、互いの理解が進むよう調整する

サクラ サクラ

場合によっては心理的ケアの専門家に相談することも

博士 博士

精神的な落ち込みが強ければソーシャルワーカーや臨床心理士と連携するのも有効じゃ

サクラ サクラ

高齢者のQOLや生きがいを支える視点が大切ですね

博士 博士

新たな人間関係や恋愛は心身の健康にプラスに働くことも多い。否定せず寄り添うのが看護師の役目じゃ

POINT

本問は高齢者の感情に対する共感的対応を問う問題です。Aさんは息子に否定されて悲しんでおり、看護師はまずその気持ちを受容する必要があります。息子側に立つ、他の職員に振る、夫を引き合いに出すといった応答はいずれもAさんを傷つけます。本人の意思と価値観を尊重する共感的応答が基本です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:Aさん(70歳、女性)は、夫のBさんと死別し、軽費老人ホームに入居している。Aさんは「今、再婚をしたいと思う好きな人ができたのに、70歳で再婚なんて恥ずかしいよと息子に叱られました。とても悲しいです」と話した。 Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は3の「好きな人ができることは素敵なことですね」です。Aさんは息子に叱られたことに悲しみを感じています。看護師はAさんの気持ちを否定せず、その人らしい生き方を尊重して受容的・共感的にかかわる姿勢が求められます。

選択肢考察

  1. × 1.  「息子さんの気持ちは理解できます」

    悲しんでいるAさんの目の前で息子側に立つ発言は、Aさんの気持ちをさらに傷つけ孤立させるおそれがあります。本人の感情を受け止めることが先決であり、共感的姿勢に欠けます。

  2. × 2.  「他の職員の考えを聞いてみましょう」

    Aさんが信頼して話してくれたタイミングで他の職員に振ってしまうと、突き放されたと感じやすく信頼関係を損ねます。まずは目の前で傾聴し共感する姿勢が必要です。

  3. 3.  「好きな人ができることは素敵なことですね」

    高齢であっても新たな愛情や生きがいを持つ気持ちを肯定し、Aさんの感情を受容する応答です。共感を示すことで安心感を与え、Aさん自身の思いを言語化する支援につながります。

  4. × 4.  「亡くなったBさんのことは忘れてしまったのですか」

    Aさんが配偶者の死を乗り越え新しい生き方を模索していることを否定する発言です。死別の悲嘆を蒸し返し、罪悪感を抱かせる不適切な対応となります。

高齢者の自己実現や恋愛、再婚の希望は本人のQOLや生きがいに直結します。看護師は価値観を押し付けず、傾聴と共感を基本に支援します。家族との価値観の違いがある場合は、本人の意思を尊重しつつ家族にも丁寧に説明し、必要に応じて関係調整を支援します。エイジズム(高齢者差別)に陥らない姿勢が大切です。

高齢者の感情と自己決定を尊重し、共感的に応答する基本的なコミュニケーション能力を問う問題です。