軽度嚥下障害患者の誤嚥性肺炎予防
看護師国家試験 第104回 午後 第60問 / 老年看護学 / 健康状態・受療状況に応じた看護
国試問題にチャレンジ
軽度の嚥下障害がある患者への誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の予防法で正しいのはどれか。
- 1.流動食にする。
- 2.軽く下顎を挙上して飲み込んでもらう。
- 3.食後は10分程度の座位を保持する。
- 4.口腔内を吸引しながらブラッシングする。
対話形式の解説
博士
今日は誤嚥性肺炎予防についてじゃ。軽度の嚥下障害がある患者を想定するぞ
アユム
食形態の工夫が大事なのですよね
博士
そう。ただし流動食はサラサラ過ぎて咽頭を速く通過してしまい、かえって誤嚥しやすい
アユム
ということは選択肢1は誤りですね
博士
とろみをつけたり、ペースト食、ゼリー食など咽頭をゆっくり通る形態がよい
アユム
嚥下時の姿勢はどうですか
博士
下顎を挙上すると喉頭蓋が立ち上がって気道が開いてしまう。誤嚥リスクが上がるんじゃ
アユム
では顎を引いた姿勢が正しいのですね
博士
頸部前屈位、つまり軽くうなずくような姿勢で、食道側に流れやすくなる
アユム
食後の座位保持10分というのは
博士
短すぎる。胃の内容物が逆流しないようにするには30分から1時間ほど座位またはファウラー位を保つのが望ましい
アユム
残るは口腔内を吸引しながらブラッシングするですね
博士
これが正解じゃ。嚥下障害がある人では口腔ケア中の唾液や水分を誤嚥しやすいから、吸引と併用するのが安全じゃ
アユム
口腔ケアと肺炎予防はどう関係するのですか
博士
口腔内の細菌が唾液とともに気道に流れ込むと肺炎を起こす。これを不顕性誤嚥と呼ぶ
アユム
だから細菌数を減らすことが肺炎予防になるのですね
博士
そう、特に夜間の唾液誤嚥予防として就寝前の口腔ケアは重要じゃ
アユム
他にどんな予防法がありますか
博士
嚥下訓練、食前の覚醒確認、一口量の調整、寝具のヘッドアップ、栄養状態の維持、ワクチン接種などじゃ
アユム
肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンですね
博士
高齢者では発症と重症化を抑える効果がある
アユム
看護師として観察すべきサインは
博士
食事中のむせ、食後の湿性嗄声、SpO2低下、微熱、痰の増加、食欲低下じゃ
アユム
早期発見が誤嚥性肺炎予防につながるのですね
POINT
誤嚥性肺炎予防では食形態、姿勢、座位保持、口腔ケアが基本です。流動食は誤嚥しやすく、下顎挙上は気道を開くため不適切、食後10分の座位では逆流予防に不十分です。最も適切な選択肢は吸引しながらの口腔ケアで、口腔細菌の減少と誤嚥防止を同時に図れます。看護師は食事観察と口腔ケア、姿勢調整を組み合わせて予防に取り組みます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:軽度の嚥下障害がある患者への誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)の予防法で正しいのはどれか。
解説:正解は4の口腔内を吸引しながらブラッシングするです。嚥下障害のある患者では口腔ケア中の水分や唾液、食物残渣の誤嚥が誤嚥性肺炎の主要因となります。吸引を併用しながらブラッシングすることで誤嚥を防ぎつつ口腔細菌数を減少させ、肺炎予防につながります。
選択肢考察
-
× 1. 流動食にする。
流動食はサラサラで咽頭通過速度が速く、むしろ誤嚥しやすい食形態です。嚥下障害患者にはとろみをつけたり、ペースト食、ゼリー食など咽頭をゆっくり通過する形態が望まれます。
-
× 2. 軽く下顎を挙上して飲み込んでもらう。
下顎を挙上すると喉頭蓋が立ち上がり気道が開きやすくなって誤嚥のリスクが高まります。安全な嚥下姿勢は顎を引き軽く前屈する頸部前屈位で、咽頭から食道への流れを促します。
-
× 3. 食後は10分程度の座位を保持する。
胃食道逆流を防ぎ食物が胃にとどまるためには、食後30分から1時間程度の座位またはファウラー位の保持が推奨されます。10分では時間が短く逆流による誤嚥予防として不十分です。
-
○ 4. 口腔内を吸引しながらブラッシングする。
嚥下障害がある患者では口腔ケア中の唾液や洗浄水を誤嚥しやすいため、吸引チューブで随時吸引しながらブラッシングを行います。口腔内細菌の減少と誤嚥防止の両方に有効で、誤嚥性肺炎予防の基本手技です。
誤嚥性肺炎予防には、頸部前屈位での嚥下、一口量の調整、とろみ食、嚥下訓練、食前の覚醒確認、食後の座位保持、口腔ケアの徹底が柱となります。とくに就寝前の口腔ケアと寝具のヘッドアップは夜間の不顕性誤嚥予防に重要です。肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種も併せて推奨されます。
誤嚥性肺炎予防における食事形態、姿勢、座位保持、口腔ケアの正しい方法を理解しているかを問う問題です。
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