要支援1の頻尿、まずするべきはトイレの場所を一緒に確認すること
看護師国家試験 第114回 午後 第58問 / 老年看護学 / 高齢者の生活を支える看護
国試問題にチャレンジ
要支援1の認定を受けた高齢者が、介護予防通所リハビリテーションの利用を開始した。「普段からトイレに何度も行く」と頻尿を気にしている。 施設にいる看護師の援助で適切なのはどれか。
- 1.施設のトイレの場所を一緒に確認する。
- 2.車椅子でトイレに移送する。
- 3.紙オムツの使用を勧める。
- 4.排泄時に更衣を介助する。
対話形式の解説
博士
今日は要支援1の高齢者への介護予防通所リハビリテーションでの援助について考えるぞ。
アユム
要支援1ってどのくらいの状態なんですか?
博士
介護保険の認定区分のうち最も軽度の状態じゃ。日常生活はほぼ自立しておるが、立ち上がりや歩行など一部に支援が必要というレベルじゃな。
アユム
食事や排泄、更衣は基本的に自分でできるんですね。
博士
その通り。じゃから過剰な介助は逆に本人の能力を奪ってしまうのじゃ。
アユム
介護予防通所リハビリって何が目的ですか?
博士
要介護状態への進行を防ぎ、心身機能の維持・向上を図るのが目的じゃ。運動機能訓練、栄養改善、口腔機能向上などのプログラムが提供される。
アユム
今回の利用者さんは頻尿を気にしているんですよね。
博士
そうじゃ。「普段からトイレに何度も行く」と本人が訴えておる。利用開始したばかりで施設にも慣れておらん。
アユム
だったらまずトイレの場所を案内するのが安心ですよね。
博士
その通り!利用者と一緒にトイレの位置を確認することで、不安が和らぎ、自分でトイレに行ける環境が整う。これが介護予防の理念に合った援助じゃ。
アユム
車椅子で連れて行くのはダメですか?
博士
要支援1は歩ける状態じゃ。車椅子での移送は過剰介助で、廃用症候群の引き金にもなりかねん。
アユム
紙オムツを勧めるのは?
博士
頻尿があるだけで失禁しているわけではない。安易にオムツを勧めると自尊心を傷つけ、排泄の自立を奪うことになる。これも不適切じゃ。
アユム
更衣の介助も同じく不要なんですね。
博士
うむ。要支援1なら更衣も自分でできる。介助の根拠もない状況で介助するのは自立支援の理念に反する。
アユム
頻尿の背景にはどんな原因がありますか?
博士
加齢による膀胱容量低下、過活動膀胱、男性なら前立腺肥大症、利尿薬の使用、心因性などじゃ。原因によって対応は変わるから、まずアセスメントが大事じゃよ。
アユム
看護師として骨盤底筋訓練や水分摂取時間の調整なども提案できそうですね。
博士
その通り。自立を尊重しつつ、生活の質を高める個別ケアが求められる。それが介護予防看護の醍醐味じゃ。
POINT
要支援1は介護保険の認定区分のうち最も軽度で、日常生活はほぼ自立しているが立ち上がりや歩行などに一部支援が必要な状態を指します。介護予防通所リハビリテーションは要介護状態への進行予防を目的とし、過剰な介助は自立を妨げるため避けるべきです。利用開始直後の頻尿の訴えに対しては、トイレの場所を一緒に確認することで不安を軽減し、本人の歩行能力を活かして自分でトイレに行ける環境を整える援助が適切となります。車椅子移送・紙オムツ・更衣介助はいずれも要支援1の状態には過剰で、自尊心や残存機能を損なう恐れがあります。看護師は原因のアセスメントを基盤に、骨盤底筋訓練や生活指導を組み合わせ、本人の自立とQOLを支える個別的なケアを提供することが求められます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:要支援1の認定を受けた高齢者が、介護予防通所リハビリテーションの利用を開始した。「普段からトイレに何度も行く」と頻尿を気にしている。 施設にいる看護師の援助で適切なのはどれか。
解説:正解は 1 です。要支援1は介護保険の認定区分のうち最も軽度で、日常生活はおおむね自立しているが、立ち上がり・歩行などに一部支援が必要な状態を指す。介護予防通所リハビリテーション(介護予防デイケア)は、心身機能の維持・向上と自立支援を目的とするサービスで、過剰な介助はかえって自立を妨げる。利用開始直後で施設に不慣れな状態であり、頻尿を本人が気にしていることから、トイレの場所を一緒に確認することは安心感を与えると同時に、本人が自力でトイレに行ける環境を整える適切な支援となる。
選択肢考察
-
○ 1. 施設のトイレの場所を一緒に確認する。
新しい環境で頻尿を気にしている利用者に対し、トイレの位置を共有することは不安軽減と自立支援を両立する適切な援助である。残存機能を活かす介護予防の理念にも合致する。
-
× 2. 車椅子でトイレに移送する。
要支援1は歩行可能な状態であり、車椅子での移送は過剰介助となる。本人の歩行能力を奪うことになり、廃用性機能低下や自立心の喪失を招きかねない。
-
× 3. 紙オムツの使用を勧める。
頻尿を気にしているだけで失禁があるわけではなく、自尊心への配慮を欠く対応となる。安易な紙オムツの使用は排泄の自立を阻害し、心理的にも本人を傷つける可能性がある。
-
× 4. 排泄時に更衣を介助する。
要支援1では更衣動作も自立しているため、不要な介助は自立支援の理念に反する。介助が必要となる根拠も状況設定では示されていない。
介護保険制度では要支援1・2に対して「予防給付」、要介護1〜5に対して「介護給付」が行われる。介護予防通所リハビリテーションは予防給付の代表的なサービスで、要介護状態への進行予防を目的とし、運動機能訓練・栄養改善・口腔機能向上などのプログラムを提供する。高齢者の頻尿の背景には、加齢による膀胱容量低下、過活動膀胱、前立腺肥大症、利尿薬の影響、心因性などさまざまな原因がある。看護師はまず原因のアセスメントを行い、トイレの場所案内・水分摂取時間の調整・骨盤底筋訓練の指導など、自立を尊重した個別的なケアを提供する。
要支援1の状態像と介護予防の理念(残存機能活用・自立支援)を踏まえ、過剰介助を避け、利用者の安心と自立を両立する援助を選ぶ問題。
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