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102歳Aさんの在宅看取り―家族への退院指導

看護師国家試験 第105回 午前 第51問 / 老年看護学 / 高齢者の家族への支援

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第51問

Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。 Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。

  1. 1.「24時間付き添ってあげましょう」
  2. 2.「おむつの重さで尿量を測定しましょう」
  3. 3.「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」
  4. 4.「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」

対話形式の解説

博士 博士

今回は102歳のAさんの在宅看取りの場面じゃ。5年前から廃用症候群で発語や体動が乏しく、誤嚥性肺炎で入退院を繰り返す終末期。家族は積極治療を望まず、自宅での看取りを決めたのじゃ。

サクラ サクラ

終末期の在宅看取りですね。家族への退院指導、どんなことを伝えるのが最適なんですか?

博士 博士

正解は選択肢4「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」じゃ。終末期ケアの原則はQOLと本人の希望の尊重。残された時間を本人らしく穏やかに過ごしてもらうのが最優先なんじゃよ。

サクラ サクラ

誤嚥性肺炎を繰り返しているのに食べさせていいんですか?

博士 博士

もちろん量や形態には配慮が要るが、終末期では「食べる喜び」を奪わないことが大切なんじゃ。少量を味わうだけでも、本人と家族にとってかけがえのない時間になる。延命より安楽とQOLを選ぶのが看取りの方針じゃよ。

サクラ サクラ

では選択肢1の「24時間付き添ってあげましょう」はどうして誤りなんですか?

博士 博士

在宅看取りは数日〜数ヶ月に及ぶこともある。24時間付き添いを求めると家族が疲弊し、介護破綻を起こしてしまう。訪問看護などの社会資源を活用し、無理なく見守る体制を作るのが正しい指導じゃ。

サクラ サクラ

選択肢2の尿量測定は?

博士 博士

終末期では厳密なin-outバランス管理は不要じゃ。おむつの重さを量るなどの医療的管理は家族の負担を増やすだけで、安楽な看取りの妨げになる。

サクラ サクラ

選択肢3の救急車を呼ぶのは?

博士 博士

家族は積極的治療を望まず在宅看取りを選んだのじゃから、救急搬送は方針と矛盾する。苦痛時は訪問看護師や在宅医に連絡する体制を事前に整えておくのが正しい対応じゃ。

サクラ サクラ

なるほど、家族の負担軽減と本人のQOL尊重が柱なんですね。

博士 博士

その通りじゃ。加えて、厚労省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」ではACP(アドバンス・ケア・プランニング)による意思決定支援が推奨されておる。家族の心の準備を支えることも看護師の大切な役割じゃぞ。

サクラ サクラ

食べる喜びを守りながら、家族と本人を支えるケアを心がけます。

POINT

本問は超高齢のAさんの在宅看取りにおける家族への退院指導を問うものです。終末期ケアではQOLと本人の希望の尊重が最優先であり、誤嚥リスクがあっても本人が望む経口摂取を支援することが適切です。24時間付き添いや厳密な尿量測定は家族の負担となり、救急搬送は在宅看取りの方針と矛盾するため誤りです。訪問看護などの社会資源を活用し、無理のない看取り環境を整えることが看護師の重要な役割となります。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん(102歳、女性)は、重度の廃用症候群のために5年前から発語が少なく体を動かすことができない。誤嚥性肺炎(aspiration pneumonia)で入退院を繰り返し、終末期である。同居している家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅でAさんを看取ることを決めた。 Aさんの家族への退院時の指導で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。Aさんは102歳で重度の廃用症候群、誤嚥性肺炎を繰り返す終末期にあり、家族は自宅での看取りを決定しています。看取り期のケアではQOL(生活の質)とその人らしさを尊重することが最優先であり、苦痛の緩和と本人の希望に寄り添うことが基本方針となります。延命や厳密な医学的管理よりも、残された時間を穏やかに過ごせるよう支援し、家族の介護負担を最小限にすることが重要です。誤嚥リスクがあっても、本人が食べたいと望むものを安楽に楽しんでもらうことは、終末期ケアの原則に沿った適切な指導です。

選択肢考察

  1. × 1.  「24時間付き添ってあげましょう」

    在宅看取りは長期に及ぶことがあり、24時間の付き添いを強制すると家族が身体的・精神的に疲弊し、介護破綻を招きます。訪問看護や訪問介護などの社会資源を活用し、無理のない範囲で見守ることを助言するのが適切です。

  2. × 2.  「おむつの重さで尿量を測定しましょう」

    終末期では厳密なin-outバランスの管理は不要であり、むしろ家族の負担となります。医療的管理の強化ではなく、本人の安楽と家族の無理のない介護を優先する時期です。

  3. × 3.  「苦しそうになったら救急車を呼びましょう」

    家族は積極的な治療をしないことを希望し、自宅での看取りを決めています。救急搬送は積極的治療を前提とするため、方針と矛盾します。苦痛時は訪問看護師や在宅医に連絡する体制を整えておくのが適切です。

  4. 4.  「Aさんが食べたければ食べさせてあげましょう」

    終末期ではQOLを重視し、本人の望むものを少量ずつ味わってもらうことが大切です。誤嚥リスクがあっても、楽しみとしての経口摂取は「食べる喜び」を尊重する看取りケアの基本であり、最も適切な指導です。

在宅看取りでは、訪問診療・訪問看護・訪問介護・福祉用具貸与などの社会資源の活用が鍵となります。また、急変時の連絡先や看取り後の対応(死亡診断書の発行、エンゼルケア)についてあらかじめ家族に説明し、心の準備を支えることも看護師の役割です。厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」では、本人の意思を尊重した意思決定支援(ACP)が推奨されています。

終末期・在宅看取り期におけるケアの原則を理解し、家族への退院指導として最もQOLと本人の希望を尊重した内容を選ぶ問題です。