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介護者の疲労への対応

看護師国家試験 第108回 午前 第56問 / 老年看護学 / 高齢者の家族への支援

国試問題にチャレンジ

108回 午前 第56問

Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。 この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。

  1. 1.心療内科の受診を勧める。
  2. 2.娘の幼少期の親子関係を聞く。
  3. 3.Aさんの介護老人保健施設への入所を勧める。
  4. 4.同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く。

対話形式の解説

博士 博士

今日は90歳Aさんの介護に疲れた娘さんへの関わり方じゃ。

アユム アユム

娘さんは「同居を始めてから疲れます」と言っています。正解はどれですか?

博士 博士

正解は4の「同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く」じゃ。

アユム アユム

なぜ生活の変化を聞くのが最優先なんですか?

博士 博士

「疲れる」の中身が身体的・精神的・経済的・時間的などさまざまあるからじゃ。具体的状況を聴かないと適切な支援は立てられないんじゃよ。

アユム アユム

選択肢1の心療内科受診は?

博士 博士

疲労の原因も分からない段階で精神科に回すのは拙速じゃ。まず傾聴して訴えの背景を明らかにするのが看護師の基本姿勢じゃな。

アユム アユム

選択肢2の幼少期の親子関係は?

博士 博士

過去の親子関係が直接の原因とは限らんし、介入の糸口としては遠回りじゃ。現在の状況を優先するぞ。

アユム アユム

選択肢3の施設入所は?

博士 博士

Aさんは要介護2で軽度麻痺、在宅継続が可能な状態じゃ。娘さんの本当の訴えも聞かずに施設を勧めるのは家族の意向無視で不適切じゃ。

アユム アユム

傾聴のあとはどんな支援がありますか?

博士 博士

介護保険サービスの追加調整じゃな。デイサービス、ショートステイ、訪問介護を活用して娘さんの負担を減らせるぞ。

アユム アユム

レスパイトケアという言葉も聞きますが。

博士 博士

介護者が一時的に介護から離れて休息するための仕組みじゃ。ショートステイがその代表例じゃよ。

アユム アユム

65歳の娘さんって老老介護にあたるんですか?

博士 博士

娘さん自身も前期高齢者じゃから一種の老老介護じゃな。さらにダブルケア(育児と介護の同時進行)の可能性も視野に入れるんじゃ。

アユム アユム

介護負担を客観的に評価する方法はありますか?

博士 博士

Zarit介護負担尺度という指標があり、介護者の主観的負担を定量化できる。家族会や介護者相談窓口の紹介も有用じゃ。

アユム アユム

看護師として心がけることは?

博士 博士

まず訴えを丁寧に聴き、共感的に応答すること。解決策を押し付けず家族の意向を尊重することじゃ。

アユム アユム

覚え方は?

博士 博士

「まず聴く、後支援」じゃ。傾聴が第一歩じゃぞ。

POINT

介護者の「疲れる」という訴えには、まず具体的な生活変化を傾聴して負担の実態を把握することが重要です。短絡的に受診や施設入所を勧めるのではなく、介護保険サービス調整やレスパイトケア、家族会紹介など多面的支援につなげます。65歳の娘世代は老老介護やダブルケアに該当することもあり、包括的アセスメントが求められます。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:Aさん(90歳、男性)は、脳梗塞(cerebral infarction)による軽度の左半身麻痺がある。要介護2。最近、娘(65歳)とその家族と同居を始めた。Aさんの受診に付き添ってきた娘が看護師に「同居を始めてから疲れます」と話した。 この時の娘に対する看護師の対応で最も適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。娘の「疲れます」という訴えは介護負担や生活変化のサインです。看護師はまず傾聴を通じて具体的な状況を把握することが重要で、同居後に家族全体の生活がどう変化したかを聴くことで問題の本質(身体的疲労・時間的拘束・経済面・家族関係など)を明らかにし、適切な支援へとつなげられます。

選択肢考察

  1. × 1.  心療内科の受診を勧める。

    疲労の原因や深刻度を把握せずに精神科的受診を勧めるのは拙速です。介護負担による一過性の疲労である可能性が高く、まず状況を聴取することが先決です。

  2. × 2.  娘の幼少期の親子関係を聞く。

    過去の親子関係は現在の介護疲労の直接的な要因ではない場合が多く、介入の糸口としては遠回りです。現在の生活状況の把握を優先すべきです。

  3. × 3.  Aさんの介護老人保健施設への入所を勧める。

    Aさんは要介護2で軽度麻痺であり在宅継続が可能な状態です。娘の訴えを詳しく聴かないまま施設入所を勧めるのは本人・家族の意向を無視した不適切な対応です。

  4. 4.  同居後に家族の生活がどのように変化したかを聞く。

    傾聴により介護負担の実態(身体的・精神的・経済的・時間的)を具体化でき、介護保険サービスの追加やレスパイトケア等、個別の支援計画立案につながります。看護師の基本姿勢として最も適切です。

家族介護者支援では、まず介護負担感(Zarit介護負担尺度など)をアセスメントし、介護保険サービスの調整(デイサービス・ショートステイ・訪問介護)、レスパイトケア、家族会や介護者相談窓口の紹介を行います。65歳の娘世代は「老老介護」「ダブルケア(育児と介護の同時進行)」に該当することもあり、包括的なアセスメントが重要です。

介護者(家族)の訴えに対する看護師の第一対応(傾聴と状況把握)を問う問題です。