DV相談支援センターの役割、核は『一時保護』
看護師国家試験 第106回 午後 第30問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会福祉の基本
国試問題にチャレンジ
配偶者暴力相談支援センターの機能はどれか。
- 1.一時保護
- 2.就労の仲介
- 3.外傷の治療
- 4.生活資金の給付
対話形式の解説
博士
今日は社会保障制度の中から『配偶者暴力相談支援センター』について整理するぞ。
アユム
DV被害者が相談に行くところですよね?
博士
その通り。正式には『配偶者暴力相談支援センター』。DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)に基づいて設置された機関じゃ。
アユム
具体的に何をしてくれるんですか?
博士
主な機能は5つじゃ。相談・カウンセリング、緊急時の安全確保・一時保護、自立生活支援のための情報提供、居住施設利用の援助、保護命令制度の利用援助。
アユム
『一時保護』が中核なんですね。
博士
そうじゃ。身の危険がある場合、婦人相談所等で被害者と同伴家族を一時的に保護する。これがまさに『命を守る』機能なのじゃ。
アユム
他の選択肢『就労の仲介』は違うんですか?
博士
就労支援の直接的な仲介はハローワークや自立支援機関が担う。センターは情報提供や相談は行うが、仲介機関ではない。
アユム
『外傷の治療』は?
博士
医療は医療機関の役割じゃ。センターは必要に応じて医療機関を紹介したり同行支援したりする立場じゃ。
アユム
『生活資金の給付』も違うんですね。
博士
生活保護や社会福祉協議会の貸付、児童扶養手当など別制度が担う。センターはその制度へつなぐ役割じゃ。
アユム
『保護命令』という言葉も出てきましたが、どんな制度ですか?
博士
被害者が地方裁判所に申し立て、加害者に対して接近禁止命令・退去命令・電話等禁止命令などを出してもらう制度じゃ。違反すれば刑事罰の対象となる。
アユム
DVって殴る蹴るだけじゃないですよね?
博士
身体的暴力だけでなく、精神的(暴言・監視)、性的、経済的(生活費を渡さない)なども含まれる。
アユム
看護師が関わる場面はありますか?
博士
救急外来や健診、産科などで、あざや外傷、受診の遅れ、同伴者の過剰な付き添いに気づくことが第一歩じゃ。疑った場合は一人で抱え込まず、院内のMSW(医療ソーシャルワーカー)や相談支援センターと連携するのじゃ。
アユム
子どもへの影響も気になります。
博士
DVのある家庭では児童虐待も併存しやすい。面前DVは心理的虐待にあたり、児童相談所への通告義務がある。
アユム
DVは1機関では解決できない。多機関連携が命を守るんですね。
博士
その通り。看護師は『気づき』と『つなぐ』ことが役割の中心じゃ。
アユム
正解は1の一時保護ですね。
博士
うむ、しっかり理解できたな。
POINT
配偶者暴力相談支援センターはDV防止法に基づき、相談・カウンセリング・緊急時の安全確保・一時保護・自立支援情報提供・保護命令利用援助などを担う公的機関です。中核機能の一つが被害者と同伴家族の『一時保護』で、婦人相談所が自ら行うか委託によって実施されます。就労仲介や外傷治療、生活資金給付などは他機関が担い、センターは必要な社会資源へつなぐハブの役割を果たします。看護師は救急・産科・健診などの現場で被害の兆候に気づき、MSWや相談支援センターと連携して被害者と子どもを守る一端を担うことが期待されます。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:配偶者暴力相談支援センターの機能はどれか。
解説:正解は 1 です。配偶者暴力相談支援センター(通称DV相談支援センター)は、『配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)』に基づいて設置され、相談・情報提供・カウンセリング・緊急時の安全確保・一時保護などを担う第一線の公的機関です。一時保護は婦人相談所が自ら行うか、一定の基準を満たす施設に委託して行います。
選択肢考察
-
○ 1. 一時保護
DV防止法に基づく配偶者暴力相談支援センターの中核的機能。被害者および同伴する家族の緊急時の安全を確保するため、婦人相談所等で一時保護を行う。
-
× 2. 就労の仲介
就労支援は主にハローワーク(公共職業安定所)や自立支援機関が担う。DV相談支援センターは自立に向けた情報提供は行うが、就労を直接『仲介』する機関ではない。
-
× 3. 外傷の治療
医療行為は医療機関の役割。センターは必要に応じて医療機関を紹介したり同行支援したりするが、外傷の治療自体は行わない。
-
× 4. 生活資金の給付
生活資金の給付は生活保護制度や社会福祉協議会の貸付、児童扶養手当などが担う。センターはそうした制度の情報提供や申請援助を行う。
DV防止法で定められたセンターの主な機能は、①相談・カウンセリング、②緊急時の安全確保・一時保護、③自立生活促進のための情報提供・援助、④被害者居住施設の利用援助、⑤保護命令制度の利用援助。被害者は配偶者からの暴力(身体的暴力、精神的暴力、性的暴力、経済的暴力など)から保護され、地方裁判所に申し立てることで加害者への接近禁止命令・退去命令等(保護命令)が発令される。児童虐待と同様、看護師はあざ・外傷・受診の遅れなどの徴候に気づき、関係機関への通告・連携を図る役割を持つ。
DV防止法に基づく配偶者暴力相談支援センターの具体的機能を、他の社会資源(医療・就労・生活保護)と区別して理解できるかが問われている。
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