難病法を読み解く 医療費助成は誰が認定する?
看護師国家試験 第114回 午後 第30問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会福祉の基本
国試問題にチャレンジ
難病の患者に対する医療等に関する法律<難病法>に規定されているのはどれか。
- 1.市町村が難病相談支援センターを設置する。
- 2.指定難病の医療費は全額を公費で負担する。
- 3.令和4年度(2022年度)の指定難病数は56疾病である。
- 4.特定医療費(指定難病)の支給認定は居住地の都道府県・指定都市が行う。
対話形式の解説
博士
今日は難病法について整理するぞ。正式名称は「難病の患者に対する医療等に関する法律」じゃ。
アユム
いつできた法律なんですか?
博士
2014年に成立し、2015年1月に施行された。それまで予算事業として運用されていた特定疾患治療研究事業を、法律に基づく恒久制度に組み直したのじゃ。
アユム
指定難病って、どんな条件で決まるんですか?
博士
発病機序が不明、治療法が未確立、長期の療養が必要、患者数が人口の0.1%程度未満、客観的な診断基準が確立されている、といった要件を満たす疾病じゃ。
アユム
令和4年時点でいくつあるんでしょう?
博士
338疾病じゃ。その後も追加され、令和7年4月からは348疾病となっている。56疾病というのは旧制度の特定疾患治療研究事業の対象数で、混同しやすいので注意が必要じゃ。
アユム
医療費は全額公費負担なんですか?
博士
いいや、全額ではない。医療保険の自己負担分のうち、所得に応じた月額自己負担上限額までを患者が負担し、それを超える分が公費で助成される。
アユム
上限額は所得で変わるんですね。
博士
そうじゃ。生活保護受給者は0円、低所得者は月2,500円程度、高所得者は最大3万円といった段階制じゃ。人工呼吸器装着の重症患者には軽減措置もある。
アユム
助成を受けるための手続きは?
博士
指定医が診断書を作成し、患者が居住地の都道府県または指定都市の窓口に申請、審査を経て受給者証が交付される。受給者証は指定医療機関で提示する必要がある。
アユム
だから「支給認定は居住地の都道府県・指定都市が行う」が正解なんですね。
博士
その通り。市町村ではなく、都道府県と指定都市が担う点を押さえるのじゃ。
アユム
難病相談支援センターも難病法に位置づけられているんですか?
博士
そうじゃ。設置主体は都道府県と指定都市で、療養相談、ピアサポート、就労支援などを行う。これも市町村ではない。
アユム
看護師は難病患者にどう関わりますか?
博士
在宅療養支援、医療デバイス管理、レスパイト調整、家族支援など多岐にわたる。制度を知っていれば、患者の経済的・社会的負担を軽減する助言ができる。
アユム
制度の知識は、患者さんの生活そのものを支える力なんですね。
POINT
難病法は2015年に施行された法律で、指定難病に対する医療費助成(特定医療費)を法的に裏付け、療養生活支援や研究推進を一体的に進める枠組みを定めています。支給認定は患者の居住地の都道府県知事または指定都市市長が担い、市町村ではない点が重要です。指定難病数は令和4年度で338疾病、令和7年からは348疾病に拡大しており、医療費は全額公費ではなく所得に応じた月額自己負担上限が設定されます。看護師には、制度を理解した上で在宅療養や就労支援、家族ケアにつなげる役割が求められ、難病患者の生活の質を法律と臨床の両面から支える視点が不可欠です。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:難病の患者に対する医療等に関する法律<難病法>に規定されているのはどれか。
解説:正解は 4 です。難病法は2015年(平成27年)1月に施行された法律で、難病の医療費助成制度を法律上に位置づけ、研究推進や療養生活支援などを総合的に定めた。指定難病の医療費助成(特定医療費)の支給認定は、患者が居住する都道府県知事または指定都市の市長が行うと第19条に規定されている。患者が指定医療機関で診療を受け、指定医が作成した診断書を添えて居住地の都道府県・指定都市に申請し、審査を経て受給者証が交付される仕組みである。
選択肢考察
-
× 1. 市町村が難病相談支援センターを設置する。
難病相談支援センターを設置・運営するのは都道府県および指定都市であり、市町村ではない。療養生活相談、ピアサポート、就労支援などを担う。
-
× 2. 指定難病の医療費は全額を公費で負担する。
全額公費ではなく、医療保険の自己負担分のうち所得に応じた自己負担上限額までを患者が負担し、それを超える部分が公費負担となる仕組みである。
-
× 3. 令和4年度(2022年度)の指定難病数は56疾病である。
令和4年度時点の指定難病は338疾病で、56疾病ではない(その後拡大が続き、令和7年4月時点では348疾病)。56は旧「特定疾患治療研究事業」の対象疾患数。
-
○ 4. 特定医療費(指定難病)の支給認定は居住地の都道府県・指定都市が行う。
難病法第19条に規定されており、申請窓口・審査・受給者証交付は居住地の都道府県知事または指定都市の市長が担う。
指定難病とは、発病機序が不明、治療法未確立、長期療養が必要、患者数が一定数(人口の0.1%程度)未満、客観的な診断基準が確立しているといった要件を満たす疾患である。医療費助成では世帯所得に応じて月額自己負担上限が設定され、人工呼吸器装着など重症度の高い患者には軽減措置がある。難病法に基づく支援としてはほかに、指定医・指定医療機関の制度、難病相談支援センターの設置、難病対策地域協議会の整備、研究の推進などが規定されている。
難病法に基づく特定医療費の支給認定主体と、関連する制度全体を把握しているかを問う問題。市町村ではなく都道府県・指定都市である点が要。
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