老人福祉法と介護保険法の両方に登場する施設はどれ?二重規定のからくり
看護師国家試験 第112回 午前 第32問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会福祉の基本
国試問題にチャレンジ
老人福祉法と介護保険法のいずれにも位置付けられている施設はどれか。
- 1.介護医療院
- 2.介護老人保健施設
- 3.老人福祉センター
- 4.老人デイサービスセンター
対話形式の解説
博士
今日は老人福祉法と介護保険法の両方に位置付けられている施設を探す問題じゃ。まず老人福祉法に出てくる老人福祉施設は何種類あるか知っておるかな?
アユム
えーっと…特別養護老人ホームと…養護老人ホーム?何種類あるのかは知らないです。
博士
全部で7種類じゃ。老人デイサービスセンター、老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、老人福祉センター、老人介護支援センターの7つじゃぞ。
アユム
そんなにあるんですね。介護保険法の施設は?
博士
介護保険法の施設サービスは3つ。介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院じゃ。以前は介護療養型医療施設もあったが2024年3月末で廃止されたぞ。
アユム
介護老人福祉施設って、特別養護老人ホームのことですよね?
博士
ちょうど良い質問じゃ。同じ施設を老人福祉法では特別養護老人ホーム、介護保険法では介護老人福祉施設と呼ぶ。法律ごとに名前が違うのじゃ。
アユム
じゃあ特別養護老人ホームは両法に位置付けられているんですね。今回の選択肢にはないですけど。
博士
そう、そして今回の正解である老人デイサービスセンターも同じ構造。老人福祉法では老人福祉施設として規定され、介護保険法では指定通所介護事業所として通所介護サービスを提供する場になる。
アユム
なるほど、同じ建物が法律によって呼び方や位置付けが変わるんですね。選択肢1の介護医療院は?
博士
介護医療院は2018年に新設された比較的新しい施設で、介護保険法にのみ規定される。長期療養が必要な要介護者に医療と生活の場を一体提供する施設じゃ。
アユム
介護老人保健施設は?
博士
通称『老健』じゃ。これも介護保険法のみ。在宅復帰を目指してリハビリを中心に提供する施設で、老人福祉法には出てこない。
アユム
老人福祉センターは?
博士
老人福祉法だけじゃ。地域の高齢者の健康相談や教養・レクリエーションを提供する施設で、介護保険の対象ではない。
アユム
整理すると、両法にまたがるのは老人デイサービスセンターと特別養護老人ホームなんですね。
博士
その通り!国試ではこの『両法にまたがる施設』を聞くパターンが頻出。しっかり押さえておくのじゃ。
POINT
老人福祉法と介護保険法のいずれにも位置付けられている施設として代表的なのは、老人デイサービスセンターと特別養護老人ホームです。老人デイサービスセンターは老人福祉法では老人福祉施設の一つ、介護保険法では指定通所介護事業所としてサービスを提供する場となります。特別養護老人ホームは介護保険法では介護老人福祉施設と呼ばれ、同一施設が法律ごとに異なる名称で位置付けられています。一方、介護医療院・介護老人保健施設は介護保険法にのみ、老人福祉センターは老人福祉法にのみ規定されます。高齢者福祉を支える二つの法律の関係性を理解することは、地域包括ケアや退院支援の実践において不可欠な基礎知識といえます。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:老人福祉法と介護保険法のいずれにも位置付けられている施設はどれか。
解説:正解は 4 です。老人デイサービスセンターは老人福祉法第5条の3に掲げる老人福祉施設の一つであると同時に、介護保険法においては指定通所介護事業所(または地域密着型通所介護事業所)としてサービスを提供する場となる。つまり同一施設が二つの法律に位置付けられている。
選択肢考察
-
× 1. 介護医療院
介護医療院は介護保険法第8条第29項に定められた介護保険施設で、長期療養が必要な要介護者に医療と生活の場を提供する。老人福祉法には規定されていない。
-
× 2. 介護老人保健施設
介護老人保健施設は介護保険法に基づく施設で、在宅復帰を目指してリハビリや医療を提供する。老人福祉法上の施設ではない。
-
× 3. 老人福祉センター
老人福祉センターは老人福祉法に規定された老人福祉施設で、地域の高齢者に健康増進や教養・レクリエーションを提供する。介護保険法には位置付けられていない。
-
○ 4. 老人デイサービスセンター
老人福祉法の老人福祉施設であると同時に、介護保険法では指定通所介護(デイサービス)を提供する事業所としても位置付けられ、両法に規定される施設である。
両法に共通して位置付けられている施設にはもう一つ代表例がある。特別養護老人ホーム(老人福祉法)=介護老人福祉施設(介護保険法)がそれで、同じ施設を法律上は別名で呼んでいる。老人福祉法の老人福祉施設7種類(老人デイサービスセンター/老人短期入所施設/養護老人ホーム/特別養護老人ホーム/軽費老人ホーム/老人福祉センター/老人介護支援センター)のうち、老人デイサービスセンター・老人短期入所施設・特別養護老人ホームが介護保険法のサービス提供の場と重なる点が重要。
老人福祉法と介護保険法の両方に位置付けられる施設を判別する問題。両法で別名の同一施設、どちらか一方のみの施設を区別して覚える。
「社会福祉の基本」の関連記事
-
難病法を読み解く 医療費助成は誰が認定する?
難病法に基づく特定医療費の支給認定主体と、関連する制度全体を把握しているかを問う問題。市町村ではなく都道府県…
114回
-
判断能力を支える「成年後見制度」のしくみ
成年後見制度における法定後見と任意後見の区別、申立て先(家庭裁判所)、地域生活支援事業との関係を正しく理解し…
114回
-
2021年制定の最新法律はどれだ?医療的ケア児支援法を読み解く
子ども・家庭関連法の制定年を比較し、最も新しいものを選ぶ問題。「医療的ケア児支援法(2021年)」が比較的新しい…
114回
-
「訪問」だらけで紛らわしい!障害者総合支援法のサービスを見抜く
「訪問」と名がつくサービスのうち、介護保険・医療保険のサービス(訪問介護・訪問看護・訪問リハ)と、障害者総合…
114回
-
生活保護の実務を担う機関
生活保護法の実施機関と各福祉関連機関の役割を区別できるかを問う、社会保障の基本問題です。
113回