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DV防止法の「暴力」に言葉は入る?通報先はどこ?を完全整理

看護師国家試験 第106回 午前 第62問 / 健康支援と社会保障制度 / 社会・家族機能と生活基盤

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第62問

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉で正しいのはどれか。

  1. 1.婚姻の届出をしていない場合は保護の対象とはならない。
  2. 2.暴力を受けている者を発見した者は保健所へ通報する。
  3. 3.暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる。
  4. 4.母子健康センターは被害者の保護をする。

対話形式の解説

博士 博士

今日はDV防止法、正式には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の問題じゃ。

アユム アユム

DVと聞くと殴る・蹴るのイメージがありますが、法律ではどう定義されているんですか?

博士 博士

実はとても広い。第1条で「身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と規定されておる。つまり身体的暴力だけでなく、精神的・性的な暴力も含まれるのじゃ。

アユム アユム

じゃあ「お前は何もできない」みたいな暴言も法律上の暴力なんですね。

博士 博士

その通りじゃ。大声で怒鳴る、無視する、経済的に追い詰める、性行為を強要する、これらも心身に有害な影響を及ぼす言動に含まれる。

アユム アユム

選択肢の3番「暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる」が正解でよさそうですね。

博士 博士

うむ、これが正解じゃ。ついでに他の選択肢も確認しておこう。まず1番、事実婚は保護対象外か?

アユム アユム

うーん、戸籍上の配偶者だけが対象になりそうにも思えるのですが…。

博士 博士

実はそうではない。「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」、つまり事実婚も含まれる。さらに2013年の改正で、同棲中の交際相手からの暴力にもこの法律が準用されるようになったのじゃ。

アユム アユム

意外と広いんですね。2番の通報先はどこでしたっけ?保健所?

博士 博士

よくある引っかけじゃが、保健所ではなく「配偶者暴力相談支援センター」または「警察官」じゃ。発見した者は通報するよう努めなければならないと規定されておる。

アユム アユム

努力義務なんですね。じゃあ4番の母子健康センターは?

博士 博士

母子健康センターは母子保健法に基づく母子の健康支援を行う機関で、DV被害者保護を直接担う機関ではない。保護は配偶者暴力相談支援センター・警察・福祉事務所・児童相談所などが連携して担当する。

アユム アユム

名前が似ているので混同しそうですね。

博士 博士

そうじゃ、国試では似た名前の機関がひっかけとして頻出じゃ。

アユム アユム

実際に病院でDVが疑われる患者さんを見つけたら、看護師はどう動けばよいですか?

博士 博士

まずプライバシーが守られる場で本人に話を聴く。加害者とされる人が付き添っている場合は別室に誘導するなどの配慮が必要じゃ。そして支援機関の情報提供、必要なら警察や配偶者暴力相談支援センターへつなぐ。

アユム アユム

ひとりで抱え込まず、多機関で支えるんですね。

博士 博士

その通り。看護師はDVに気づく最前線にいることが多いのじゃよ。

POINT

DV防止法は、配偶者からの暴力を身体的暴力だけでなく「心身に有害な影響を及ぼす言動」として広く定義し、精神的・性的暴力も保護の対象としている点が最大の特徴です。保護対象は戸籍上の配偶者のみならず、事実婚、離婚後も続く暴力、さらに2013年改正で同棲中の交際相手にも拡大されました。発見時の通報先は「配偶者暴力相談支援センター」または「警察官」であり、保健所や母子健康センターは担当ではありません。医療・看護の現場はDVに気づく重要なゲートウェイであり、プライバシーを守ったうえで支援機関につなぐ初期対応を押さえておくことは、国試対策のみならず臨床現場でも大切です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉で正しいのはどれか。

解説:正解は 3 の「暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる」です。DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)第1条では、「配偶者からの暴力」を「配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」と定義しており、身体的暴力のみならず精神的暴力や性的暴力も対象となります。したがって、暴言や人格を否定する言葉、大声で怒鳴る、無視するといった心理的DVも法律上の「暴力」に含まれます。

選択肢考察

  1. × 1.  婚姻の届出をしていない場合は保護の対象とはならない。

    法律上は「婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者」すなわち事実婚も含まれる。さらに2013年の改正で、生活の本拠を共にする交際相手(同棲中の恋人)からの暴力にも準用されるようになった。

  2. × 2.  暴力を受けている者を発見した者は保健所へ通報する。

    通報先は「配偶者暴力相談支援センター」または「警察官」であり、保健所ではない。さらに医師等の医療関係者は、業務中に発見した場合も同様の通報先に通報することができる(努力義務)。

  3. 3.  暴力には心身に有害な影響を及ぼす言葉が含まれる。

    DV防止法の暴力の定義には身体的暴力だけでなく、精神的に追い込む言動(暴言・脅迫・人格否定・無視など)も含まれる。言葉の暴力や性的暴力も保護の対象となる。

  4. × 4.  母子健康センターは被害者の保護をする。

    被害者の保護は配偶者暴力相談支援センター、警察、福祉事務所、児童相談所などの関係機関が連携して行う。母子健康センター(現・母子健康包括支援センター)は母子保健を担う機関で、DV被害者の保護を直接の目的とはしない。

DV防止法は2001年に成立し、配偶者暴力相談支援センターの設置、保護命令制度(接近禁止命令・退去命令など)、一時保護などを定める。対象は婚姻関係にある男女(事実婚含む)、元配偶者、同居交際相手に拡大されてきた歴史がある。医療現場では、外傷と話の辻褄が合わない、受診が遅れている、表情が乏しいなどのサインに気づいたら、プライバシーが守られる場で本人に声をかけ、支援先を紹介することが大切である。

DV防止法の対象範囲(事実婚や交際相手を含む)、通報先(配偶者暴力相談支援センター・警察)、暴力の定義(身体的+精神的)を整理して正答を選ばせる問題。