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ハンマーでコツン!膝蓋腱反射でわかる腰髄L2〜L4のヒミツ

看護師国家試験 第114回 午後 第81問 / 人体の構造・機能 / 運動器系

国試問題にチャレンジ

114回 午後 第81問

第2〜第4腰髄の障害の有無を把握するために確認するのはどれか。

  1. 1.輻輳反射
  2. 2.腹壁反射
  3. 3.膝蓋腱反射
  4. 4.Trousseau<トルソー>徴候
  5. 5.Blumberg<ブルンベルグ>徴候

対話形式の解説

博士 博士

今回は腰髄の障害を見つける方法じゃ。まず脊髄分節と腱反射の対応を整理しようかの。

サクラ サクラ

腱反射ってよく聞きますが、なぜ髄節が分かるんですか?

博士 博士

腱反射には決まった神経経路があって、感覚と運動の信号が特定の脊髄分節を必ず通るからじゃ。だから反射の有無で、その分節が生きているかが分かる。

サクラ サクラ

なるほど。じゃあ第2〜第4腰髄を調べたいときはどの反射を見ればいいんですか?

博士 博士

それが膝蓋腱反射じゃよ。膝のお皿のすぐ下を打腱器で叩くと、大腿四頭筋が縮んで足が前に跳ね上がる。あれがL2〜L4を通っておる。

サクラ サクラ

輻輳反射は違うんですか?目の反射ですよね。

博士 博士

その通り。輻輳反射は近くを見るときに両眼が内側に寄る反射で、視神経や動眼神経の話。腰髄とは全然関係ないのじゃ。

サクラ サクラ

腹壁反射はどうですか?腹部の反射だから関係ありそうな気もしますが…。

博士 博士

腹壁反射はT7からL1あたりの胸髄〜上部腰髄を反映する表在反射でな。L2〜L4ではないので今回は不正解じゃ。

サクラ サクラ

トルソー徴候とブルンベルグ徴候も選択肢にありましたが、これらは?

博士 博士

トルソー徴候は低カルシウム血症のテタニー所見、ブルンベルグ徴候は腹膜炎を示す反跳痛じゃ。神経の高位診断とは別物じゃな。

サクラ サクラ

反射が弱いときと強いときで、意味が違うんですよね?

博士 博士

鋭い指摘じゃ。減弱・消失なら末梢神経や下位運動ニューロンの障害、亢進なら錐体路など上位運動ニューロンの障害を疑う。左右差を比べるのも大切じゃぞ。

サクラ サクラ

他の腱反射と髄節の対応も整理しておきたいです。

博士 博士

上腕二頭筋反射がC5〜C6、上腕三頭筋反射がC6〜C8、膝蓋腱反射がL2〜L4、アキレス腱反射がS1〜S2じゃ。脊髄損傷や腰椎麻酔の評価にもそのまま使えるぞ。

サクラ サクラ

腱反射ひとつで、これだけ多くの情報が読み取れるんですね。

POINT

膝蓋腱反射は膝蓋腱を叩いて大腿四頭筋を収縮させる深部腱反射で、その反射弓は第2〜第4腰髄を通過します。したがって、この反射を確認することでL2〜L4の脊髄分節の障害を評価できます。輻輳反射は脳神経系、腹壁反射は胸髄〜上部腰髄、トルソー徴候は低Ca血症、ブルンベルグ徴候は腹膜刺激症状を反映する所見であり、いずれもL2〜L4の評価指標ではありません。腱反射ごとの支配髄節を体系的に覚えておくことは、神経学的所見を素早く解釈するための重要な基礎であり、看護現場での観察や急変時の高位判定にも直結します。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:第2〜第4腰髄の障害の有無を把握するために確認するのはどれか。

解説:正解は 3 の「膝蓋腱反射」です。膝蓋腱反射は、膝蓋骨直下の膝蓋腱を打腱器で軽く叩くと大腿四頭筋が反射的に収縮し、下腿が前方に蹴り上がる深部腱反射です。求心路(感覚神経)と遠心路(運動神経)はいずれも大腿神経を介して第2〜第4腰髄(L2〜L4)に入出力するため、この反射の有無や左右差を観察することで該当する脊髄分節の機能評価ができます。反射の減弱・消失は末梢神経や下位運動ニューロンの障害を、反射亢進は錐体路など上位運動ニューロンの障害を示唆します。

選択肢考察

  1. × 1.  輻輳反射

    輻輳反射は近くの物を見つめたときに両眼が内転し瞳孔が縮小する反射で、視神経・動眼神経など脳神経系の機能評価に用いる。腰髄の評価とは無関係である。

  2. × 2.  腹壁反射

    腹壁反射は腹部皮膚を擦過すると腹筋が収縮する表在反射で、おおむね第7胸髄〜第1腰髄(T7〜L1)の支配領域を反映する。L2〜L4の評価指標ではない。

  3. 3.  膝蓋腱反射

    膝蓋腱反射の反射弓はL2〜L4を経由する。減弱や消失があればこの範囲の末梢神経障害や筋疾患を、亢進があれば上位運動ニューロン障害を疑える。

  4. × 4.  Trousseau<トルソー>徴候

    トルソー徴候は上腕にマンシェットを巻き収縮期血圧以上で加圧した際に手指の屈曲と母指内転(助産師の手)が出現する所見で、低カルシウム血症によるテタニーの徴候である。脊髄高位とは関係しない。

  5. × 5.  Blumberg<ブルンベルグ>徴候

    ブルンベルグ徴候は腹部をゆっくり押した手を急に離した瞬間に強い疼痛が走る所見(反跳痛)で、腹膜刺激症状を示す。急性虫垂炎や腹膜炎の評価に用いられ、神経学的高位診断には使わない。

代表的な深部腱反射と支配髄節の対応は、上腕二頭筋反射がC5〜C6、上腕三頭筋反射がC6〜C8、膝蓋腱反射がL2〜L4、アキレス腱反射がS1〜S2である。これらをセットで覚えておくと、脊髄損傷や末梢神経障害の高位診断、腰椎麻酔後の評価などで素早く判断できる。腱反射の左右差や亢進・減弱は上位ニューロンと下位ニューロンの障害を見分ける手がかりになるため、評価時は必ず両側を比較する。

深部腱反射ごとの脊髄支配レベルを問う問題。膝蓋腱反射=L2〜L4の対応を押さえておくことが解答のカギになる。