視床下部は恒常性維持の司令塔
看護師国家試験 第103回 午前 第83問 / 人体の構造・機能 / 神経系
国試問題にチャレンジ
視床下部の機能で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.感覚系上行路の中継核
- 2.長期記憶の形成
- 3.摂食行動の調節
- 4.飲水行動の調節
- 5.姿勢の調節
対話形式の解説
博士
今日は視床下部の働きを整理するぞ。視床下部は間脳の一部で、自律神経と内分泌の最高中枢じゃ。
サクラ
博士、視床と視床下部って名前が似てて混乱します。違いは何ですか?
博士
よい質問じゃ。視床は嗅覚以外の感覚情報を大脳皮質へ中継する「感覚の中継基地」、視床下部はその下にあって生命維持に関わる「恒常性の司令塔」じゃよ。だから選択肢1の感覚系上行路の中継核は視床の役割じゃな。
サクラ
2番の長期記憶の形成はどうですか?
博士
長期記憶、特にエピソード記憶は側頭葉内側の海馬が担う。視床下部の主機能ではないぞ。
サクラ
では3番の摂食行動の調節は?
博士
これは正解じゃ。視床下部外側野に摂食中枢、腹内側核に満腹中枢があって、食欲を巧妙に制御している。レプチンやグレリンといったホルモンも視床下部に作用するんじゃ。
サクラ
4番の飲水行動も視床下部ですよね。
博士
その通り。視床下部の口渇中枢が血漿浸透圧の上昇を感知して、飲水行動とADH(バソプレシン)分泌を引き起こす。脱水時の口渇感はここから生まれるのじゃ。
サクラ
5番の姿勢調節はどこですか?
博士
姿勢や眼球運動の反射調節は中脳・小脳・脳幹網様体じゃ。視床下部は関与せん。
サクラ
視床下部は下垂体ともつながっていますよね。
博士
そう、TRHやCRH、GnRHなどの放出ホルモンを分泌して下垂体前葉を制御し、ADHとオキシトシンも視床下部で合成される。体温、血圧、性、情動まで幅広く司る、まさに恒常性の司令塔じゃ。
サクラ
視床と視床下部、しっかり区別して覚えます。
POINT
視床下部は間脳に位置し、自律神経・内分泌系の最高中枢として恒常性を維持します。摂食中枢・満腹中枢・口渇中枢を有し、摂食行動と飲水行動を調節します。感覚系の中継は視床、長期記憶は海馬、姿勢調節は中脳・脳幹が担うため区別が重要です。
解答・解説
正解は 3 ・ 4 です
問題文:視床下部の機能で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は 3 と 4 です。視床下部は間脳に位置し、自律神経系・内分泌系の最高中枢として体温、血圧、心拍、摂食、飲水、性、睡眠覚醒、情動などの本能行動と恒常性維持を統括しています。摂食中枢(外側野)と満腹中枢(腹内側核)、口渇中枢が存在し、摂食行動と飲水行動を直接調節しています。
選択肢考察
-
× 1. 感覚系上行路の中継核
嗅覚を除く感覚情報を大脳皮質へ中継するのは「視床」であり、視床下部の機能ではありません。
-
× 2. 長期記憶の形成
長期記憶(特にエピソード記憶)の形成に関与するのは側頭葉内側の海馬です。視床下部の主機能ではありません。
-
○ 3. 摂食行動の調節
視床下部外側野に摂食中枢、腹内側核に満腹中枢があり、食欲・摂食行動を調節します。
-
○ 4. 飲水行動の調節
視床下部の口渇中枢が血漿浸透圧の上昇を感知し、飲水行動とADH分泌を調節します。
-
× 5. 姿勢の調節
姿勢や眼球運動の反射的調節は中脳・小脳・脳幹網様体が担い、視床下部の役割ではありません。
視床下部は下垂体と連動し、TRH・CRH・GnRH・GHRHなどの放出ホルモンを分泌して下垂体前葉を制御します。後葉ホルモンであるADH・オキシトシンは視床下部で合成されます。視床(感覚中継)と視床下部(恒常性維持)の役割の違いを区別しておくことが重要です。
間脳における視床と視床下部の機能の違いを区別し、視床下部が恒常性維持の中枢であることを理解しているかを問う問題です。
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