声帯を動かす神経を突き止めよう
看護師国家試験 第113回 午前 第75問 / 人体の構造・機能 / 神経系
国試問題にチャレンジ
声帯の運動や緊張度を調節する神経を分枝するのはどれか。
- 1.三叉神経
- 2.顔面神経
- 3.舌咽神経
- 4.迷走神経
- 5.舌下神経
対話形式の解説
博士
今日は声帯を支配する神経の問題じゃ。嗄声の仕組みを考えるうえでも重要じゃぞ。
サクラ
声帯って喉にありますよね。脳神経のどれかが関係しているのでしょうか。
博士
その通り。脳神経は12対あるが、喉頭を動かすのは第X脳神経の迷走神経じゃ。
サクラ
迷走神経って、内臓にも広く分布している神経ですよね。
博士
うむ、頸部・胸部・腹部まで分布する長い神経じゃ。そこから分かれる反回神経が喉頭筋を支配するんじゃ。
サクラ
反回神経という名前、甲状腺手術の授業で聞いたことがあります。
博士
よく覚えておったな。甲状腺の近くを走るため、手術で損傷すると嗄声になるんじゃ。
サクラ
左右で走行が違うと聞きましたが、どう違うのでしょうか。
博士
左は大動脈弓の下を、右は鎖骨下動脈の下を回り込む。だから胸部病変では左側が麻痺しやすいんじゃ。
サクラ
なるほど、肺がんで嗄声が出ることがあるのはそのためですね。
博士
その通り。では三叉神経や顔面神経は?
サクラ
三叉神経は顔の感覚、顔面神経は表情筋ですよね。声帯には関わりません。
博士
舌下神経は?
サクラ
舌の運動ですね。舌咽神経は咽頭の一部と舌後部の味覚。どれも声帯直接支配ではありません。
博士
完璧じゃ。嗄声を見たら反回神経麻痺を疑う、これを忘れるでないぞ。
POINT
声帯運動を司るのは迷走神経から分かれる反回神経です。左反回神経は大動脈弓を、右は鎖骨下動脈を回って喉頭へ戻るため、胸部の病変では左側が麻痺しやすい特徴があります。甲状腺手術や肺がん、大動脈瘤などで嗄声が出現した際はこの神経の障害を想起することが臨床では重要です。脳神経はそれぞれ固有の機能を持つため、役割を整理して覚えましょう。
解答・解説
正解は 4 です
問題文:声帯の運動や緊張度を調節する神経を分枝するのはどれか。
解説:正解は4です。声帯の運動や緊張度を調節するのは迷走神経から分枝する反回神経(下喉頭神経)と上喉頭神経です。特に反回神経は声帯筋を支配し、発声や気道保護に関与します。
選択肢考察
-
× 1. 三叉神経
三叉神経(第V脳神経)は顔面の感覚と咀嚼筋の運動を担う混合神経で、喉頭や声帯には関与しません。
-
× 2. 顔面神経
顔面神経(第VII脳神経)は表情筋の運動、舌前2/3の味覚、涙腺・唾液腺分泌を司りますが、声帯運動は担いません。
-
× 3. 舌咽神経
舌咽神経(第IX脳神経)は咽頭の感覚・運動の一部、舌後1/3の味覚、耳下腺分泌などを担当し、声帯は支配しません。
-
○ 4. 迷走神経
迷走神経(第X脳神経)から分枝する反回神経が内喉頭筋のほとんどを支配し、声帯の開閉や緊張を調節します。甲状腺手術後の嗄声はこの神経損傷が原因です。
-
× 5. 舌下神経
舌下神経(第XII脳神経)は舌筋の運動を支配するのみで、声帯には関与しません。
反回神経は左右で走行が異なり、左は大動脈弓を、右は鎖骨下動脈を回り込んで喉頭へ戻ります。そのため胸部大動脈瘤や肺尖部の腫瘍では左反回神経麻痺が起こりやすく、嗄声が初発症状となることもあります。輪状甲状筋のみ上喉頭神経外枝が支配する点も押さえておきましょう。
脳神経の機能分担、特に喉頭支配神経を理解しているかを問う問題です。
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