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アセチルコリンが開く扉—筋肉が動く瞬間のイオンの正体

看護師国家試験 第114回 午前 第26問 / 人体の構造・機能 / 神経系

国試問題にチャレンジ

114回 午前 第26問

神経筋接合部にあるイオンチャネル型受容体にアセチルコリンが結合すると、あるイオンが筋細胞内に流入する。 このイオンはどれか。

  1. 1.塩化物イオン
  2. 2.カリウムイオン
  3. 3.カルシウムイオン
  4. 4.ナトリウムイオン

対話形式の解説

博士 博士

今日は神経筋接合部のイオン動態について学ぶぞ。基礎医学の中でも国試頻出の分野じゃ。

アユム アユム

神経から筋肉への伝達ですよね。アセチルコリンが関係するのは知ってます。

博士 博士

その通り。神経終末からアセチルコリンが放出されると、筋細胞側のニコチン性アセチルコリン受容体に結合する。これがイオンチャネル型受容体じゃ。

アユム アユム

イオンチャネル型ってどういう意味ですか?

博士 博士

リガンド(この場合アセチルコリン)が結合すると、受容体自体がイオンの通る穴になるタイプじゃ。代謝型受容体とは別物。

アユム アユム

じゃあ穴が開くと何のイオンが通るんですか?

博士 博士

主にナトリウムイオン(Na⁺)が筋細胞内に流入する。これで終板電位という脱分極が起き、活動電位が広がるのじゃ。

アユム アユム

ナトリウムが入ってくると電位が変わるんですね。カリウムは関係ないんですか?

博士 博士

カリウムは出ていく側で、再分極に関わる。塩化物イオンは抑制性シナプスのGABA受容体などで細胞内に入って過分極を起こす方じゃ。

アユム アユム

カルシウムはどうですか?よく筋収縮で出てきますよね。

博士 博士

鋭いな。Ca²⁺は2か所で重要なのじゃ。①神経終末で流入してアセチルコリン放出を促す、②筋細胞内では筋小胞体から放出されてアクチン・ミオシン相互作用を制御する。

アユム アユム

神経筋接合部の受容体から直接筋細胞に入るわけじゃないんですね。

博士 博士

その通り。流れを整理しよう。①神経活動電位到達→②Ca²⁺流入→③アセチルコリン放出→④受容体結合→⑤Na⁺流入で脱分極→⑥筋小胞体からCa²⁺放出→⑦筋収縮、じゃ。

アユム アユム

これが障害される病気って何かありますか?

博士 博士

重症筋無力症じゃ。アセチルコリン受容体に対する自己抗体ができて、伝達効率が落ちる。眼瞼下垂や易疲労性が特徴じゃよ。

アユム アユム

筋弛緩薬もこの受容体に効くんですか?

博士 博士

その通り。スキサメトニウムは受容体を持続的に刺激して脱感作させる脱分極性、ロクロニウムは受容体を競合的に阻害する非脱分極性じゃ。手術麻酔で頻用される。

アユム アユム

イオンの動きを理解すると、薬や疾患の理解にもつながるんですね。

POINT

神経筋接合部のニコチン性アセチルコリン受容体は、アセチルコリンが結合すると開口する陽イオンチャネルで、主にナトリウムイオンが筋細胞内に流入して終板電位を引き起こします。この脱分極が活動電位を生み、筋小胞体からのCa²⁺放出を介して筋収縮へと至ります。塩化物イオンは抑制性シナプス、カリウムイオンは再分極、カルシウムイオンは神経終末からのアセチルコリン放出と筋小胞体からの放出に関与し、それぞれ役割が異なります。重症筋無力症や筋弛緩薬の作用機序の理解にも直結する知識で、生理学・薬理学・臨床看護を結ぶ重要分野です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:神経筋接合部にあるイオンチャネル型受容体にアセチルコリンが結合すると、あるイオンが筋細胞内に流入する。 このイオンはどれか。

解説:正解は 4 です。神経筋接合部の筋細胞側にはニコチン性アセチルコリン受容体(イオンチャネル型)が存在する。神経終末から放出されたアセチルコリンがこの受容体に結合すると、チャネルが開口し、主にナトリウムイオン(Na⁺)が細胞外から筋細胞内に流入する。これにより終板電位が発生し、脱分極が起こって活動電位が筋線維全体に伝播し、最終的に筋収縮が引き起こされる。

選択肢考察

  1. × 1.  塩化物イオン

    塩化物イオン(Cl⁻)はGABA受容体やグリシン受容体などの抑制性シナプス伝達で細胞内に流入し、過分極(抑制)を引き起こす。神経筋接合部での興奮性伝達には関与しない。

  2. × 2.  カリウムイオン

    カリウムイオン(K⁺)はニコチン性受容体チャネルを通じて細胞外へ流出する側で、再分極期に重要な役割を果たす。流入する主役のイオンではない。

  3. × 3.  カルシウムイオン

    カルシウムイオン(Ca²⁺)は神経終末側で電位依存性チャネルから流入してアセチルコリンの放出を促し、また筋細胞内では筋小胞体から放出されてアクチン・ミオシン相互作用を制御する。神経筋接合部の受容体を介して筋細胞に流入する主イオンではない。

  4. 4.  ナトリウムイオン

    ニコチン性アセチルコリン受容体は陽イオン透過性チャネルで、開口時に主にナトリウムイオンが筋細胞内に流入し、終板電位(脱分極)を引き起こす。これが活動電位形成の引き金となる。

神経筋伝達の流れは①神経終末への活動電位到達→②電位依存性Ca²⁺チャネル開口でCa²⁺流入→③シナプス小胞からアセチルコリン放出→④筋細胞のニコチン性受容体に結合→⑤Na⁺流入で終板電位発生→⑥電位依存性Na⁺チャネル開口で活動電位生成→⑦T管・筋小胞体経由でCa²⁺放出→⑧アクチン・ミオシン相互作用で筋収縮、という連鎖反応となる。重症筋無力症ではこの受容体に対する自己抗体ができ伝達が障害される。筋弛緩薬のスキサメトニウム(脱分極性)やロクロニウム(非脱分極性)もこの受容体に作用する。

神経筋接合部の興奮性伝達でナトリウムイオンが主役となることを問う問題。「アセチルコリン→Na⁺流入→脱分極」の流れを押さえる。