災害時のこころのケア!DPATとPFAを正しく理解しよう
看護師国家試験 第114回 午後 第74問 / 看護の統合と実践 / 災害と看護
国試問題にチャレンジ
災害時のこころのケアで正しいのはどれか。
- 1.こころのケアは発災直後から数週間で終了する。
- 2.災害派遣精神医療チーム(DPAT)は航空機事故が発生したときにも活動する。
- 3.こころのケアチームを組織化する目的は福祉避難所で医療活動を行うためである。
- 4.サイコロジカルファーストエイド<Psychological First Aid:PFA>は発災1か月後に精神科医が行う。
対話形式の解説
博士
今日は災害時のメンタルヘルス支援、特にDPATとPFAについて学ぶのじゃ。
アユム
DPATって聞いたことがあります。災害が起きた時に派遣される精神科のチームですよね?
博士
その通り。災害派遣精神医療チーム、Disaster Psychiatric Assistance Teamの略じゃ。東日本大震災の経験を踏まえて、2013年に厚生労働省が制度化したものなのじゃ。
アユム
地震や津波の時に活動するんですよね?
博士
もちろんじゃが、活動対象はもっと広いのじゃ。航空機事故、列車事故、大規模犯罪事件など、多数の被災者が出る集団災害すべてが対象じゃ。
アユム
え、自然災害だけじゃないんですか!
博士
そうじゃ。だから問題の選択肢2「DPATは航空機事故でも活動する」は正しいのじゃ。
アユム
他のチームと混同しそうです…DMATとの違いは?
博士
良いところに気づいたぞ。DMAT(災害派遣医療チーム)は急性期の身体救急、つまり外傷や災害医療を担当する。DPATは精神保健に特化したチームじゃ。役割が違うのじゃよ。
アユム
なるほど、身体はDMAT、こころはDPATですね。
博士
うむ。次にPFA(Psychological First Aid、心理的応急処置)についてじゃ。これは誰がいつ行うと思う?
アユム
精神科医の先生が、災害から少し経って落ち着いた頃に行うんでしょうか?
博士
違うのじゃ。PFAは発災直後から実施でき、訓練を受けていれば医療職以外でも実践できるのじゃ。看護師、保健師、教員、ボランティアでも可能じゃ。
アユム
そんなに広く活用できるんですね。
博士
PFAの基本は「見る・聞く・つなぐ」の3ステップ。安全と安心を提供し、必要に応じて専門機関につなぐのが役割じゃ。決して心理療法やカウンセリングではない点に注意じゃよ。
アユム
じゃあ、こころのケアは発災直後の数週間で終わるものなんですか?
博士
そこも誤解されやすい点じゃ。災害後のメンタルヘルスは急性期だけでなく、PTSDや遅発性うつなど中長期にわたって出現するのじゃ。数か月から数年単位で継続的支援が必要じゃよ。
アユム
阪神・淡路大震災の被災者で、何年も経ってから症状が出たという話を聞きました。
博士
その通りじゃ。だから災害看護では「短期で終わらせない」「焦らない」「長く寄り添う」という姿勢が大切なのじゃ。
POINT
災害派遣精神医療チーム(DPAT)は自然災害だけでなく、航空機事故や列車事故、大規模犯罪事件など多人数被災を伴うあらゆる集団災害で活動する精神保健の専門チームです。災害後のこころの反応は急性期から中長期にわたって続くため、数週間で終わるものではなく、PTSDや遅発性うつなどに対応する継続的支援が必要となります。サイコロジカルファーストエイド(PFA)は発災直後から訓練を受けた支援者であれば誰でも実施できる心理的応急処置で、「見る・聞く・つなぐ」を基本に安全と安心を提供します。看護師は災害サイクル全期において、身体ケアと並行してこころのケアを担う重要な役割を果たすため、各支援チームの役割分担とPFAの基本概念を正確に理解しておくことが求められます。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:災害時のこころのケアで正しいのはどれか。
解説:正解は 2 です。災害派遣精神医療チーム(DPAT:Disaster Psychiatric Assistance Team)は、自然災害(地震・津波・豪雨など)に加えて、航空機事故・列車事故・大規模事件など多人数被災を伴うあらゆる集団災害において、被災地に派遣されて精神科医療と精神保健活動を提供する専門チームである。精神科医・看護師・業務調整員などで構成され、東日本大震災(2011年)の経験を踏まえて2013年に厚生労働省が制度化した。
選択肢考察
-
× 1. こころのケアは発災直後から数週間で終了する。
災害後のこころの反応は急性期のみならず、PTSD・うつ・複雑性悲嘆など中長期にわたって出現することが多い。数か月〜数年単位での継続的支援が必要で、短期間で完結するものではない。
-
○ 2. 災害派遣精神医療チーム(DPAT)は航空機事故が発生したときにも活動する。
DPATの活動対象は自然災害に限らず、航空機・列車などの大規模事故、犯罪事件など集団災害全般を含む。被災者・支援者の精神保健ニーズに応えるため広範囲に派遣される。
-
× 3. こころのケアチームを組織化する目的は福祉避難所で医療活動を行うためである。
こころのケアチームの目的は被災者・支援者の精神保健支援とメンタルヘルスの保護であり、福祉避難所での医療提供に限定されない。活動場所は避難所・自宅訪問・地域支援センターなど多岐にわたる。
-
× 4. サイコロジカルファーストエイド<Psychological First Aid:PFA>は発災1か月後に精神科医が行う。
PFAは発災直後から実施できる心理的応急処置で、訓練を受けた支援者であれば医療職以外でも実践可能。「見る・聞く・つなぐ」を基本に、安全と安心の提供を行う。精神科医に限定されない。
DPAT・JMAT・DMATなど災害医療チームの違いは国試頻出。DMAT(災害派遣医療チーム)は急性期の身体救急、JMAT(日本医師会災害医療チーム)は亜急性期以降の医療支援、DPATは精神保健活動を担当する。PFAはWHOやアメリカのNCTSNが手引きを公開しており、(1) 準備・(2) 見る・(3) 聞く・(4) つなぐ の4ステップで構成される。心の反応は急性期(〜1か月)・中長期(数か月〜数年)に分けて支援を継続する必要がある。
災害時メンタルヘルスの基本概念(DPATの活動範囲、PFAの実施者と時期、こころのケアの長期性)を多角的に問う問題。
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