PCI術後の観察項目
看護師国家試験 第103回 午後 第92問 / 看護の統合と実践 / 臨床実践場面における統合的な判断
国試問題にチャレンジ
次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(48歳、男性、会社員)は、8年前から高血圧症(hypertension)、脂質異常症(dyslipidemia)および労作性狭心症(angina of effort)に対して内服治療をしていた。胸部絞扼感が時々出現するため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を実施することになった。Aさんは身長165cm、体重80kgである。午前9時過ぎから左橈骨動脈を穿刺し、狭窄部位である左冠状動脈にステント留置術が行われ、午前11時ころに終了した。 経皮的冠動脈形成術〈PCI〉終了後も点滴静脈内注射が継続され、抗血小板薬と抗菌薬の投与が行われた。その後、看護師はAさんの穿刺部位の出血がないことを確認した。 次に行う観察で最も注意すべき項目はどれか。
- 1.発熱
- 2.麻痺症状
- 3.皮膚の黄染
- 4.穿刺部位の感染徴候
対話形式の解説
博士
Aさんは穿刺部の出血がないことを確認したあと、抗血小板薬と抗菌薬の点滴を継続しておるんじゃ。次に何を観察すべきかが問題じゃのう。
アユム
選択肢を見ると、発熱、麻痺、黄染、感染徴候とありますね。
博士
さて、橈骨動脈穿刺で圧迫固定をしておるが、手首の解剖を考えると何が問題になるかのう?
アユム
手首は動脈と神経が近いんですよね。
博士
その通りじゃ。橈骨神経や正中神経が圧迫されて麻痺やしびれを起こす危険があるんじゃ。よって正解は2の麻痺症状じゃ。
アユム
神経が近い部位だから優先度が高いんですね。
博士
うむ、しかも長時間の圧迫は不可逆的な障害につながるから早期発見が大切じゃ。
アユム
選択肢1の発熱はどうですか?
博士
抗菌薬は予防投与で、感染や造影剤による発熱が出るのは数時間〜数日後じゃから、術直後の観察優先度は低いんじゃ。
アユム
選択肢3の黄染は?
博士
造影剤や抗血小板薬で皮膚が黄染することはなく、Aさんの病態とも関係ないのう。
アユム
選択肢4の感染徴候は?
博士
発赤や腫脹は通常術後数日して出るもので、止血直後に出る所見ではないんじゃ。
アユム
圧迫中はどんな観察をすればいいですか?
博士
末梢のしびれ・冷感・チアノーゼ・橈骨動脈拍動・指の運動をセットで観察するんじゃ。神経障害を疑ったら速やかに圧迫を緩めて医師に報告じゃ。
アユム
早期発見すれば回復が見込めるんですね。
博士
そうじゃ、抗血小板薬中は遅発性出血にも注意して、合併症を見逃さんよう関わるんじゃぞ。
POINT
橈骨動脈穿刺後の圧迫固定では、橈骨神経や正中神経が圧迫されて麻痺やしびれが生じる危険があります。手首は動脈と神経が近接するため、出血確認後は末梢の知覚・運動状態を最優先で観察します。発熱や感染徴候は術直後には出にくく、優先度は低いです。神経障害を早期発見できれば圧迫を緩めることで回復が見込めるため、麻痺症状の観察が重要となります。
解答・解説
正解は 2 です
問題文:次の文を読み、問いに答えよ。 Aさん(48歳、男性、会社員)は、8年前から高血圧症(hypertension)、脂質異常症(dyslipidemia)および労作性狭心症(angina of effort)に対して内服治療をしていた。胸部絞扼感が時々出現するため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を実施することになった。Aさんは身長165cm、体重80kgである。午前9時過ぎから左橈骨動脈を穿刺し、狭窄部位である左冠状動脈にステント留置術が行われ、午前11時ころに終了した。 経皮的冠動脈形成術〈PCI〉終了後も点滴静脈内注射が継続され、抗血小板薬と抗菌薬の投与が行われた。その後、看護師はAさんの穿刺部位の出血がないことを確認した。 次に行う観察で最も注意すべき項目はどれか。
解説:正解は2です。橈骨動脈穿刺後の圧迫固定では、橈骨神経や正中神経を圧迫することによる神経障害(しびれ・麻痺・運動障害)が生じる危険があります。手首は皮下脂肪が少なく動脈と神経が近接しているため、圧迫の影響を受けやすい部位です。出血の有無を確認したあとは、末梢の知覚・運動状態を評価し、麻痺症状の早期発見に努めることが優先されます。
選択肢考察
-
× 1. 発熱
誤りです。発熱は感染や造影剤による副作用で生じうるものの、PCI直後に出現する症状ではなく、麻痺症状ほど優先順位は高くありません。抗菌薬は予防的に投与されています。
-
○ 2. 麻痺症状
正しい観察項目です。橈骨動脈穿刺後の圧迫固定により、橈骨神経・正中神経が圧迫されて末梢の知覚鈍麻や運動麻痺を生じる危険があります。早期発見できれば圧迫を緩めることで回復が見込めるため、最も注意すべき項目です。
-
× 3. 皮膚の黄染
誤りです。PCIで使用する造影剤や抗血小板薬は皮膚の黄染を起こしません。Aさんの病態にも黄疸を疑う所見はなく、観察の優先度は低いです。
-
× 4. 穿刺部位の感染徴候
誤りです。穿刺部の感染徴候(発赤・腫脹・熱感)は通常、術後数日経過してから出現するもので、術直後に最優先で観察する項目ではありません。
橈骨動脈圧迫中は、出血・血腫の有無に加え、末梢のしびれ・冷感・チアノーゼ・橈骨動脈拍動・指の運動などをセットで観察します。神経障害が疑われる際は速やかに圧迫を緩め医師に報告します。抗血小板薬投与中は遅発性出血にも注意が必要です。
橈骨動脈穿刺後の圧迫固定で生じやすい合併症のうち、術直後に最優先で観察すべき項目を判断できるかが問われています。
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