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医療現場の暴力は組織で防ぐ!看護師が知っておくべき基本

看護師国家試験 第106回 午後 第85問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

106回 午後 第85問

医療現場における暴力について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.精神科に特有のものである。
  2. 2.病室環境は誘因にならない。
  3. 3.目撃者は被害者に含まれない。
  4. 4.暴力予防プログラムに合わせて対処する。
  5. 5.発生を防止するためには組織的な体制の整備が重要である。

対話形式の解説

博士 博士

今日は医療現場における暴力について学ぶぞ。看護師の安全に直結する重要テーマじゃ。

サクラ サクラ

医療現場の暴力って、精神科だけの問題じゃないんですか?

博士 博士

それが大きな誤解じゃ。かつては精神科や救急外来で特に問題視されたが、今は内科、外科、産婦人科、外来、介護施設などあらゆる場で発生しておる。

サクラ サクラ

そうなんですね。データとしてはどれくらい多いんですか?

博士 博士

日本看護協会の調査では、看護師の半数以上が患者や家族からの暴力・暴言・ハラスメントを経験しているという結果が出ておる。

サクラ サクラ

半数以上!それは深刻ですね…。

博士 博士

うむ。しかも暴力は身体的なものだけでなく、暴言・脅迫・セクシュアルハラスメント・心理的暴力も含まれるんじゃ。

サクラ サクラ

心理的暴力って具体的には?

博士 博士

大声で怒鳴る、人格を否定する発言、威圧的な態度などじゃ。目撃した同僚スタッフも心理的影響を受けて二次被害者となることがあるんじゃよ。

サクラ サクラ

目撃者も被害者に含まれるんですね!これは初めて知りました。

博士 博士

WHOやILOのガイドラインでも明記されている重要なポイントじゃ。

サクラ サクラ

病室環境は暴力の誘因にならないと考えていいんですか?

博士 博士

いや、むしろ関与する。閉鎖的・狭い・騒音・プライバシー不足などはストレス要因となり暴力の引き金になりうる。環境整備も予防の柱じゃ。

サクラ サクラ

対応はどうすればいいんですか?個人で頑張るしかないんでしょうか?

博士 博士

いや、そこが重要じゃ。個人の力量に頼るのではなく、組織的な体制整備が不可欠なんじゃ。

サクラ サクラ

具体的にはどんな仕組みがあるんですか?

博士 博士

包括的暴力防止プログラム、いわゆるCVPPPというのがあっての、予防・早期介入・身体介入・事後対応を体系的にまとめたガイドラインじゃ。

サクラ サクラ

全国で共通のプログラムがあるんですね。

博士 博士

うむ。ほかにも職員研修、マニュアル整備、報告体制、警備との連携、被害者のメンタルサポートなどが重要じゃ。特にde-escalation(緊張緩和)技術の習得は効果的じゃよ。

サクラ サクラ

de-escalationって、エスカレートさせないための技術ですね。

博士 博士

その通り。相手の感情を否定せず、落ち着いた声で、距離を取りながら対応するなどの具体的手法がある。

サクラ サクラ

看護師が一人で抱え込まず、組織で守る体制が大切なんですね。

POINT

医療現場の暴力は精神科に特有ではなく全診療科・全施設で発生しうる普遍的な課題であり、身体的暴力に加えて暴言・セクハラ・心理的暴力も含まれます。目撃したスタッフも二次被害者となる可能性があり、病室環境などの要因も暴力の誘因となりえます。対応は個人の力量ではなく、CVPPPのような包括的暴力防止プログラムに基づく組織的体制整備が不可欠で、予防・早期介入・事後ケアの一連の流れを施設全体で構築する必要があります。看護師は自らの安全を確保しつつ、患者の尊厳も守るバランスを学び、報告・記録・チーム連携を徹底することが求められます。安全な職場環境は質の高い看護の前提条件です。

解答・解説

正解は 4 5 です

問題文:医療現場における暴力について正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 4(暴力予防プログラムに合わせて対処する)と 5(発生を防止するためには組織的な体制の整備が重要である)です。医療現場の暴力は精神科に限らずすべての診療科・施設で発生しうる問題で、個人の力量ではなく組織としての対策が不可欠です。包括的暴力防止プログラム(CVPPP:Comprehensive Violence Prevention and Protection Programme)などのガイドラインに沿って、予防・早期介入・事後対応を体系的に行い、施設全体でマニュアル整備・研修・報告体制を構築することが求められます。

選択肢考察

  1. × 1.  精神科に特有のものである。

    院内暴力はかつて精神科や救急外来で特に注目されたが、現在は内科系・外科系・外来・介護施設を含めてあらゆる場で発生している。特定診療科の問題とするのは誤り。

  2. × 2.  病室環境は誘因にならない。

    狭さ・閉鎖性・騒音・プライバシー不足などの病室環境はストレスとなり暴力の引き金になりうる。環境整備も暴力予防の重要な要素。

  3. × 3.  目撃者は被害者に含まれない。

    暴力の目撃者も心理的外傷を受ける二次被害者とされる。WHOやILOのガイドラインでも目撃者へのケアが明記されている。

  4. 4.  暴力予防プログラムに合わせて対処する。

    CVPPPなどの包括的暴力防止プログラムは、予防・早期介入・身体介入・事後対応を体系化したもの。科学的根拠に基づいた対応が患者・スタッフ双方の安全につながる。

  5. 5.  発生を防止するためには組織的な体制の整備が重要である。

    暴力への対応は個人の力量に依存せず、マニュアル整備・研修・報告体制・警備連携・メンタルサポートなど組織的な体制構築が不可欠。

医療現場の暴力は身体的暴力だけでなく、言葉による暴力(暴言・脅迫)、セクシュアルハラスメント、精神的暴力も含まれる。日本看護協会の調査では看護師の過半数が患者や家族からの暴力・ハラスメントを経験しており、深刻な課題となっている。対策の柱は(1)リスクアセスメント(既往歴・行動観察)、(2)環境整備、(3)職員研修、(4)事前計画(de-escalation技術の習得)、(5)発生時の安全確保、(6)報告・記録、(7)被害者ケア(PTSD予防)。患者の権利を尊重しつつスタッフの安全も守るバランスが重要である。

医療現場の暴力は全診療科で起こり得る普遍的課題であり、個人ではなく組織で対応すべきという基本理念を問う問題。