StudyNurse

特定行為研修制度を整理 看護師が「手順書」で動く新しい役割

看護師国家試験 第106回 午前 第70問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

106回 午前 第70問

特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。

  1. 1.特定行為は診療の補助行為である。
  2. 2.研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。
  3. 3.研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。
  4. 4.看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。

対話形式の解説

博士 博士

今日は特定行為に係る看護師の研修制度じゃ。2015年施行の比較的新しい制度で、国試でもよく問われるぞ。

アユム アユム

特定行為って、医師の仕事を看護師が代わりにやるみたいなイメージがあります。

博士 博士

そこが大事な誤解じゃ。特定行為はあくまで「診療の補助」の範囲内じゃ。医師の代理ではなく、保助看法第37条の2に基づき、手順書というルールに従って看護師が高度な診療補助を行う仕組みじゃ。

アユム アユム

なるほど、選択肢1「特定行為は診療の補助行為である」が正解なんですね。

博士 博士

うむ。そして「手順書」がキーワードじゃ。主治医があらかじめ「こういう状態ならこの行為をしてよい」という判断基準と行為内容を文書で示し、看護師はその範囲内で患者を評価して実施する。

アユム アユム

たとえばどんな行為がありますか?

博士 博士

現在21区分38行為が指定されておる。例を挙げると、気管カニューレの交換、胃ろうボタンの交換、中心静脈カテーテルの抜去、人工呼吸器からの離脱、持続点滴中の高カロリー輸液の投与量調整、脱水症状に対する輸液による補正、直接動脈穿刺法による採血などじゃ。

アユム アユム

けっこう高度な内容ですね。

博士 博士

じゃから研修が必要なのじゃ。共通科目250時間+区分別科目(区分ごとに15〜72時間)を受けて、指定研修機関で学ぶ。

アユム アユム

選択肢2の「都道府県知事が指定する研修機関」は?

博士 博士

これは誤り。指定するのは「厚生労働大臣」じゃ。

アユム アユム

選択肢3の「10年以上の実務経験」は?

博士 博士

法令上、実務経験年数の規定はない。ただし多くの研修機関が3〜5年程度の実務経験を推奨しておる。内容が高度じゃから、ある程度の臨床経験がある方が学習も実務も円滑になる。

アユム アユム

選択肢4の「看護師等の人材確保の促進に関する法律」は?

博士 博士

これも誤り。特定行為研修の根拠は保健師助産師看護師法じゃ。人材確保法は看護師の需給や処遇改善を扱う別の法律じゃな。

アユム アユム

制度の目的は何ですか?

博士 博士

在宅・救急・周術期・慢性期で、医師が常駐していなくても迅速に対応できる看護師を育てること。特に在宅医療や地域包括ケアの推進には欠かせぬ存在じゃ。

アユム アユム

国の目標はどうなっているんですか?

博士 博士

2025年までに10万人以上の特定行為研修修了者確保が目標じゃ。現状は追い付いておらぬから、今後も拡大が続く分野じゃよ。

アユム アユム

看護師のキャリアアップの選択肢としても注目されているんですね。

博士 博士

うむ、専門看護師や認定看護師とも組み合わせて、より高度実践看護師としての役割を担う流れじゃ。

アユム アユム

国試対策的には、根拠法・指定者・定義の3点セットを覚えればよさそうです。

博士 博士

その通りじゃ。「保助看法」「厚労大臣指定」「診療の補助」の3点が鍵じゃよ。

POINT

特定行為に係る看護師の研修制度は2015年施行、保健師助産師看護師法第37条の2に基づく制度で、特定行為はあくまで「診療の補助」の範囲内に位置づけられます。現在21区分38行為が指定され、主治医の作成した手順書に従い、看護師が患者の状態をアセスメントしたうえで実施する仕組みです。研修機関は厚生労働大臣が指定し、実務経験年数に関する法令上の明文規定はありません。在宅医療や地域包括ケアの推進を背景に、迅速な判断と高度な技能を兼ね備えた看護師の養成が進められており、チーム医療の中核を担う新しいキャリアパスとして注目されています。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:特定行為に係る看護師の研修制度に関して正しいのはどれか。

解説:正解は 1 の「特定行為は診療の補助行為である」です。特定行為に係る看護師の研修制度は2015年10月に施行され、保健師助産師看護師法に基づく制度です。特定行為は「診療の補助であって、看護師が手順書により行う場合には実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされるもの」と定義され、現在21区分38行為が指定されています。主治医が事前に作成した「手順書」に基づき、看護師が患者の状態をアセスメントしたうえで医行為の一部を実施する仕組みです。在宅・救急・周術期などで医師の包括的指示のもと迅速な対応を可能にし、チーム医療と地域医療の推進を目的としています。

選択肢考察

  1. 1.  特定行為は診療の補助行為である。

    特定行為は保助看法第37条の2に規定される「診療の補助」の一部であり、業務独占としての看護師の役割の範囲内。医行為を代行するのではなく、手順書に従って行う高度な診療補助と位置づけられる。

  2. × 2.  研修は都道府県知事が指定する研修機関で実施する。

    特定行為研修は厚生労働大臣が指定する研修機関(大学・病院など)で実施する。都道府県知事ではない。

  3. × 3.  研修を受けるには10年以上の実務経験が必要である。

    法令上、実務経験年数の要件は定められていない。ただし多くの研修機関は3〜5年程度の実務経験を推奨しており、知識・技術面での準備が求められる。

  4. × 4.  看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められている。

    特定行為研修は保健師助産師看護師法第37条の2に基づく制度で、看護師等の人材確保の促進に関する法律ではない。人材確保法は看護師の需給対策や処遇改善を扱う別の法律。

特定行為38行為は21区分に分けられ、例として「経口用気管チューブまたは経鼻用気管チューブの位置の調整」「人工呼吸器からの離脱」「気管カニューレの交換」「中心静脈カテーテルの抜去」「胃ろうカテーテルまたは腸ろうカテーテル、胃ろうボタンの交換」「持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整」などがある。2025年までに10万人以上の特定行為研修修了者確保が国の目標であり、在宅・救急・周術期・慢性期など幅広い領域での活躍が期待されている。

特定行為の法的位置づけ(診療の補助/保助看法)、研修機関(厚労大臣指定)、実務経験要件(明文規定なし)を整理して正答を導く問題。