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ヒューマンエラーの三つの特性を見分けよう

看護師国家試験 第110回 午後 第35問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

110回 午後 第35問

ヒューマンエラーを起こす人間の特性で認知的特性はどれか。

  1. 1.同僚への依存
  2. 2.睡眠不足による疲労
  3. 3.同じ作業の連続による注意力低下
  4. 4.パワーハラスメントによる心理的圧迫

対話形式の解説

博士 博士

今日はヒューマンエラーと人間の特性についての問題じゃ。

サクラ サクラ

認知的特性というのが正解を選ぶカギですね。

博士 博士

そうじゃ、人間特性は生理的・認知的・社会心理的の三つに大別されるのじゃ。

サクラ サクラ

生理的特性とはどんなものですか。

博士 博士

疲労、睡眠不足、加齢、サーカディアンリズムの乱れなど身体に由来するものじゃ。

サクラ サクラ

では睡眠不足による疲労は生理的特性ですね。

博士 博士

その通り。選択肢2はそれに該当する。

サクラ サクラ

社会心理的特性は。

博士 博士

同僚への依存やパワハラによる圧迫のように、人と人との関係の中で生じるものじゃ。選択肢1と4がこれに当たる。

サクラ サクラ

認知的特性は何でしょうか。

博士 博士

知覚・注意・記憶・判断という情報処理の限界じゃ。同じ作業を続けると注意が落ちるのは典型例じゃよ。

サクラ サクラ

警戒水準が下がるということですね。

博士 博士

そうじゃ、単純作業が長く続くと見落としや勘違いが増えるのじゃ。

サクラ サクラ

では正解は3ですね。

博士 博士

その通り、3が認知的特性として正解じゃよ。

POINT

ヒューマンエラーの背景には生理的・認知的・社会心理的という三つの人間特性が絡みます。同じ作業の連続による注意力低下は情報処理の限界に由来する認知的特性の代表例です。疲労は生理的、依存や圧迫は社会心理的と整理しましょう。医療現場ではダブルチェックや指差し呼称でこれらの限界を補う仕組み作りが重要です。

解答・解説

正解は 3 です

問題文:ヒューマンエラーを起こす人間の特性で認知的特性はどれか。

解説:正解は 3 です。ヒューマンエラーを誘発する人間の特性は、身体面に関わる生理的特性、知覚・注意・判断などに関わる認知的特性、集団や対人関係に関わる社会心理的特性に整理されます。同じ作業を続けることで集中力が落ち、情報の取り込みや判断に抜けが生じるのは「注意」という認知機能の限界から生まれるもので、認知的特性に分類されます。疲労や心理的圧迫との違いを押さえることがポイントです。

選択肢考察

  1. × 1.  同僚への依存

    他者にやってもらえるだろうと任せてしまう依存は、人と人との関わりの中で生じる社会心理的特性(集団的特性)に分類されます。「リンゲルマン効果」のような集団における手抜きの発生と関連し、個人の知覚や判断そのものの限界ではありません。

  2. × 2.  睡眠不足による疲労

    睡眠不足や加齢、空腹、サーカディアンリズムの乱れによって心身のパフォーマンスが低下するのは生理的特性です。夜勤明けなど身体的条件がエラーを誘発する場面が典型で、情報処理そのものの偏りとは区別されます。

  3. 3.  同じ作業の連続による注意力低下

    注意は長時間維持できず、同じ作業を続けると監視能力が徐々に低下します(警戒水準の低下・注意資源の枯渇)。これは知覚・注意・記憶・判断といった情報処理にかかわる認知機能の限界であり、認知的特性の代表例といえます。

  4. × 4.  パワーハラスメントによる心理的圧迫

    上司からの威圧や組織内の権威関係の中で意見を言えなくなる状態は、対人関係や集団構造に起因する社会心理的特性です。個人の認知機能そのものではなく、組織環境からのストレスがエラーを誘発する側面を表しています。

医療安全では、エラーを個人の責任に帰するのではなく、人間の限界を前提としたシステム設計で防ぐという考え方が主流です。スイスチーズモデルでは複数の防護壁の穴が重なったときに事故が発生するとされ、ダブルチェック、指差し呼称、電子チャートのアラート機能などは認知的特性の限界を補う仕組みです。認知・生理・社会心理という三分類に加え、エラー誘発環境(照明・騒音・作業動線)もしっかり整えることが、インシデント予防の実務では重要になります。

ヒューマンエラーの背景にある人間特性の分類(生理的・認知的・社会心理的)を理解し、注意力低下が情報処理の限界=認知的特性であることを識別できるかを問う問題です。