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看護の質を測る3つの視点 ― アウトカムとは何か

看護師国家試験 第112回 午前 第90問 / 看護の統合と実践 / 看護におけるマネジメント

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第90問

看護のアウトカムを評価するために収集する情報はどれか。2つ選べ。

  1. 1.褥瘡発生率
  2. 2.患者の満足度
  3. 3.研修会の開催回数
  4. 4.新人看護師の離職率
  5. 5.退院指導の実施回数

対話形式の解説

博士 博士

今回は看護のアウトカム評価じゃ。医療マネジメント分野で頻出の重要論点じゃよ。

アユム アユム

そもそもアウトカムって何ですか?

博士 博士

ドナベディアンが提唱した医療の質評価モデルでは、ストラクチャー(構造)・プロセス(過程)・アウトカム(結果)の3つの視点がある。アウトカムは看護ケアの結果として患者に生じた変化、つまり成果を数値化したものじゃ。

アユム アユム

ストラクチャーとは?

博士 博士

医療提供のための資源・体制じゃ。看護師の配置基準、認定看護師数、病床数、マニュアル整備、研修制度、教育体制、離職率などが含まれる。

アユム アユム

プロセスは?

博士 博士

実際に提供された医療行為の過程じゃ。退院指導を何回実施したか、手指衛生遵守率、アセスメント実施率、看護記録の質、ケアの手順遵守状況など。

アユム アユム

そしてアウトカムがケアの結果ですね?

博士 博士

その通り。褥瘡発生率、転倒発生率、院内感染率、再入院率、ADL維持率、QOL、患者満足度、死亡率、在院日数などじゃ。

アユム アユム

褥瘡発生率は典型的なアウトカムですね。

博士 博士

そうじゃ。看護ケアの質が高ければ褥瘡は予防でき、発生率は低く抑えられる。結果指標として非常に分かりやすい。

アユム アユム

患者満足度もアウトカムですか?

博士 博士

主観的アウトカムの代表じゃ。近年は患者報告アウトカム(PRO: Patient-Reported Outcome)が重視され、患者自身が評価するQOLや症状緩和度なども広く活用されている。

アユム アユム

研修会の開催回数はどこに入りますか?

博士 博士

教育体制を示すストラクチャーじゃ。研修を何回やったかは組織としての投資を表すが、それ自体は患者の結果変化ではない。

アユム アユム

新人看護師の離職率は?

博士 博士

人的資源を測る指標でストラクチャーに近い。もちろん離職率が高いと医療の質に影響するが、直接的な患者アウトカムではない。

アユム アユム

退院指導の実施回数は迷いました。

博士 博士

実施回数はプロセスじゃ。ただし『退院後の再入院率』『自己管理達成度』『患者の理解度』となればアウトカム側に移る。同じテーマでも切り口で分類が変わる好例じゃな。

アユム アユム

3視点を組み合わせる意義は?

博士 博士

どれか一つでは質を全体評価できない。例えばスタッフが十分でも(ストラクチャー良好)、プロセスが雑なら結果は悪い。逆に一時的にアウトカムが良くても、体制・過程が伴わなければ持続しないのじゃ。

アユム アユム

日本の看護実務で使われている指標はありますか?

博士 博士

日本看護協会のDiNQL(労働と看護の質向上のためのデータベース)が有名じゃ。褥瘡、転倒転落、身体拘束、感染、インシデント、看護師の労働環境などを統一指標で評価している。

アユム アユム

じゃあ今回の正解は褥瘡発生率と患者の満足度ですね。

博士 博士

その通り。ストラクチャー(研修会開催回数、離職率)とプロセス(退院指導の実施回数)との違いが明確に整理できれば完璧じゃ。

POINT

Donabedianの医療の質評価モデルは、ストラクチャー(構造)、プロセス(過程)、アウトカム(結果)の3視点からケアの質を評価する枠組みであり、看護管理の基礎理論となっている。アウトカムは看護ケアの結果として患者に生じた身体的・主観的な変化を指標化するもので、褥瘡発生率、転倒発生率、感染率、再入院率、QOL、患者満足度などが代表的である。一方、研修会開催回数や離職率はストラクチャー指標、退院指導の実施回数はプロセス指標として整理される。看護師は3視点を相補的に活用し、日本看護協会のDiNQLなどのデータベースも参考にしながら、医療の質を継続的に評価・改善する役割を担う必要がある。

解答・解説

正解は 1 2 です

問題文:看護のアウトカムを評価するために収集する情報はどれか。2つ選べ。

解説:正解は 1 と 2 です。Donabedianの医療の質評価モデルでは、ストラクチャー(構造)・プロセス(過程)・アウトカム(結果)の3つの視点からケアの質を評価する。アウトカムは看護ケアの結果として患者に生じた状態変化や満足度を指標化するもので、褥瘡発生率(有害事象の減少)と患者満足度(主観的評価)はいずれもアウトカム指標の代表例である。

選択肢考察

  1. 1.  褥瘡発生率

    褥瘡発生率は看護ケアの結果として患者に生じた身体的変化を示すアウトカム指標。院内感染率、転倒発生率、再入院率、ADL維持率なども同カテゴリー。

  2. 2.  患者の満足度

    患者満足度は主観的アウトカムの代表例。QOL、症状緩和度、自己管理能力の向上なども患者視点のアウトカム評価に含まれる。

  3. × 3.  研修会の開催回数

    研修会開催回数は教育・組織体制を示すストラクチャー(構造)指標。看護師配置基準、認定看護師数、病床数なども同分類。

  4. × 4.  新人看護師の離職率

    離職率は人的資源に関わる指標で、組織体制としてストラクチャー寄りに分類される。患者アウトカム評価の直接指標ではない。

  5. × 5.  退院指導の実施回数

    退院指導を何回実施したかはプロセス(過程)指標。どのような指導をどのように行ったかの過程を示すが、結果としての患者変化はアウトカムで測定する。

Donabedianのモデルでは、ストラクチャーは『医療提供に必要な人的・物的・組織的資源』(看護師配置、認定看護師数、設備、マニュアル、研修制度、離職率)、プロセスは『提供された医療行為そのもの』(退院指導実施回数、手順遵守率、看護記録の質、アセスメント実施率)、アウトカムは『患者に生じた結果』(褥瘡発生率、転倒発生率、感染率、QOL、満足度、在院日数、死亡率)と整理される。3視点をバランスよく評価することで、医療の質全体を包括的にマネジメントできる。近年は患者報告アウトカム(PRO)や臨床看護指標(NDB、DiNQL)を活用した評価も進んでいる。

Donabedianのストラクチャー・プロセス・アウトカム3視点の分類を理解し、各選択肢がどの視点に属するかを判定できるかを問う。