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薬が足りないと訴えられたときの優先順位

看護師国家試験 第107回 午前 第113問 / 看護の統合と実践 / 状況設定問題

国試問題にチャレンジ

107回 午前 第113問

Aさん( 38歳、男性 )。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 入院後2日、冠動脈造影< CAG >が実施された。冠動脈に有意な狭窄はなく、Aさんは急性心外膜炎(acute pericarditis)と診断された。胸痛に対して消炎鎮痛薬が5日分処方された。 処方された2日後、Aさんから「薬がなくなったので追加で処方して欲しい」と病棟看護師に依頼があった。 看護師の対応で優先されるのはどれか。

  1. 1.Aさんの痛みの程度を確認する。
  2. 2.医師に鎮痛薬の増量を相談する。
  3. 3.Aさんが以前常用していた鎮痛薬の用量を確認する。
  4. 4.Aさんが指示された用法を守れていないことを指摘する。

対話形式の解説

博士 博士

5日分のはずの鎮痛薬が2日で消えた。Aさんが「追加で欲しい」と言ってきたら、どう動く?

サクラ サクラ

えっと、まず医師に増量を相談するべきでしょうか?

博士 博士

ちょっと待つのじゃ。情報が足りんぞ。

サクラ サクラ

確かに、なぜ早く薬がなくなったのかが分からないですね。

博士 博士

痛みが強くて頻回に飲んだ可能性もあれば、用法を勘違いして多く飲んだ可能性もあるのじゃ。

サクラ サクラ

言語の壁で「頓服の上限」が伝わっていなかったのかもしれません。

博士 博士

その通り。まずは今の痛みの強さ、部位、持続時間を丁寧に確認するのじゃ。

サクラ サクラ

NRSやフェイススケールで評価するといいですね。

博士 博士

急性心外膜炎は心タンポナーデへ進行することもあるから、随伴症状もセットで観察するのじゃ。

サクラ サクラ

頸静脈怒張や血圧低下、呼吸困難などですね。

博士 博士

そうじゃ。疼痛の評価をせず増量を提案するのは順序が逆じゃ。

サクラ サクラ

用法を守れていないと決めつけて指摘するのも…

博士 博士

信頼関係を壊すだけじゃな。背景を探る姿勢が大切じゃ。

サクラ サクラ

母国の市販薬と同じ感覚で飲んでいた可能性もありますものね。

博士 博士

うむ。日本語が読めない患者には母国語併記の服薬説明書を用意すると安全じゃ。

サクラ サクラ

痛みを確認してから、必要に応じて医師に報告する流れですね。

POINT

本問は処方薬の早期消費という予定外の訴えに対する看護師の優先対応を問うものです。アセスメントを飛ばして増量を提案したり、用法違反を指摘するのは順序が逆で、まずは現在の疼痛程度や随伴症状を把握することが必須です。そのうえで内服状況や理解度を確認し、必要であれば医師へ報告、母国語表記の説明書作成などの対応につなげます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:Aさん( 38歳、男性 )。23時ころ、徒歩で来院した。Aさんは胸を押さえ苦しそうに待合室で座っており、救急外来の看護師が声をかけると、Aさんは日本語を少し話すことができ、外出中に急に胸が痛くなったと話した。Aさんは英語は話せないようだった。Aさんは日本語学校の学生であり、Aさんの指定した番号に電話したところ、Aさんの妻につながり、日本語でのコミュニケーションが可能であった。妻は1時間後に病院に到着できるということだった。この病院には、夜間にAさんの母国語を話せる職員はいなかった。 入院後2日、冠動脈造影< CAG >が実施された。冠動脈に有意な狭窄はなく、Aさんは急性心外膜炎(acute pericarditis)と診断された。胸痛に対して消炎鎮痛薬が5日分処方された。 処方された2日後、Aさんから「薬がなくなったので追加で処方して欲しい」と病棟看護師に依頼があった。 看護師の対応で優先されるのはどれか。

解説:正解は1です。5日分処方された消炎鎮痛薬が2日でなくなっているという事実は、①胸痛が強く頻回に内服している、②用法を誤って過剰に服用している、③自己判断で予防的に多く飲んでいる、など複数の可能性を示しています。いずれのケースでも現在の痛みの強さや性状を確認しなければ、次の対応(医師への報告、用法の再指導、疾患の増悪評価など)を判断できません。したがって、まずはAさんの痛みの程度を確認することが最優先となります。

選択肢考察

  1. 1.  Aさんの痛みの程度を確認する。

    現在の疼痛の強さ・頻度・性状を把握することが、症状悪化の有無や内服行動の妥当性を評価する出発点となります。看護過程のアセスメントの基本です。

  2. × 2.  医師に鎮痛薬の増量を相談する。

    現状把握のないまま増量を提案するのは不適切です。まず痛みと服用状況を確認し、その情報を添えて医師に報告する順序が必要です。

  3. × 3.  Aさんが以前常用していた鎮痛薬の用量を確認する。

    入院時点で把握しておくべき情報であり、また過去の用量と入院中の処方は別問題です。現在の痛みと内服状況の評価が優先されます。

  4. × 4.  Aさんが指示された用法を守れていないことを指摘する。

    用法違反と決めつける前に、症状と理解度の確認が必要です。言語の壁により用法が伝わっていなかった可能性もあり、頭ごなしの指摘は信頼関係を損ねます。

急性心外膜炎の第一選択はNSAIDsやコルヒチンで、4〜6週間の漸減的内服が一般的です。心膜摩擦音や胸痛の悪化は心タンポナーデへの進行を示唆することがあるため、疼痛評価の際には随伴症状やバイタルサインも併せて観察します。外国人患者には母国語併記の服薬指導書を準備すると安全性が高まります。

患者の予定外の要望に対し、アセスメント(情報収集)を先行させる看護過程の優先順位を問う問題です。