StudyNurse

早産児の肺はなぜ膨らまない?サーファクタントとRDSのしくみ

看護師国家試験 第112回 午前 第64問 / 母性看護学 / 早期新生児期の看護

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第64問

新生児の呼吸窮迫症候群<RDS>(respiratory distress syndrome)で正しいのはどれか。

  1. 1.呼吸数が減少する。
  2. 2.過期産児に発症しやすい。
  3. 3.生後24時間ころから発症する。
  4. 4.肺サーファクタントの欠乏が原因で生じる。

対話形式の解説

博士 博士

今回は新生児呼吸窮迫症候群、RDSじゃ。名前が長いが、要は「早産児の肺が膨らまない病気」と覚えるとよい。

アユム アユム

どうして早産児だと肺が膨らまないんですか。

博士 博士

肺胞の内側には水分の膜があって、そのままでは表面張力で肺胞がつぶれてしまう。それを防いでおるのが肺サーファクタントという界面活性物質じゃ。

アユム アユム

サーファクタントって洗剤みたいな役割なんですね。

博士 博士

うむ、イメージとしてはその通りじゃ。II型肺胞上皮細胞が作る、リン脂質とタンパクの混合物じゃ。これが在胎34〜35週ごろから急速に増えるのじゃ。

アユム アユム

ということは、それより前に生まれてしまうと不足するわけですね。

博士 博士

左様。だから選択肢2の「過期産児に発症しやすい」は誤り。早産児、特に34週未満に多い。過期産で問題になるのは胎便吸引症候群や胎盤機能不全じゃ。

アユム アユム

症状はどうなるんですか。

博士 博士

肺胞がつぶれるので酸素が取り込めず、胎児は代償的に呼吸を速くする。多呼吸、鼻翼呼吸、陥没呼吸、呻吟、チアノーゼなどシルバーマン徴候が出る。

アユム アユム

では選択肢1の「呼吸数が減少」も当然誤りですね。

博士 博士

そう、逆に60回/分を超える多呼吸になる。呼吸数減少はむしろ末期の呼吸不全や中枢神経抑制の所見じゃから注意せよ。

アユム アユム

発症時期はどうでしょう。選択肢3は「生後24時間ころ」。

博士 博士

これも誤り。RDSは出生直後から数時間以内に症状が始まり、生後24〜48時間で最も重症化する。その後、自前のサーファクタント産生が立ち上がれば3〜4日目から改善に向かうのじゃ。

アユム アユム

逆に生後24時間ころから発症する多呼吸ってどんなものがありますか。

博士 博士

新生児一過性多呼吸、TTNが当てはまる。こちらは胎児肺液の吸収遅延が原因で、正期産や帝王切開児に多く、数日で自然軽快する。RDSとTTNの鑑別は臨床でも試験でもよく問われるぞ。

アユム アユム

治療はどうするんですか。

博士 博士

人工肺サーファクタントを気管内に投与する補充療法が中心じゃ。合わせてCPAPや人工換気で呼吸を支える。早産が予想される時点で妊婦にベタメタゾンなどのステロイドを前もって投与すると胎児肺の成熟が進み、RDSの発症率と重症度が下げられる。

アユム アユム

X線所見で特徴はありますか。

博士 博士

スリガラス様陰影と気管支透亮像、つまりair bronchogramじゃ。重症度評価にも用いられる。

アユム アユム

病態・好発時期・症状・治療まで、早産というキーワードでつながって覚えやすいですね。

POINT

新生児呼吸窮迫症候群(RDS)は、II型肺胞上皮細胞が産生する肺サーファクタントの不足により肺胞表面張力を下げられず、肺胞が虚脱する疾患です。肺サーファクタントは在胎34〜35週以降に十分に産生されるため、それ以前の早産児で欠乏しやすく、出生直後から多呼吸・陥没呼吸・呻吟・チアノーゼが出現し生後24〜48時間で最も重症化します。治療は人工サーファクタント気管内投与とCPAP・人工換気による呼吸管理が中心で、早産が予想される妊婦への分娩前ステロイド投与が予防として確立しています。新生児一過性多呼吸や胎便吸引症候群との鑑別、シルバーマン徴候やスリガラス様陰影といった所見は周産期看護の基本であり、NICUで働く看護師に必須の知識です。

解答・解説

正解は 4 です

問題文:新生児の呼吸窮迫症候群<RDS>(respiratory distress syndrome)で正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。新生児呼吸窮迫症候群は肺サーファクタントの産生不足によって肺胞の表面張力が下がらず、呼気時に肺胞が虚脱する疾患である。肺サーファクタントはII型肺胞上皮細胞から分泌される脂質とタンパクの混合物で、在胎34〜35週ごろから急速に成熟し、それ以前の早産児で欠乏しやすい。

選択肢考察

  1. × 1.  呼吸数が減少する。

    RDSでは肺胞が虚脱して換気効率が落ちるため、代償的に多呼吸(60回/分以上)が出現する。陥没呼吸、鼻翼呼吸、呻吟(うめき声)、チアノーゼなどのシルバーマン徴候も特徴である。

  2. × 2.  過期産児に発症しやすい。

    RDSは早産児、とくに在胎34週未満の児に多発する。過期産(在胎42週以降)では胎便吸引症候群や胎盤機能不全による低酸素が問題となるが、RDSは典型ではない。

  3. × 3.  生後24時間ころから発症する。

    RDSは出生直後から生後数時間以内に呼吸障害が出現する。生後24〜48時間で最も重症化し、その後肺サーファクタント産生が始まれば3〜4日目頃から改善に向かう経過をたどる。

  4. 4.  肺サーファクタントの欠乏が原因で生じる。

    II型肺胞上皮細胞が産生する肺サーファクタントの不足により、肺胞表面張力を下げられず呼気時に肺胞が虚脱する。これが低酸素血症・呼吸困難の主因である。

早産が予想される症例では、在胎24〜34週の妊婦に対し分娩前ステロイド投与(ベタメタゾンなど)を行い、胎児の肺成熟を促進する。出生後の治療には気管内への人工サーファクタント補充療法、持続的気道陽圧(CPAP)、人工換気などが行われ、重症例ではNICU管理となる。胸部X線では気管支透亮像を伴うびまん性の顆粒状陰影、いわゆる「スリガラス様陰影」がみられる。新生児一過性多呼吸(TTN)、胎便吸引症候群、先天性肺炎などとの鑑別が必要である。

新生児RDSの病態(肺サーファクタント欠乏)、好発時期(早産児、生後すぐ)、症状(多呼吸)を総合的に問う問題。