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児頭は4回まわって生まれてくる、分娩回旋の全体像

看護師国家試験 第112回 午前 第63問 / 母性看護学 / 分娩期・産褥期の看護

国試問題にチャレンジ

112回 午前 第63問

正常な分娩経過はどれか。

  1. 1.骨盤入口部に児頭が進入する際、児の頤部が胸壁に近づく。
  2. 2.骨盤出口部に達した時点で、児頭の矢状縫合は母体の骨盤の横径に一致する。
  3. 3.児頭娩出後、胎児は肩の長軸が骨盤出口部の横径に一致するよう回旋する。
  4. 4.児頭が発露したころに胎盤が剝離する。

対話形式の解説

博士 博士

今日は分娩経過、とくに児頭の回旋の話じゃ。産道はまっすぐではないから、胎児は上手に頭を回しながら出てくるのじゃ。

サクラ サクラ

回旋って第1から第4まであるんですよね。

博士 博士

左様。第1回旋は屈曲、第2回旋は内回旋、第3回旋は反屈、第4回旋は外回旋と呼ぶのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の「頤部が胸壁に近づく」は、どの段階の動きですか。

博士 博士

これが第1回旋じゃ。児頭が骨盤入口に進入する時、頸を強く屈曲させて顎を胸に引き寄せる。

サクラ サクラ

なぜ屈曲する必要があるんですか。

博士 博士

屈曲すると先進部が小泉門になり、児頭の周囲径が最小の小斜径、およそ9.5cmで通過できる。これが一番抵抗が少ないのじゃな。

サクラ サクラ

選択肢2の「出口部で矢状縫合が横径に一致」は間違っているんですよね。

博士 博士

そう。骨盤入口部は横径が最大、出口部は前後径が最大になる構造じゃ。だから入口では矢状縫合は横向き、骨盤内を下りながら第2回旋で90度回転し、出口では前後径に一致するのじゃ。

サクラ サクラ

つまり頭は産道の中で一度回るんですね。

博士 博士

左様。この内回旋があるからこそ、狭い骨盤出口を通過できる。分娩介助では矢状縫合の方向を内診で確認し、回旋異常を見逃さないことが大事じゃ。

サクラ サクラ

選択肢3の「児頭娩出後に肩が横径に一致」はどう違うんですか。

博士 博士

児頭娩出後の第4回旋では、児頭は外側を向くように外回旋する。このとき児の肩の長軸は骨盤出口の前後径に一致する。そうすることで肩幅の大きな胎児でも、恥骨結合の下に前在肩が来る姿勢で娩出できるのじゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の「発露のころに胎盤が剝離」はどうですか。

博士 博士

これは時期がずれておる。発露は分娩第2期、児頭が陰裂から見えて陣痛間歇期にも戻らない状態じゃ。胎盤剝離は胎児が完全に娩出されたあとの第3期の出来事じゃ。

サクラ サクラ

分娩期の区分、第1期から第4期までも整理しておきます。

博士 博士

分娩第1期は陣痛開始から子宮口全開大、第2期は全開大から胎児娩出、第3期は胎児娩出から胎盤娩出、第4期は胎盤娩出後2時間の母体観察期じゃ。分娩後2時間は弛緩出血のリスクが高いから第4期の観察は非常に重要じゃぞ。

サクラ サクラ

回旋の順序と、分娩期の各イベントの時期を結びつけて覚えるとよさそうですね。

POINT

分娩における児頭の回旋は、屈曲→内回旋→反屈→外回旋の4段階を経て狭い産道を通過します。第1回旋で頤部を胸壁に近づけ小斜径で骨盤入口部に進入し、第2回旋で矢状縫合を横径から前後径へ90度内回旋、第3回旋で後頭が恥骨結合を軸に首を反らし児頭が娩出、第4回旋で児頭が外側に戻ると同時に肩が前後径に一致して娩出されるという機序です。発露は分娩第2期、胎盤剝離は第3期と時期が異なるため、「発露のころに胎盤剝離」は誤りとなります。看護師は内診所見や外陰部からの観察で回旋の進行を判断し、異常分娩の早期発見に役立てる必要があり、分娩機転の理解は母性看護学の基礎中の基礎といえます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:正常な分娩経過はどれか。

解説:正解は 1 です。第1回旋では、児頭が骨盤入口部に進入する際に頸部を屈曲させ、頤(おとがい)部が胸壁に密着する姿勢をとる。これにより児頭は最小周囲径である小斜径(約9.5cm)を先進部として通過でき、狭い産道を最も抵抗少なく下降できる。

選択肢考察

  1. 1.  骨盤入口部に児頭が進入する際、児の頤部が胸壁に近づく。

    第1回旋(屈曲)の動きを正しく表した記述。児頭を強く屈曲させることで先進部が小泉門となり、最小周囲径で骨盤入口を通過できる。

  2. × 2.  骨盤出口部に達した時点で、児頭の矢状縫合は母体の骨盤の横径に一致する。

    骨盤入口部では矢状縫合が横径に一致するが、第2回旋(内回旋)で児頭が90度回旋し、骨盤出口部では矢状縫合は前後径に一致する。骨盤入口は横径、出口は前後径が最大径であるためこの回旋が必要。

  3. × 3.  児頭娩出後、胎児は肩の長軸が骨盤出口部の横径に一致するよう回旋する。

    児頭娩出後の第4回旋(外回旋)では、児頭が外側に戻り、肩の長軸が骨盤出口の前後径に一致するよう回旋する。その後、前在肩→後在肩の順で娩出される。

  4. × 4.  児頭が発露したころに胎盤が剝離する。

    発露は分娩第2期、胎盤剝離は胎児娩出後の分娩第3期に起こる。時期が大きく異なる。児頭発露時にはまだ胎児が娩出されていないため、胎盤は子宮壁に付着したままである。

胎児の児頭は産道を通過するために4つの回旋(第1〜第4回旋)を行う。第1回旋=屈曲(入口部で頤部を胸壁へ)、第2回旋=内回旋(骨盤内で矢状縫合を横径から前後径へ)、第3回旋=反屈(出口部で後頭が恥骨結合下を軸に首を反らし頭部娩出)、第4回旋=外回旋(児頭が横を向き、肩が前後径に一致)と整理できる。また分娩期は、第1期(分娩開始〜子宮口全開大)、第2期(全開大〜胎児娩出)、第3期(胎児娩出〜胎盤娩出)、第4期(胎盤娩出後2時間)に区分され、発露は第2期、胎盤剝離は第3期の出来事である。

分娩機転における第1〜第4回旋の順序と動き、分娩各期のイベント(発露・胎盤娩出)の時期を正しく理解しているかを問う問題。