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BCG接種後のコッホ現象と対応

看護師国家試験 第111回 午前 第57問 / 小児看護学 / 健康増進のための小児看護

国試問題にチャレンジ

111回 午前 第57問

発育と発達に遅れのない生後6か月の男児。BCG接種の翌日に接種部位が赤く腫れ次第に増悪して膿がみられたため、母親は接種後4日目に医療機関に電話で相談し、看護師が対応した。児に発熱はなく、哺乳や機嫌は良好である。 このときの看護師の説明で適切なのはどれか。

  1. 1.「通常の反応です」
  2. 2.「速やかに来院してください」
  3. 3.「1週間後にまた電話をください」
  4. 4.「患部をアルコール消毒してください」

対話形式の解説

博士 博士

今回は生後6か月の男児がBCG接種翌日から接種部位の発赤・化膿を呈した事例じゃ。これは要注意サインじゃな。

サクラ サクラ

通常BCGって時間がかかって反応するイメージですが。

博士 博士

その通りじゃ。正解は選択肢2の「速やかに来院してください」じゃ。翌日からの反応はコッホ現象が強く疑われる。

サクラ サクラ

コッホ現象ってどんな現象ですか?

博士 博士

BCG接種前から既に結核菌に感染している児に接種すると、BCG菌に対する細胞性免疫が成立しているため24〜72時間以内に強い発赤・腫脹・化膿が出現する現象じゃ。

サクラ サクラ

通常のBCG反応との違いを教えてください。

博士 博士

通常は接種後10日頃から発赤が始まり、4〜6週でピーク(発赤・腫脹・膿疱・痂皮)、3か月で治癒瘢痕になる。これに対してコッホ現象は「早くて強くて化膿する」のが特徴じゃ。

サクラ サクラ

どんな検査で結核感染を確認しますか?

博士 博士

胸部X線、IGRA(QuantiFERONやT-SPOT)、ツベルクリン反応、必要なら胃液採取による結核菌検出を行う。家族内感染源の確認も重要じゃ。

サクラ サクラ

選択肢1の「通常の反応です」はどうですか?

博士 博士

通常は10日以降に反応が出るから、翌日の反応は通常ではない。経過観察では結核感染の診断が遅れて不適切じゃ。

サクラ サクラ

選択肢3の「1週間後に電話」は?

博士 博士

結核感染があれば早期治療が予後を左右する。1週間様子見は遅すぎて不適切じゃ。

サクラ サクラ

選択肢4のアルコール消毒は?

博士 博士

BCG接種部位に薬剤や消毒剤の塗布は推奨されておらん。清潔・乾燥で経過観察が基本じゃ。そもそも消毒で対応する事象ではない。

サクラ サクラ

BCGの接種時期と方法も確認したいです。

博士 博士

日本では生後5か月〜8か月未満(標準は生後5〜7か月)に、管針法(スタンプ式)で経皮接種する生ワクチンじゃ。結核予防に用いる。

サクラ サクラ

家族の問診も大事ですね。

博士 博士

家族内に結核患者や咳が2週間以上続く人がいないか必ず聞くんじゃ。覚え方は「コッホは早い・強い・化膿、通常はゆっくり10日から」じゃ。

サクラ サクラ

保護者には「速やかに来院して検査」と伝えます。

POINT

BCG接種後の正常反応は10日頃から始まり4〜6週でピークとなる緩徐な経過ですが、接種後24〜72時間以内に強い発赤・腫脹・化膿が出現するコッホ現象は既感染を示唆する重要サインです。本事例の児は接種翌日からの所見でコッホ現象が強く疑われ、速やかな来院と胸部X線・IGRA・ツベルクリン反応などによる結核感染の精査が必要です。看護師は通常反応とコッホ現象の違いを家族にわかりやすく説明し、早期受診と感染源(家族内結核患者)の確認を促すことが求められます。

解答・解説

正解は 2 です

問題文:発育と発達に遅れのない生後6か月の男児。BCG接種の翌日に接種部位が赤く腫れ次第に増悪して膿がみられたため、母親は接種後4日目に医療機関に電話で相談し、看護師が対応した。児に発熱はなく、哺乳や機嫌は良好である。 このときの看護師の説明で適切なのはどれか。

解説:正解は 2 です。BCG接種後、通常は10日〜2週間頃から接種部位に発赤が出現し、4〜6週間後に最も強い反応(発赤・腫脹・膿・痂皮化)がみられ、3か月程度で治癒瘢痕となります。これに対し接種後10日以内(特に1〜3日)に接種部位の強い発赤・腫脹・化膿が生じる現象を「コッホ現象(Koch phenomenon)」といい、接種前から結核菌に感染していたことを示唆する所見です。結核感染の有無を確認するため速やかな受診が必要で、選択肢2が正解となります。

選択肢考察

  1. × 1.  「通常の反応です」

    通常のBCG反応は接種後10日〜2週間で発赤が始まり4〜6週で最強となる経過で、接種翌日からの発赤・化膿は通常反応ではなくコッホ現象が疑われます。「通常の反応です」と説明して経過観察とするのは不適切です。

  2. 2.  「速やかに来院してください」

    接種翌日からの発赤・腫脹・化膿はコッホ現象の典型で、既に結核に感染している可能性があります。胸部X線、ツベルクリン反応、QuantiFERON(QFT)またはT-SPOT検査で結核感染の有無を確認する必要があり、速やかな来院指示が最も適切です。

  3. × 3.  「1週間後にまた電話をください」

    結核感染の可能性があり、感染があれば早期診断・早期治療が児の予後を左右します。1週間様子を見るのは対応が遅く、不適切です。

  4. × 4.  「患部をアルコール消毒してください」

    BCG接種部位に薬剤や消毒剤を塗布することは推奨されていません。接種部位は清潔に保ち、乾燥した状態で経過を観察します。また本事例で問題となっているのは感染源の評価であり、消毒で対応すべき事態ではありません。

BCGは結核予防のための生ワクチンで、日本では生後5か月〜8か月未満(標準は生後5〜7か月)に管針法(スタンプ式)で経皮接種します。通常反応は10日後頃に針跡が赤くなり、4〜6週で膿疱化・痂皮化、3か月で治癒瘢痕となります。コッホ現象は既感染児で生じ、24〜72時間以内に強い発赤・腫脹・化膿を呈します。家族内に結核患者がいないか、咳が長引く接触者がいないかの問診も重要です。診断は胸部X線、IGRA(QFT・T-SPOT)、ツベルクリン反応、必要に応じて胃液採取でM.tuberculosis検出を行います。覚え方は「コッホ現象=早い・強い・化膿。通常BCGはゆっくり10日から4〜6週でピーク」。

BCG接種後の正常経過とコッホ現象を鑑別し、結核感染の可能性を考慮した対応ができるかを問う問題です。