定期予防接種を総ざらい ― HPVは筋注、ロタは生ワクチン
看護師国家試験 第112回 午前 第85問 / 小児看護学 / 健康増進のための小児看護
国試問題にチャレンジ
定期予防接種について正しいのはどれか。
- 1.BCG接種前にツベルクリン反応を実施する。
- 2.ロタウイルスワクチンは不活化ワクチンである。
- 3.ポリオウイルスワクチンの定期接種は廃止された。
- 4.麻疹ウイルスワクチンは就学までに4回接種する。
- 5.ヒトパピローマウイルス<HPV>ワクチンは筋肉内注射する。
対話形式の解説
博士
今回は定期予防接種の最新運用じゃ。制度改正が多い分野なので、古い知識で答えると間違えるぞ。
サクラ
最初にBCGについて。昔はツベルクリン反応を先にやっていたんですよね?
博士
そうじゃ。しかし2005年の制度改正でツベルクリン反応検査は省略され、生後5〜8か月の乳児に直接BCGを接種する方式になった。結核感染率の低下が背景じゃな。
サクラ
ロタウイルスワクチンは何ワクチンですか?
博士
経口の生ワクチンじゃ。ロタリックスは2回、ロタテックは3回接種で、生後6週から開始し遅くとも32週までに完了する。2020年10月から定期接種化されたのじゃ。
サクラ
ポリオワクチンは廃止されたんでしょうか?
博士
いや、廃止ではなく不活化ポリオワクチンに切り替わった。現在はジフテリア・百日咳・破傷風と合わせた4種混合(DPT-IPV)として定期接種されており、2024年からはHibも加わった5種混合が導入されている。
サクラ
麻しんワクチンの接種回数はどうですか?
博士
MRワクチンとして第1期(1歳)と第2期(小学校就学前の1年間)の計2回じゃ。4回ではないので注意。
サクラ
HPVワクチンは何本接種ですか?
博士
サーバリックスは2・6か月後の計3回、ガーダシルは2・6か月後、シルガード9も基本は3回接種。ただし15歳未満で開始する場合は2回接種でよい特例がある。
サクラ
接種経路は?
博士
三角筋への筋肉内注射じゃ。他のワクチンと違って皮下注ではない点が国試ポイントじゃよ。
サクラ
HPVワクチンの積極的勧奨って一時止まっていましたよね?
博士
2013年に副反応疑い事例を受けて差し控えられたが、2022年4月から積極的勧奨が再開された。さらに差し控え期間に接種機会を逃した平成9〜19年度生まれの女性にはキャッチアップ接種が行われておる。
サクラ
生ワクチンと不活化ワクチンの接種間隔ルールは?
博士
注射生ワクチン同士は27日以上空けるのが原則。2020年10月の改正で、不活化ワクチンとの間隔制限は撤廃されたから覚え直しじゃな。
サクラ
A類とB類の違いは?
博士
A類は集団予防目的で努力義務がある。BCG、4種混合、Hib、小児用肺炎球菌、B型肝炎、MR、水痘、日本脳炎、HPV、ロタなど。B類は個人予防目的で努力義務はなく、高齢者インフルエンザと高齢者肺炎球菌が代表じゃ。
サクラ
今回の正解はHPVワクチンは筋肉内注射ですね。
博士
その通り。他4つはいずれも現在の運用と合わない古い記述や誤りじゃ。
POINT
定期予防接種は予防接種法に基づきA類とB類に分かれ、小児期のA類にはBCG、4種混合、Hib、小児用肺炎球菌、B型肝炎、MR、水痘、日本脳炎、HPV、ロタウイルスなどが含まれる。BCGはツベルクリン反応検査を行わず直接接種、ロタは経口生ワクチン、ポリオは不活化として4種混合に組み込まれ、麻しんはMRとして2回接種が原則となる。HPVワクチンは三角筋への筋肉内注射で、2022年から積極的勧奨が再開され、キャッチアップ接種も進行中である。看護師はワクチンごとの種類・接種経路・回数・間隔を正確に把握し、保護者への説明と副反応観察を通じて安全かつ効果的な予防接種を支援する役割を担う。
解答・解説
正解は 5 です
問題文:定期予防接種について正しいのはどれか。
解説:正解は 5 です。ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンは子宮頸がん予防を目的とした定期接種で、三角筋(上腕)への筋肉内注射で投与する。小学6年〜高校1年相当の女子が定期接種対象で、2022年にキャッチアップ接種(平成9年度〜平成19年度生まれの女性)も開始された。
選択肢考察
-
× 1. BCG接種前にツベルクリン反応を実施する。
2005年の制度改正でツベルクリン反応検査は省略され、生後5〜8か月の乳児にBCGを直接接種する運用となった。
-
× 2. ロタウイルスワクチンは不活化ワクチンである。
ロタウイルスワクチンは経口接種する生ワクチン(ロタリックス2回、ロタテック3回のいずれか)。2020年10月から定期接種化された。
-
× 3. ポリオウイルスワクチンの定期接種は廃止された。
現在は不活化ポリオワクチンとして、ジフテリア・百日咳・破傷風と合わせた4種混合(DPT-IPV)、あるいは5種混合(Hib含む)として定期接種されている。
-
× 4. 麻疹ウイルスワクチンは就学までに4回接種する。
MRワクチン(麻しん・風しん混合)として1期(1歳)と2期(小学校就学前の1年間)の計2回接種する。
-
○ 5. ヒトパピローマウイルス<HPV>ワクチンは筋肉内注射する。
HPVワクチン(サーバリックス2価、ガーダシル4価、シルガード9価)はいずれも三角筋への筋肉内注射。定期接種対象は小学6年〜高校1年相当の女子。
予防接種法に基づく定期接種のA類(集団予防目的)にはBCG、DPT-IPV(またはDPT-IPV-Hibの5種混合)、Hib、小児用肺炎球菌、B型肝炎、MR、水痘、日本脳炎、HPV、ロタウイルスなどがある。生ワクチン(BCG、MR、水痘、ロタ)は注射生ワクチン同士の接種間隔が27日以上必要(2020年改正以降、不活化ワクチンとの間隔制限は撤廃)。HPVワクチンは2013年の積極的勧奨差し控えを経て、2022年4月から積極的勧奨が再開され、キャッチアップ接種も実施されている点は時事問題として重要。
定期予防接種のワクチン分類(生/不活化)、接種経路、接種回数、ツベルクリン反応省略などの最新運用を正しく把握しているかを問う。
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