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うつ病でみられる罪業妄想

看護師国家試験 第105回 午前 第77問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害の特徴と看護

国試問題にチャレンジ

105回 午前 第77問

うつ病(depression)で入院している患者が「自分は重大な過ちで皆に迷惑をかけてしまいました。死んでおわびします」という妄想を訴えた。 この患者にみられるのはどれか。

  1. 1.罪業妄想
  2. 2.心気妄想
  3. 3.追跡妄想
  4. 4.被毒妄想
  5. 5.貧困妄想

対話形式の解説

博士 博士

うつ病で入院中の患者が「重大な過ちで皆に迷惑をかけた、死んでおわびする」と訴えておる。この妄想の名称を問う問題じゃ。

サクラ サクラ

自分を責めて罪を感じているので、罪業妄想でしょうか。

博士 博士

正解じゃ、1番の罪業妄想じゃな。自分を過剰に罪深いと確信し、罰を受けるべき存在だと思い込む妄想で、うつ病の代表的な微小妄想の一つじゃ。

サクラ サクラ

うつ病の微小妄想にはどんなものがありますか。

博士 博士

「罪業妄想」「貧困妄想」「心気妄想」の三つを覚えておくとよい。いずれも自分を小さく・価値なく・悪いと評価する方向の妄想じゃ。

サクラ サクラ

2番の心気妄想は。

博士 博士

実際には病気がないのに「不治の病にかかっている」と確信するものじゃ。身体的な訴えを繰り返すのが特徴じゃな。

サクラ サクラ

3番の追跡妄想と4番の被毒妄想は。

博士 博士

これらは統合失調症や一部の認知症でみられる被害的妄想じゃ。追跡妄想は誰かに追われていると感じる、被毒妄想は食物や薬に毒を盛られていると確信する。うつ病の内向きの妄想とは方向が違うのじゃよ。

サクラ サクラ

5番の貧困妄想も微小妄想ですね。

博士 博士

そのとおり。「財産を失った」「家族が飢える」などと現実以上に困窮を確信する。本事例は罪の意識が中心なので罪業妄想が正解になる。

サクラ サクラ

うつ病で妄想が出るときの看護で大切なことは。

博士 博士

まず自殺リスクを最優先に考える。希死念慮は直接尋ねても悪化しないとされておる。そして安易な励ましや「そんなことないですよ」と否定するのは逆効果じゃ。受容的に傾聴し、治療継続と安全確保につなげることが重要じゃ。

サクラ サクラ

治療にはどんなものがありますか。

博士 博士

SSRI、SNRIなどの抗うつ薬に加え、妄想を伴う重症例では抗精神病薬の併用や修正型電気けいれん療法(mECT)が選択される。特にmECTは重度の罪業妄想や自殺企図を伴う例で有効じゃ。

サクラ サクラ

統合失調症の妄想との見分け方が整理できました。

博士 博士

外向きの被害的妄想は統合失調症、内向きの微小妄想はうつ病と大きく捉えると混乱しないぞ。

POINT

うつ病の三大微小妄想は罪業妄想、貧困妄想、心気妄想で、自己を過剰に低く評価する点が共通します。本問の「皆に迷惑をかけたので死んでおわびする」は典型的な罪業妄想で、自殺リスクが極めて高い状態です。看護では希死念慮を直接確認し、安全環境を整え、安易な励ましを避けた受容的関わりが重要です。重症例ではmECTや抗精神病薬併用が選択されます。

解答・解説

正解は 1 です

問題文:うつ病(depression)で入院している患者が「自分は重大な過ちで皆に迷惑をかけてしまいました。死んでおわびします」という妄想を訴えた。 この患者にみられるのはどれか。

解説:正解は 1 です。罪業妄想は「自分は罪深い存在で罰を受けねばならない」「皆に迷惑をかけたのでお詫びしなければ」などと、現実以上に自己を責め続ける内容の妄想で、うつ病でみられる微小妄想の一つです。微小妄想には罪業妄想、貧困妄想、心気妄想の3つがあり、いずれもうつ病の重症度が高まった際に出現し、自殺リスクを大きく高めるため厳重な観察と保護的対応が必要です。

選択肢考察

  1. 1.  罪業妄想

    患者の「重大な過ちで皆に迷惑をかけた」「死んでおわびする」という訴えは、自己を過剰に責め罪深いと信じる罪業妄想の典型例です。

  2. × 2.  心気妄想

    心気妄想は「重い病気にかかっている」「不治の病だ」などと実際にない疾患を確信する妄想で、本事例の罪の意識とは異なります。

  3. × 3.  追跡妄想

    追跡妄想は「誰かに追われている」「監視されている」と確信する被害妄想の一種で、統合失調症で多くみられ、本事例とは一致しません。

  4. × 4.  被毒妄想

    被毒妄想は「食物や薬に毒を入れられている」と確信する妄想で、統合失調症や認知症でみられ、うつ病の罪悪感の表出とは異なります。

  5. × 5.  貧困妄想

    貧困妄想は「もう財産がない」「家族が食べるものもない」と確信する微小妄想ですが、本事例は罪の観念が中心であり該当しません。

うつ病の三大微小妄想は「罪業妄想」「貧困妄想」「心気妄想」で、いずれも自己評価を過度に低下させる妄想です。これらは「精神病性うつ病」「メランコリー型うつ病」で出現しやすく、自殺念慮と密接に関連します。看護では自殺予防として安全な環境の確保、希死念慮の直接的な確認、安易な励ましや叱責を避ける、薬物療法(SSRI・SNRI・抗精神病薬・mECT)への支援などが求められます。反対に統合失調症では被害妄想・関係妄想・追跡妄想・被毒妄想など外向きの妄想が多くなります。

うつ病に特徴的な三大微小妄想(罪業・貧困・心気)を識別し、他精神疾患の妄想との違いを理解しているかを問う問題です。