こころのバリアフリー宣言の目的
看護師国家試験 第105回 午後 第56問 / 精神看護学 / 精神保健医療福祉の変遷と法・施策
国試問題にチャレンジ
こころのバリアフリー宣言の目的で正しいのはどれか。
- 1.身体障害者の人格の尊重
- 2.高齢者の社会的な孤立の予防
- 3.精神疾患に対する正しい理解の促進
- 4.精神科に入院している患者の行動制限の最小化
対話形式の解説
博士
こころのバリアフリー宣言とは、平成16年に厚生労働省が打ち出した精神疾患への偏見解消を目的とする国民向けの指針じゃ。
アユム
精神保健医療福祉の改革ビジョンとセットで出されたんですね。
博士
そうじゃ。『入院医療中心から地域生活中心へ』という改革方針を社会全体で支えるには、まず国民の意識を変える必要があったんじゃ。
アユム
正解はどれですか。
博士
正解は3番『精神疾患に対する正しい理解の促進』じゃ。8つの柱の全てが精神疾患への偏見解消と共生社会を志向しているぞ。
アユム
8つの柱の例を教えてください。
博士
『精神疾患を自分の問題として考えていますか』『気づいていますか心の不調』『自分で心のバリアを作らない』『認め合おう自分らしく生きている姿を』などじゃ。
アユム
1番の身体障害者の尊重はなぜ違うのですか。
博士
身体障害者に関する理念は障害者基本法や障害者差別解消法の範疇じゃ。宣言の対象は精神疾患に限られておる。
アユム
2番の高齢者の孤立予防は。
博士
高齢者孤立は高齢社会対策大綱や地域包括ケアで扱う課題で、別の文脈じゃ。
アユム
4番の行動制限の最小化は紛らわしいですね。
博士
行動制限最小化は精神保健福祉法の厚生労働大臣告示で定められる別制度じゃ。宣言は啓発、法は制度という違いを押さえるとよいぞ。
アユム
精神疾患の有病率はどれくらいですか。
博士
生涯有病率はうつ病で約6%、統合失調症で約0.7%、何らかの精神疾患に至っては約5人に1人が生涯で経験するとされる。身近な疾患なんじゃ。
アユム
看護職に求められる姿勢は。
博士
疾患を恐れず正確な知識で接する、患者を一人の人として尊重する、地域資源につなげる橋渡しをする、この3点じゃ。
アユム
自分事として捉える意識が大切ですね。
博士
まさにその通り。『こころのバリア』は誰の中にもある可能性があると気づくことが第一歩じゃ。
アユム
理解できました。
POINT
こころのバリアフリー宣言は平成16年に厚生労働省が発表した国民啓発の指針で、精神疾患への正しい理解と偏見の解消、共生社会の実現を目的としています。8つの柱で構成され、改革ビジョン『入院医療中心から地域生活中心へ』と連動した啓発活動です。正解は3番で、身体障害や高齢者、行動制限の問題はそれぞれ別の法制度で扱われる点に注意しましょう。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:こころのバリアフリー宣言の目的で正しいのはどれか。
解説:正解は 3 です。『こころのバリアフリー宣言』は平成16年(2004年)に厚生労働省(精神保健福祉対策本部)が策定した、精神疾患を正しく理解し地域で支え合う社会づくりのための指針です。8つの柱からなり、偏見・差別の解消、早期受診の促進、自分事として捉える姿勢、共に生きる社会の実現を目指しています。
選択肢考察
-
× 1. 身体障害者の人格の尊重
身体障害者に関する理念は『障害者基本法』や『障害者差別解消法』で扱われます。こころのバリアフリー宣言は精神疾患が対象です。
-
× 2. 高齢者の社会的な孤立の予防
高齢者の孤立予防は『高齢社会対策大綱』や地域包括ケアシステムの領域であり、本宣言の目的ではありません。
-
○ 3. 精神疾患に対する正しい理解の促進
本宣言の主目的は精神疾患への偏見を解消し、正しい理解を国民に広めることです。8つの柱にその姿勢が貫かれています。
-
× 4. 精神科に入院している患者の行動制限の最小化
行動制限の最小化は『精神保健福祉法』に基づく厚生労働大臣告示(隔離・身体的拘束の基準)で規定される別の制度です。
2004年は『精神保健医療福祉の改革ビジョン』が打ち出された年で、『入院医療中心から地域生活中心へ』という方向性が示されました。こころのバリアフリー宣言はこのビジョンと連動し、国民啓発の側面を担う位置づけでした。8つの柱には『精神疾患を自分の問題として考える』『気づいていますか、心の不調』『自分で心のバリアを作らない』などがあります。
こころのバリアフリー宣言の対象が『精神疾患への理解促進』であることを押さえているかを問う問題です。
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