認知行動療法って何を変える?認知の歪みを修正
看護師国家試験 第103回 午前 第69問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害がある者への看護
国試問題にチャレンジ
認知行動療法で最も期待される効果はどれか。
- 1.過去の心的外傷に気付く。
- 2.薬物療法についての理解が深まる。
- 3.物事の捉え方のゆがみが修正される。
- 4.自分で緊張を和らげることができるようになる。
対話形式の解説
博士
今日は認知行動療法、CBTを確認しよう。基本的な理論モデルは知っているかな?
サクラ
『出来事→認知→感情・行動』というモデルですよね。同じ出来事でも捉え方によって反応が変わると習いました。
博士
その通り。例えば友人から返信が遅いという出来事に対して『嫌われている』と捉えると落ち込むけど、『忙しいだろう』と捉えれば気にならない。
サクラ
この捉え方が認知ですね。CBTでは何を目指すんですか?
博士
非適応的な認知の歪みを同定して検証・修正し、感情と行動の改善につなげるんだ。
サクラ
だから選択肢3の『物事の捉え方のゆがみが修正される』が正解ですね。
博士
その通り。これがCBTで最も期待される効果だ。
サクラ
選択肢1の『過去の心的外傷に気付く』はどうですか?
博士
過去への気づきは精神分析的アプローチの目的だ。CBTは『今ここ』の認知パターンに焦点を当てるから誤りだよ。
サクラ
選択肢2の『薬物療法についての理解が深まる』は?
博士
それは服薬心理教育の目的だね。CBTは認知修正を介する非薬物療法だ。
サクラ
選択肢4の『自分で緊張を和らげることができる』は?
博士
それはリラクセーション法、漸進的筋弛緩法や自律訓練法の効果だ。CBTにも組み込まれることはあるけど主目的じゃない。
サクラ
CBTで使う具体的な技法を教えてください。
博士
認知再構成法、行動活性化、曝露反応妨害法などがあるよ。
サクラ
代表的な認知の歪みは?
博士
全か無か思考、過度の一般化、破局視、すべき思考などだ。これらを自動思考記録表で同定していくんだ。
サクラ
適応疾患はうつ病以外にも?
博士
不安障害、PTSD、強迫性障害などに有効で日本でも保険適用になっているよ。
POINT
認知行動療法は認知の歪みを修正して感情と行動の改善を図る精神療法です。『今ここ』の自動思考に焦点を当て、認知再構成法などの技法で非適応的認知を検証・修正します。うつ病・不安障害・強迫性障害などに保険適用です。
解答・解説
正解は 3 です
問題文:認知行動療法で最も期待される効果はどれか。
解説:正解は 3 です。認知行動療法(CBT)は、出来事に対する認知(物事の捉え方・考え方)が感情や行動に影響を与えるという理論に基づき、非適応的な認知(認知の歪み)を修正することで感情や行動を改善する精神療法です。うつ病・不安障害・パニック障害・PTSD・強迫性障害などに有効性が示されています。
選択肢考察
-
× 1. 過去の心的外傷に気付く。
過去の体験への気づきは精神分析的アプローチの目的で、CBTの主目的ではありません。CBTは『今ここ』の認知パターンに焦点を当てます。
-
× 2. 薬物療法についての理解が深まる。
薬物療法の理解を深めるのは服薬心理教育の目的です。CBTは認知の修正を介して症状改善を図る非薬物療法です。
-
○ 3. 物事の捉え方のゆがみが修正される。
CBTの最も期待される効果です。自動思考や中核信念の歪み(全か無か思考、過度の一般化、破局視など)を同定し検証・修正することで、感情・行動の改善につなげます。
-
× 4. 自分で緊張を和らげることができるようになる。
緊張緩和はリラクセーション法(漸進的筋弛緩法・自律訓練法・呼吸法)の効果です。CBTにも一部組み込まれることがありますが、主目的ではありません。
CBTでは『出来事→認知→感情・行動』のモデルを用い、認知再構成法・行動活性化・曝露反応妨害法などの技法を組み合わせます。代表的な認知の歪みには、全か無か思考、過度の一般化、心のフィルター、自分への関連付け、破局視、すべき思考などがあります。日本でうつ病・不安障害・強迫性障害などに保険適用となっています。
認知行動療法の理論的基盤と最も期待される効果(認知の修正)を問う問題です。
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