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修正型電気けいれん療法の実際

看護師国家試験 第111回 午後 第89問 / 精神看護学 / 精神疾患・障害がある者への看護

国試問題にチャレンジ

111回 午後 第89問

修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 1.磁気を用いる。
  2. 2.局所麻酔下で行う。
  3. 3.筋弛緩薬を用いる。
  4. 4.発生頻度の高い有害事象は骨折である。
  5. 5.薬物治療抵抗性のうつ病(depression)は適応になる。

対話形式の解説

博士 博士

今日は修正型電気けいれん療法、mECTについて学ぶぞ。どんな治療か知っておるかの?

サクラ サクラ

脳に電気を流して発作を誘発する治療ですよね。怖いイメージがあります。

博士 博士

確かに以前はそうじゃった。でも修正型では全身麻酔と筋弛緩薬を併用するから、患者は眠ったまま痙攣運動も起こらず安全に実施できる。

サクラ サクラ

選択肢1の磁気を用いるというのは?

博士 博士

磁気を使うのは経頭蓋磁気刺激療法、TMSじゃ。別の治療法じゃから混同せぬように。mECTは電気を使う。

サクラ サクラ

選択肢2の局所麻酔下で行うはどうですか?

博士 博士

全身麻酔じゃ。麻酔科医の立ち会いのもとプロポフォールなどの静脈麻酔薬で眠らせて、酸素投与と気道確保をしながら実施する。

サクラ サクラ

すると選択肢3の筋弛緩薬を用いるは正解ですね。

博士 博士

正解じゃ。スキサメトニウムなどの筋弛緩薬を使って全身性の痙攣運動を抑える。これで骨折・脱臼・咬舌などを防げるわけじゃ。

サクラ サクラ

選択肢4の発生頻度の高い有害事象は骨折、はどうでしょう?

博士 博士

誤りじゃ。従来型では骨折が問題じゃったが、修正型では筋弛緩薬のおかげでほぼ起こらない。今多いのは血圧上昇・頻脈などの循環器症状と、一過性の健忘・頭痛・筋肉痛じゃ。

サクラ サクラ

選択肢5の薬物治療抵抗性のうつ病は適応になる、は?

博士 博士

これも正解じゃ。薬物療法抵抗性の重症うつ病はmECTの代表的適応で、特に希死念慮が強く切迫した症例や拒食で衰弱した症例では迅速な効果が期待できる。

サクラ サクラ

うつ病以外の適応は?

博士 博士

緊張病、治療抵抗性統合失調症、重症躁病、悪性症候群なども適応じゃ。

サクラ サクラ

何回くらい行うんですか?

博士 博士

週2〜3回、通算6〜12回程度で1クールとする。効果維持のために維持mECTを月1回程度行うこともある。

サクラ サクラ

禁忌はありますか?

博士 博士

絶対禁忌はないが、最近の心筋梗塞、重篤な不整脈、頭蓋内圧亢進、未治療の褐色細胞腫などは慎重に判断する。

サクラ サクラ

看護のポイントは?

博士 博士

術前は絶飲食の管理と同意確認、施行中はバイタルモニタリング、施行後は麻酔覚醒までの気道管理、覚醒後は見当識障害への対応と健忘への心理的支援が大事じゃ。

POINT

修正型電気けいれん療法は全身麻酔と筋弛緩薬を併用して脳に通電し、発作活動を誘発して精神症状を改善する治療である。筋弛緩薬併用により従来型で問題となった骨折・脱臼・咬舌は大幅に減少し、薬物治療抵抗性うつ病・緊張病・治療抵抗性統合失調症などが主な適応となる。磁気刺激療法との混同や麻酔の種類に注意が必要である。本問はmECTの実施方法と安全性の理解を問うている。

解答・解説

正解は 3 5 です

問題文:修正型電気けいれん療法について正しいのはどれか。2つ選べ。

解説:正解は 3 と 5 です。修正型電気けいれん療法(modified electroconvulsive therapy:mECT)は、全身麻酔と筋弛緩薬を併用したうえで脳に通電し、脳内に発作活動を誘発して精神症状を改善する治療法です。全身麻酔下で行うため従来の骨折・脱臼・咬舌などの身体合併症が大幅に軽減されました。適応は薬物治療抵抗性や難治性の重症うつ病、自殺念慮の強いうつ病、緊張病、治療抵抗性統合失調症、重症躁病などです。

選択肢考察

  1. × 1.  磁気を用いる。

    電気けいれん療法は脳への通電(電気)で発作を誘発する治療である。磁気を用いるのは経頭蓋磁気刺激療法(TMS)で別の治療法である。

  2. × 2.  局所麻酔下で行う。

    修正型では全身麻酔(静脈麻酔薬)を使用する。麻酔科医の立ち会いのもと、酸素投与・気道確保を行って実施する。

  3. 3.  筋弛緩薬を用いる。

    スキサメトニウム(サクシン)などの筋弛緩薬を併用して全身性の痙攣運動を抑え、骨折・脱臼・咬舌などの身体合併症を予防する。

  4. × 4.  発生頻度の高い有害事象は骨折である。

    全身麻酔と筋弛緩薬の併用により骨折はほとんど起こらない。頻度の高い有害事象は血圧上昇・頻脈などの循環器症状、一過性の健忘・頭痛・筋肉痛などである。

  5. 5.  薬物治療抵抗性のうつ病(depression)は適応になる。

    薬物療法抵抗性の重症うつ病は代表的な適応疾患であり、希死念慮が強く切迫した症例や拒食による著明な衰弱例では迅速な効果が期待できる第一選択となり得る。

mECTは週2〜3回、通算6〜12回程度のクールで実施する。絶対禁忌はなく、相対禁忌は最近の心筋梗塞・重篤な不整脈・頭蓋内圧亢進などである。看護では術前の絶飲食管理・同意確認、施行中のバイタルモニタリング、施行後は麻酔覚醒までの気道管理と見当識障害への対応、健忘への心理的支援が重要となる。

修正型電気けいれん療法の実施方法、適応、安全性の特徴について理解しているかを問う問題である。