身体拘束時の看護の原則
看護師国家試験 第104回 午後 第88問 / 精神看護学 / 安全な治療環境と多職種連携
国試問題にチャレンジ
精神科病棟における身体拘束時の看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1.1時間ごとに訪室する。
- 2.拘束の理由を説明する。
- 3.水分摂取は最小限にする。
- 4.患者の手紙の受け取りを制限する。
- 5.早期の解除を目指すための看護計画を立てる。
対話形式の解説
博士
精神科の身体拘束は人権制限を伴う最終手段じゃ。原則を3つ言えるか
アユム
切迫性・非代替性・一時性ですね
博士
その通り。では選択肢を見ていこう。1時間ごとの訪室で十分か
アユム
いいえ、合併症リスクが高いので15〜30分ごと、最低でも1時間に4回は必要です
博士
拘束の理由を説明するのは
アユム
精神保健福祉法で告知が義務付けられていますね
博士
診療録への記載も必要じゃ。水分摂取を最小限にするのは
アユム
逆ですね。脱水や血栓予防のため積極的に摂取を促します
博士
1日1.5〜2Lが目安じゃ。手紙の受け取り制限はどうじゃ
アユム
信書の発受は法律で保障されているので制限できません
博士
そうじゃ。早期解除を目指す看護計画は
アユム
最終手段なので可能な限り短時間で解除を目指す計画が必要です
博士
その通り。代替手段への移行を継続的に検討するのじゃ
アユム
すると正解は2と5ですね
博士
見事じゃ。深部静脈血栓症予防の四肢運動や弾性ストッキングも忘れるな
アユム
人権を尊重しながら合併症を防ぐ看護が大切ですね
博士
その姿勢こそ精神科看護の本質じゃ
POINT
精神科の身体拘束は患者の人権を制限する処置であり、切迫性・非代替性・一時性の原則のもと、本人への理由説明と早期解除を目指す看護計画が不可欠です。誤答の1時間ごと訪室や水分制限、信書制限はいずれも患者の安全や権利を損ないます。臨床では合併症予防の頻回観察、代替手段の検討、診療録への記載など多面的な対応が求められます。
解答・解説
正解は 2 ・ 5 です
問題文:精神科病棟における身体拘束時の看護で正しいのはどれか。2つ選べ。
解説:正解は2と5です。身体拘束は患者の人権を制限する処置であるため、本人と家族に拘束の理由を説明する義務があり、また早期解除を目指した看護計画を立て、代替手段への移行を検討し続けることが必要です。
選択肢考察
-
× 1. 1時間ごとに訪室する。
身体拘束中は循環障害、皮膚障害、深部静脈血栓症、誤嚥、窒息など重大な合併症のリスクが高いため、15〜30分に1回など頻回の観察が必要です。最低でも1時間に4回以上の訪室が望まれます。
-
○ 2. 拘束の理由を説明する。
精神保健福祉法では、身体拘束は精神保健指定医の判断で行われ、本人にその理由を告知することが義務付けられています。家族にも説明と同意の確認を行い、診療録に記載することが求められます。
-
× 3. 水分摂取は最小限にする。
身体拘束中は活動制限により脱水や深部静脈血栓症のリスクが高まるため、むしろ水分摂取を促す必要があります。1日1.5〜2L程度を目安に介助しながら確実に摂取してもらいます。
-
× 4. 患者の手紙の受け取りを制限する。
精神保健福祉法第36条で信書(手紙)の発受は原則制限してはならないと定められています。身体拘束中であっても通信の自由は保障されており、看護師の判断で制限することはできません。
-
○ 5. 早期の解除を目指すための看護計画を立てる。
身体拘束は最終手段であり、可能な限り短時間で解除することが原則です。患者の精神状態や行動のアセスメントを継続し、代替手段(環境調整・声かけ・薬物療法など)への移行を計画することが看護師の責務です。
精神保健福祉法に基づく行動制限の基本3原則は、切迫性・非代替性・一時性です。身体拘束は最終手段として行い、開始時刻、解除時刻、観察記録を診療録に詳細に残します。合併症予防として循環状態、皮膚状態、四肢のしびれや疼痛、排泄、栄養・水分摂取を継続観察し、深部静脈血栓症予防のため間欠的な四肢運動や弾性ストッキング着用も検討します。
身体拘束における人権擁護と合併症予防、早期解除を目指す看護の原則を理解しているかを問います。
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