精神保健福祉法の行動制限
看護師国家試験 第111回 午後 第68問 / 精神看護学 / 安全な治療環境と多職種連携
国試問題にチャレンジ
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉において、精神科病院で隔離中の患者に対し、治療上で必要な場合に制限できるのはどれか。
- 1.家族との面会
- 2.患者からの信書の発信
- 3.患者からの退院の請求
- 4.人権擁護に関する行政機関の職員との電話
対話形式の解説
博士
今日は精神保健福祉法における行動制限がテーマじゃ。隔離中の患者に対し、治療上必要な場合に『制限できる』ものを選ぶ問題じゃ。
アユム
絶対に制限できない権利があるんですよね。
博士
その通り。絶対に制限できないのは①信書の発受②人権擁護に関する行政機関職員や代理人弁護士との電話・面会③退院請求・処遇改善請求の三つじゃ。
アユム
なるほど、だから選択肢2、3、4は制限できないから誤りなんですね。
博士
そのとおりじゃ。正解は選択肢1の『家族との面会』。面会は原則自由じゃが、家族との面会に限っては病状悪化や治療効果の阻害などの合理的理由がある場合、医療または保護に欠くことのできない限度で制限できる。
アユム
信書は開封確認くらいは許されるんですよね?
博士
うむ、刃物などの異物同封防止のため、患者の面前での開封確認は認められておる。内容の検閲は不可じゃ。
アユム
隔離と身体拘束の要件も押さえておきたいです。
博士
隔離は12時間以内なら一般の医師の判断でよいが、12時間を超える場合や身体拘束は必ず精神保健指定医の判断が必要じゃ。
アユム
退院請求はどこに行うんですか?
博士
都道府県の精神医療審査会じゃ。審査会は入院の必要性や処遇の妥当性を審査する。これは患者の絶対的権利じゃ。
アユム
公衆電話の設置義務も聞いたことがあります。
博士
そのとおり。閉鎖病棟にも患者が自由に使える公衆電話の設置が義務付けられておる。行政機関や弁護士に連絡する手段を確保するためじゃ。
アユム
入院時の告知義務はどう規定されていますか?
博士
入院形態、処遇、退院請求の方法を書面と口頭で告知し、書面は患者に手渡すことが義務じゃ。
アユム
看護師はどんな視点で関わるべきでしょう?
博士
行動制限は最小限の原則を守り、必要性を日々評価し、記録を残す。患者の尊厳と安全のバランスを考えて関わるのじゃ。
POINT
精神保健福祉法では信書の発受、人権擁護職員・代理人弁護士との電話・面会、退院請求・処遇改善請求は絶対に制限できません。家族との面会は原則自由ですが、病状悪化等の合理的理由があれば制限可能です。隔離・身体拘束は精神保健指定医の判断が要件となり、最小限の原則と日々の評価、適切な記録が看護の要となります。
解答・解説
正解は 1 です
問題文:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉において、精神科病院で隔離中の患者に対し、治療上で必要な場合に制限できるのはどれか。
解説:正解は 1 です。精神保健福祉法では、精神科病院の管理者は医療または保護に欠くことのできない限度で行動制限を行えます。ただし『信書の発受』および『人権擁護に関する行政機関職員・代理人である弁護士との電話・面会』は絶対に制限してはならない権利として保障されています。面会そのものは原則自由ですが、家族との面会は病状悪化など合理的理由がある場合に限り制限可能です。
選択肢考察
-
○ 1. 家族との面会
面会は原則自由ですが、病状悪化や治療効果阻害など合理的理由がある場合には、医療または保護に欠くことのできない限度で制限できます。
-
× 2. 患者からの信書の発信
信書の発受は絶対に制限してはならない権利です。ただし刃物等の異物同封を防ぐため開封確認は認められます。
-
× 3. 患者からの退院の請求
退院請求は精神医療審査会に対して行える法的権利で、いかなる場合も制限されません。処遇改善請求も同様です。
-
× 4. 人権擁護に関する行政機関の職員との電話
行政機関の人権擁護職員や代理人弁護士との電話・面会は絶対制限禁止です。閉鎖病棟にも公衆電話設置が義務付けられています。
行動制限には隔離(12時間以内は医師、超える場合は精神保健指定医の判断)と身体拘束(精神保健指定医の判断が必須)があります。絶対に制限できない事項は①信書の発受②行政機関人権擁護職員・代理人弁護士との電話・面会③退院請求・処遇改善請求です。入院時には書面と口頭での告知義務があり、精神医療審査会が退院請求や処遇改善請求を審査します。
精神保健福祉法における行動制限の範囲、特に絶対に制限できない権利と、合理的理由で制限可能な面会の違いを理解しているかを問う問題です。
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