点滴を止めたいと言うAちゃんへの説明
看護師国家試験 第104回 午後 第103問(状況設定問題)
国試問題にチャレンジ
状況設定
Aちゃん(10歳、女児)は、両親と3人で暮らしている。発熱と顔色不良とを主訴に受診し入院した。血液検査データは、Hb7.5g/dL、白血球75,000/nL、血小板4万/nLであった。骨髄検査の結果、急性リンパ性白血病(acute lymphocytic leukemia)と診断された。医師が両親とAちゃんに対し、病名と今後の抗癌薬治療および入院期間について説明した。両親はショックを受けていたが現実を受け止め、今後の治療や入院生活について質問し、経済的な不安を訴えた。
Aちゃんは中心静脈カテーテルが挿入され、寛解導入療法が開始された。抗癌薬が投与された後、維持液が100mL/時間で持続点滴されている。Aちゃんは「点滴が始まってから何回もおしっこが出ている。点滴を止めてほしい」と話している。 Aちゃんの訴えを受け止めた後のAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
- 1.「体の中の水分が足りないから必要だよ」
- 2.「白血病細胞をやっつけるために必要だよ」
- 3.「ご飯があまり食べられないからご飯の代わりに必要だよ」
- 4.「やっつけた白血病細胞のせいで腎臓を悪くしないために必要だよ」
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
抗癌薬投与後の大量輸液の目的(腫瘍崩壊症候群の予防)を、学童に合わせて説明できるかを問う問題です。
解答・解説
正解は4です
問題文:Aちゃんは中心静脈カテーテルが挿入され、寛解導入療法が開始された。抗癌薬が投与された後、維持液が100mL/時間で持続点滴されている。Aちゃんは「点滴が始まってから何回もおしっこが出ている。点滴を止めてほしい」と話している。 Aちゃんの訴えを受け止めた後のAちゃんに対する看護師の説明で適切なのはどれか。
解説:正解は4です。抗癌薬投与後の大量輸液は、破壊された白血病細胞から放出される尿酸や電解質によって生じる腫瘍崩壊症候群を予防するために行われます。尿を希釈し、尿酸結晶による腎障害を防ぐ目的があるため、Aちゃんに対しては「腎臓を悪くしないために必要」とわかりやすく説明することが適切です。
選択肢考察
- ×1. 「体の中の水分が足りないから必要だよ」
輸液の目的は脱水補正ではなく尿の希釈による腎保護です。「水分が足りない」と説明するとAちゃんが「自分で飲めばよい」と誤解し、点滴の自己抜去につながる危険があります。
- ×2. 「白血病細胞をやっつけるために必要だよ」
持続している維持液には抗癌薬は含まれておらず、白血病細胞を直接攻撃する作用はありません。事実と異なる説明はAちゃんの不信感を生み信頼関係を損ねます。
- ×3. 「ご飯があまり食べられないからご飯の代わりに必要だよ」
維持液は電解質と水分が中心で、必要なエネルギーや栄養素を十分に補える組成ではありません。食事代替という説明は維持液の本来の目的を正しく伝えていません。
- ○4. 「やっつけた白血病細胞のせいで腎臓を悪くしないために必要だよ」
抗癌薬で死滅した白血病細胞からは大量の核酸が放出され、代謝産物の尿酸が尿中で結晶化すると腎障害を起こします。十分な輸液で尿を希釈し排出を促すことが目的であり、10歳のAちゃんが理解できる適切な説明です。
腫瘍崩壊症候群は治療開始後12〜72時間以内に発症しやすく、高尿酸血症・高K血症・高P血症・低Ca血症・急性腎障害が特徴です。予防には大量輸液(2,500〜3,000mL/m²/日)、尿酸生成抑制薬(アロプリノール)や尿酸分解酵素薬(ラスブリカーゼ)の投与が行われます。学童期の子どもには病気と治療を本人の理解度に合わせて説明し、治療への主体的参加を促すプレパレーションが大切です。
抗癌薬投与後の大量輸液の目的(腫瘍崩壊症候群の予防)を、学童に合わせて説明できるかを問う問題です。
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