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認知療法で修正するもの

看護師国家試験 第104午後109(状況設定問題)

国試問題にチャレンジ

104午後109

状況設定

Aさん(52歳、女性、専業主婦)は、夫と2人の息子との4人で暮らしている。Aさんは内向的な性格であり、順番にまわってきた町内会の役員を引き受けたことで悩むことが多くなった。2か月前から食欲不振と不眠が続いている。1か月前から家事ができなくなり、死んでしまいたいと言い始めたため、夫が付き添って精神科を受診したところ、うつ病(depression)と診断された。

入院後1か月。Aさんは「私は役に立たない人間です。昔から妻や母親としての役割を果たせていませんでした」と発言している。食事は3分の2を摂取できるようになり、夜間も眠れていることから、主治医は認知療法への参加を勧めた。 この時点の認知療法で修正するのはどれか。

  1. 1.内向的な性格
  2. 2.低下した意欲
  3. 3.Aさんと息子との親子関係
  4. 4.自分は役に立たない人間だという考え方

対話形式の解説

博士博士
学生さん、Aさんは「自分は役に立たない人間」と話しておる。何を修正対象にする?
サクラサクラ
認知療法は考え方を扱う療法ですよね。
博士博士
さよう。Beckが体系化した治療法で、否定的自動思考や認知の歪みを修正していくのじゃ。
サクラサクラ
Aさんの発言は否定的自動思考に当てはまりますね。
博士博士
その通り。うつ病には自己・世界・将来への否定的見方という認知三徴があるんじゃ。
サクラサクラ
内向的な性格は対象になりますか?
博士博士
性格はAさんの個性じゃ。変えるのではなく前提として受け止めて、その特性が認知に与える影響に気づくよう働きかけるんじゃ。
サクラサクラ
意欲低下はどうでしょう?
博士博士
意欲は薬物療法と休養で改善する症状じゃ。現にAさんも食事や睡眠が改善してきておる。認知療法が直接扱うのは思考パターンの方じゃ。
サクラサクラ
親子関係は?
博士博士
息子との関係に問題があるとの情報はないし、家族療法とは違うアプローチじゃ。
サクラサクラ
どんな技法を使うのですか?
博士博士
コラム法というのが代表的じゃの。状況、気分、自動思考、根拠、反証、適応的思考を整理する。
サクラサクラ
認知の歪みにはどんな種類がありますか?
博士博士
全か無か思考、過度の一般化、べき思考、自己関連付けなどじゃ。Aさんの「役に立たない」は過度の一般化に当てはまるかもしれぬの。
サクラサクラ
主治医や心理士と連携して支援していきます。
博士博士
看護師は治療を支える環境を整え、患者の気づきを促す関わりを意識するのじゃぞ。

POINT

認知療法の対象が患者の否定的自動思考や認知の歪みであることを理解しているかを問う問題です。

解答・解説

正解は4です

問題文:入院後1か月。Aさんは「私は役に立たない人間です。昔から妻や母親としての役割を果たせていませんでした」と発言している。食事は3分の2を摂取できるようになり、夜間も眠れていることから、主治医は認知療法への参加を勧めた。 この時点の認知療法で修正するのはどれか。

解説:正解は4です。認知療法はうつ病に特徴的な否定的自動思考や認知の歪みを患者自身が気づき、より現実的でバランスのとれた考えに修正していく心理療法です。Aさんの「私は役に立たない人間」「妻や母親としての役割を果たせていない」という発言は典型的な認知の歪みであり、認知療法の修正対象となります。

選択肢考察

  1. ×1.  内向的な性格

    性格はAさんの個性であり、認知療法は性格を変えることを目的としません。性格は前提として受け止め、その特性が認知に与える影響に気づくよう働きかけます。

  2. ×2.  低下した意欲

    意欲低下は薬物療法と休養により改善する症状であり、現にAさんは食事や睡眠の状態が改善しています。認知療法が直接介入する対象は思考パターンであって意欲そのものではありません。

  3. ×3.  Aさんと息子との親子関係

    親子関係に問題があるとの情報はなく、家族療法的アプローチが適応となる場面でもありません。認知療法はAさん個人の認知の修正が主眼です。

  4. 4.  自分は役に立たない人間だという考え方

    「自分は役に立たない」という発言は否定的自動思考の典型例であり、うつ病の認知三徴(自己・世界・将来への否定的見方)の一つです。認知療法では現実的根拠を検討し、よりバランスのとれた考え方へ修正することを目指します。

認知療法はBeckが体系化したうつ病治療法で、否定的自動思考、推論の誤り、スキーマの3層を扱います。代表的な認知の歪みには「全か無か思考」「過度の一般化」「べき思考」「自己関連付け」などがあります。コラム法を用いて状況・気分・自動思考・根拠・反証・適応的思考を整理する作業を通じて、患者自身が思考パターンを修正していきます。

認知療法の対象が患者の否定的自動思考や認知の歪みであることを理解しているかを問う問題です。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。