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レビー小体型認知症と幻視への対応

看護師国家試験 第107午前49

国試問題にチャレンジ

107午前49

Aさん( 66歳、男性 )は、Lewy< レビー >小体型認知症( dementia with Lewy bodies )であるが、日常生活動作< ADL >は自立している。介護老人保健施設の短期入所< ショートステイ >を初めて利用することとなった。施設の看護師は、同居している家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。 入所当日の夜間の対応で適切なのはどれか。

  1. 1.虫はいないと説明する。
  2. 2.部屋の照明をつけたままにする。
  3. 3.細かい模様のある物は片付ける。
  4. 4.窓のカーテンは開けたままにする。

対話形式の解説

博士博士
レビー小体型認知症の問題じゃ。お主、DLBの4大中核症状を言えるかの?
サクラサクラ
はい、認知機能の動揺、反復する具体的な幻視、パーキンソニズム、レム睡眠行動障害の4つです。
博士博士
完璧じゃ!特徴的なのは幻視で、それも「子どもが部屋にいる」「虫がいる」など具体的で反復する内容じゃ。
サクラサクラ
Aさんは以前「ご飯のゴマを虫」と見間違えたんですよね。
博士博士
そう、それが典型的なパレイドリア(錯視)じゃ。細かい模様や点々が虫や生き物に見えてしまう現象じゃ。
サクラサクラ
自宅では出ていないのに入院時は出た、というのも大事な情報ですね。
博士博士
その通り。環境変化、ストレス、疲労、脱水、感染が幻視を誘発するのじゃ。初めてのショートステイはまさに環境変化の大イベントじゃ。
サクラサクラ
だから事前に幻視が出そうな要因を取り除いておくんですね。
博士博士
その通り。細かい柄のシーツ、カーペット、壁の絵、観葉植物の影、こうしたものが幻視のトリガーになる。シンプルな環境が肝心じゃ。
サクラサクラ
選択肢1の「虫はいないと説明する」は、本人がまだ何も言っていないのに持ち出すのは変ですね。
博士博士
その通り。暗示効果になってしまう。それに幻視が出たときも、頭ごなしに否定してはならん。「否定も肯定もせず、不安に寄り添う」が鉄則じゃ。
サクラサクラ
「そうですか、怖かったですね」と受け止めるんですね。
博士博士
そうじゃ。「一緒に追い払いましょうか」と行動で安心を提供することもある。
サクラサクラ
選択肢2の照明をつけたままは?
博士博士
夜通し照明では睡眠覚醒リズムが崩れ、昼夜逆転やせん妄を招く。足元灯や間接照明で最小限の明るさを確保しつつ、基本は消灯じゃ。
サクラサクラ
カーテンも閉めるんですね。
博士博士
そう。窓に映る自分の影や街灯、揺れる木々が幻視を誘発する。視覚刺激を減らすのじゃ。
サクラサクラ
DLBで気をつける薬はありますか?
博士博士
抗精神病薬への過敏性が有名じゃ。定型抗精神病薬、特にハロペリドールは重篤な錐体外路症状や悪性症候群を起こすため原則禁忌じゃ。
サクラサクラ
認知機能にはドネペジルが使えますよね。
博士博士
そうじゃ、DLBにも保険適応がある。ただしパーキンソン症状を悪化させないよう慎重に用いる。
サクラサクラ
転倒予防も大事ですね。パーキンソニズムがあるから。
博士博士
その通り。小刻み歩行、すくみ足、姿勢反射障害で転びやすい。起立性低血圧もあるから、ゆっくり起き上がる指導も重要じゃ。
サクラサクラ
環境整備、コミュニケーション、薬剤管理、転倒予防、総合的な看護が必要ですね。
博士博士
その姿勢が老年看護の神髄じゃ。

POINT

レビー小体型認知症の特徴的な幻視に対する環境調整の重要性を問う問題です。幻視のトリガーを減らす視点が鍵となります。

解答・解説

正解は3です

問題文:Aさん( 66歳、男性 )は、Lewy< レビー >小体型認知症( dementia with Lewy bodies )であるが、日常生活動作< ADL >は自立している。介護老人保健施設の短期入所< ショートステイ >を初めて利用することとなった。施設の看護師は、同居している家族から「以前、入院したときに、ご飯にかかっているゴマを虫だと言って騒いだことがあったが、自宅ではそのような様子はみられない」と聞いた。 入所当日の夜間の対応で適切なのはどれか。

解説:正解は3の「細かい模様のある物は片付ける」です。レビー小体型認知症(DLB)はパーキンソン症状、認知機能の変動、具体的で繰り返される幻視、レム睡眠行動障害(RBD)を4大中核症状とする認知症で、アルツハイマー型に次いで多い変性性認知症です。特徴的なのは視覚認知障害で、ゴマを虫、カーペットの模様を動物、壁のシミを人物と誤認するパレイドリア(錯視)が頻発します。Aさんは以前入院時に「ご飯のゴマを虫」と認識した既往があり、環境変化が幻視を誘発することが示唆されます。そのため初めてのショートステイでは、細かい模様や小さな柄の物を視界から取り除き、幻視のトリガーを減らす環境調整が最も適切な対応となります。

選択肢考察

  1. ×1.  虫はいないと説明する。

    現時点でAさんは虫の話をしていないため、わざわざ虫の話題を出す必要はありません。また幻視は本人にとって「見えている」現実のため、頭ごなしに否定すると不安や混乱を招きます。幻視への対応は「否定も肯定もせず」受け止めるのが基本です。

  2. ×2.  部屋の照明をつけたままにする。

    夜間ずっと照明をつけていると睡眠覚醒リズムが乱れ、昼夜逆転やせん妄を誘発するおそれがあります。間接照明や足元灯で最小限の明るさを確保しつつ、消灯して睡眠リズムを守るのが基本です。

  3. 3.  細かい模様のある物は片付ける。

    レビー小体型認知症では細かい模様や影が幻視・錯視のトリガーとなります。ゴマを虫と見間違えた既往があるAさんには、細かい柄のシーツ、カーペット、壁の絵などを片付け、シンプルな環境を整えることが最も有効です。

  4. ×4.  窓のカーテンは開けたままにする。

    夜間にカーテンを開けたままにすると、窓に映る影や外の動くものが幻視を誘発する原因となります。カーテンは閉め、視覚刺激を減らすのが望ましい対応です。

レビー小体型認知症の4大中核症状:①認知機能の動揺(日内変動)、②反復する具体的な幻視、③パーキンソニズム、④レム睡眠行動障害。支持症状として自律神経症状(起立性低血圧、便秘)、抗精神病薬への過敏性(重篤な錐体外路症状を起こす)、抑うつなど。看護のポイント:転倒予防(パーキンソニズム)、幻視への共感的対応、環境整備、薬剤管理(定型抗精神病薬は禁忌、ドネペジルは保険適応あり)。覚え方は「レビー小体は幻視とパーキンソン、薬に過敏で転びやすい」。

レビー小体型認知症の特徴的な幻視に対する環境調整の重要性を問う問題です。幻視のトリガーを減らす視点が鍵となります。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。