児童虐待統計の「心理的虐待急増」、その背景に何があるのか
看護師国家試験 第109回 午後 第59問
国試問題にチャレンジ
平成 28 年度( 2016 年度)の福祉行政報告例における児童虐待で正しいのはどれか。
- 1.主たる虐待者は実父が最も多い。
- 2.性的虐待件数は身体的虐待件数より多い。
- 3.児童虐待相談件数は 5 年間横ばいである。
- 4.心理的虐待件数は 5 年前に比べて増加している。
対話形式の解説
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博士POINT
児童虐待統計の経年変化を問う問題。心理的虐待が最多で急増中、主虐待者は実母、相談件数は増加傾向という三点を押さえる。
解答・解説
正解は4です
問題文:平成 28 年度( 2016 年度)の福祉行政報告例における児童虐待で正しいのはどれか。
解説:正解は4の「心理的虐待件数は5年前に比べて増加している」である。平成28年度福祉行政報告例によれば、全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は122,575件で前年度比18.7%増、種別は心理的虐待63,186件(構成比51.5%)、身体的虐待31,925件、ネグレクト25,842件、性的虐待1,622件となっている。5年前の平成23年度と比較すると心理的虐待は約3倍に急増しており、面前DV(子どもの前で家族に暴力)が警察から児相へ通告されるようになったことが大きな要因。主な虐待者は実母48.5%、実父38.9%で実母が最多、実父の割合は年々増加傾向にある。
選択肢考察
- ×1. 主たる虐待者は実父が最も多い。
平成28年度データでは実母48.5%が最多、次いで実父38.9%。母親が主介護者・養育者となる家庭が多く育児ストレスの矛先が子に向かうことが背景にあるが、近年は実父の割合も徐々に増加している。
- ×2. 性的虐待件数は身体的虐待件数より多い。
性的虐待1,622件に対し身体的虐待は31,925件で身体的虐待が大幅に多い。性的虐待は4種別の中で件数は最少だが、発見されにくく潜在化している点に注意が必要。
- ×3. 児童虐待相談件数は 5 年間横ばいである。
相談対応件数は平成2年の統計開始以来一貫して増加し続けており、平成28年度は前年比18.7%増、5年前比では約2倍と急増している。横ばいではない。
- ○4. 心理的虐待件数は 5 年前に比べて増加している。
心理的虐待は平成23年度約17,000件から平成28年度63,186件へ約3.7倍に増加。面前DVが心理的虐待として警察から児相に通告されるようになったことが主因で、現在は構成比50%超で最多の虐待種別となっている。
児童虐待は1身体的虐待、2ネグレクト、3性的虐待、4心理的虐待の4種別に分類される。2019年時点でも相談件数は増加し続け、令和4年度には約21万9,000件に達している。通告者は警察からが最多で、心理的虐待の増加を牽引する。看護師は児童虐待防止法により「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに福祉事務所もしくは児童相談所へ通告しなければならない」義務を負う。医療現場での不自然な外傷、受診遅延、養育者の説明矛盾、発達遅滞、健診未受診なども虐待を疑うサインとなる。
児童虐待統計の経年変化を問う問題。心理的虐待が最多で急増中、主虐待者は実母、相談件数は増加傾向という三点を押さえる。
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