母乳育児を支える看護の基本——うっ滞性乳腺炎は『止めずに流す』が正解
看護師国家試験 第115回 午後 第66問
国試問題にチャレンジ
うっ滞性乳腺炎について正しいのはどれか。
- 1.授乳を継続する。
- 2.自覚症状が乏しい。
- 3.感染によって生じる。
- 4.分娩直後に発症することが多い。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
うっ滞性乳腺炎の発症機序(非感染性・乳汁うっ滞が主因)と、ケアの基本である『授乳継続』を問う問題。化膿性乳腺炎との鑑別ポイントを整理しておくことが重要。
解答・解説
正解は1です
問題文:うっ滞性乳腺炎について正しいのはどれか。
解説:正解は 1 です。うっ滞性乳腺炎は、産生された乳汁が乳管内に貯留・うっ滞することで乳腺組織に炎症反応が生じる非感染性の乳腺炎です。乳汁分泌が本格化する産後2〜3日目以降(移行乳から成乳への切り替え期)から数週間以内に好発し、乳房の硬結・緊満感・疼痛・発赤・発熱(軽度〜中等度)といった自覚症状を伴います。治療・看護の基本は『うっ滞している乳汁をいかに排出するか』であり、患側を含めて積極的に授乳・搾乳を継続し、乳管の通過性を回復させることが第一選択となります。授乳を中止すると乳汁うっ滞がさらに悪化し、二次的に細菌感染を起こして化膿性(感染性)乳腺炎へ進展するリスクが高まるため、原則として授乳を継続することが重要です。
選択肢考察
- ○1. 授乳を継続する。
正解。うっ滞性乳腺炎の最も有効な治療は、うっ滞した乳汁を排出することである。患側乳房から先に授乳を行ったり、児の口角を変えてさまざまな抱き方(横抱き・脇抱き・縦抱き)で吸啜させることで詰まりやすい部位の乳汁排出を促す。授乳後も残った乳汁は手搾乳または搾乳器で排出する。
- ×2. 自覚症状が乏しい。
誤り。うっ滞性乳腺炎では、乳房の張り・硬結・圧痛・熱感・発赤などの局所症状に加え、38℃前後の発熱や悪寒・全身倦怠感など、明らかな自覚症状を呈することが多い。むしろ症状が乏しいのは初期の単純なうっ滞であり、炎症が進めば症状は顕在化する。
- ×3. 感染によって生じる。
誤り。うっ滞性乳腺炎は乳汁の機械的なうっ滞による無菌性の炎症であり、細菌感染が原因ではない。細菌(黄色ブドウ球菌など)が乳頭亀裂などから侵入して生じるのは化膿性(感染性)乳腺炎であり、うっ滞性乳腺炎が遷延した結果として二次的に発症することがある。両者の鑑別が看護判断のうえで重要となる。
- ×4. 分娩直後に発症することが多い。
誤り。分娩直後はまだ乳汁分泌量が少ない初乳期であり、うっ滞は起こりにくい。乳汁分泌が本格化する産後2〜3日目以降、いわゆる『乳房緊満』が出現する時期から数週間以内に発症することが多い。授乳間隔があきすぎたり、児の吸啜が不十分な場合にも生じやすい。
乳腺炎は『うっ滞性(非感染性)』と『化膿性(感染性)』に大別される。うっ滞性は乳汁排出の促進が基本で、授乳前の温罨法やシャワーで乳管を開きやすくし、授乳後は腫脹・疼痛軽減のため冷罨法を行う。授乳姿勢の工夫、乳房マッサージ、十分な水分摂取と休息も重要となる。一方、化膿性乳腺炎では38.5℃以上の高熱・強い疼痛・膿性分泌物・腋窩リンパ節腫脹がみられ、抗菌薬治療(多くは黄色ブドウ球菌を想定したペニシリン系・セフェム系)が必要となる。膿瘍を形成した場合は切開排膿を要する。なお、抗菌薬使用中も基本的には授乳継続可能であることを覚えておきたい。
うっ滞性乳腺炎の発症機序(非感染性・乳汁うっ滞が主因)と、ケアの基本である『授乳継続』を問う問題。化膿性乳腺炎との鑑別ポイントを整理しておくことが重要。
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