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産褥2日で子宮がふにゃふにゃ?子宮復古不全を見抜いて輪状マッサージで止血せよ

看護師国家試験 第115午後67

国試問題にチャレンジ

115午後67

Aさんは産褥2日である。現在、子宮底の位置は臍高で、大きく柔らかい。下腹部痛はないが悪露の排出は多い。 Aさんへの看護ケアで適切なのはどれか。

  1. 1.安静臥床を保つ。
  2. 2.直接授乳を控える。
  3. 3.下腹部を温罨法する。
  4. 4.子宮底をマッサージする。

対話形式の解説

博士博士
今日は産褥期の看護じゃ。産褥2日のAさん、子宮底が臍高でしかも大きく柔らかい、悪露も多い。さて何が起きておると思う?
サクラサクラ
ええっと、産褥2日なら子宮底はもっと下がってるはずですよね…?
博士博士
その通り。正常なら産褥1日で臍高〜臍下1横指、産褥2日で臍下1〜2横指まで下がり、触ると硬く球状に触れるのが標準じゃ。
サクラサクラ
それが臍高で柔らかいということは、子宮の収縮がうまくいっていない…?
博士博士
ご名答。これを子宮復古不全、いわゆる子宮弛緩と呼ぶのじゃ。子宮筋がしっかり収縮しないと胎盤剥離面の血管が閉じきらず、悪露の量が増えたり弛緩出血を起こしたりする。
サクラサクラ
怖いですね…。原因は何があるんですか?
博士博士
子宮筋が過度に伸展されたケース、つまり多胎妊娠、巨大児、羊水過多が代表的じゃ。ほかに急速分娩や遷延分娩、胎盤や卵膜の遺残、子宮内感染、多産婦、膀胱や直腸の充満も子宮復古を妨げる要因になる。
サクラサクラ
なるほど。まずは膀胱を空にしてもらうことも大事なんですね。それで看護ケアとしては何をすべきなんですか?
博士博士
選択肢を見ていこう。安静臥床はどう思う?
サクラサクラ
むしろ早期離床のほうが悪露の排出や血栓予防に良いって習いました。安静だけでは子宮は縮みませんよね。
博士博士
その通り。次に直接授乳を控える、これは?
サクラサクラ
授乳の吸啜刺激でオキシトシンが出て、子宮収縮を促進するから、控えたら逆効果ですよね。
博士博士
見事じゃ。下腹部を温罨法するのはどうじゃ?
サクラサクラ
温めると血管が広がって出血が増えそう…冷罨法のほうがいい場面ですよね。
博士博士
正解じゃ。そして残った子宮底マッサージ、いわゆる輪状マッサージじゃな。手掌で子宮底を包み込み、円を描くように一定のリズムで圧を加えて子宮筋を刺激する。すると子宮はぎゅっと硬くなり、貯留していた凝血塊も押し出されて悪露の排出も整っていくのじゃ。
サクラサクラ
物理的に刺激することで収縮スイッチを入れるイメージですね。マッサージ中はバイタルも見ておかないと。
博士博士
その通り。頻脈、血圧低下、冷汗などのショック徴候を見逃さないことが命綱じゃ。改善しなければ医師に報告し、オキシトシンやメチルエルゴメトリンといった子宮収縮薬の投与、超音波検査による胎盤遺残の確認なども行われる。
サクラサクラ
子宮底の高さ・硬さ・悪露の量と性状をセットで観察するという視点が大事なんですね。
博士博士
うむ。産褥期の観察項目は「高さ・硬度・悪露・痛み・全身状態」と覚えるとよい。早期発見と早期介入が母体を守る鍵じゃ。

POINT

産褥2日目に「子宮底臍高・大きく柔らかい・悪露多量」という子宮復古不全を示唆する所見が揃ったときに、まず行うべき直接的な看護ケアを問う問題である。

解答・解説

正解は4です

問題文:Aさんは産褥2日である。現在、子宮底の位置は臍高で、大きく柔らかい。下腹部痛はないが悪露の排出は多い。 Aさんへの看護ケアで適切なのはどれか。

解説:正解は 4 です。産褥2日目の正常な子宮底の高さは臍下1〜2横指で、触診すると硬く球状に触れるのが標準的な所見である。本症例では子宮底が臍高にとどまり、大きく柔らかく、さらに悪露も多量であることから、子宮筋の収縮が不十分な「子宮復古不全(子宮弛緩)」が強く疑われる。子宮筋の収縮不全が続けば後出血や弛緩出血、貧血、感染(産褥熱)へと進行する危険があるため、まずは物理的刺激によって子宮筋の収縮を促す「子宮底の輪状マッサージ」を行うことが最も適切な看護ケアとなる。マッサージは手掌で子宮底を包み込み、円を描くように一定のリズムで圧迫刺激を加え、子宮が硬く収縮するのを確認しながら実施する。

選択肢考察

  1. ×1.  安静臥床を保つ。

    産褥期はむしろ早期離床が推奨され、骨盤内のうっ滞改善や悪露の排出促進、血栓予防の観点からも有用である。安静臥床を続けても子宮筋の収縮は促されず、悪露が貯留して凝血塊となれば、かえって子宮復古を妨げる原因にもなる。子宮復古不全への直接的な対処にはならないため不適切である。

  2. ×2.  直接授乳を控える。

    新生児が乳頭を吸啜する刺激は下垂体後葉からのオキシトシン分泌を促し、このオキシトシンが子宮筋を収縮させて子宮復古を強力に後押しする。子宮復古不全の場面ではむしろ直接授乳を積極的に継続することが望まれ、控えるのは逆効果である。

  3. ×3.  下腹部を温罨法する。

    温罨法は血管を拡張させ局所の血流を増加させるため、出血傾向のある場面で下腹部に行うと悪露が増えて出血が助長される懸念がある。また温熱だけでは子宮筋の収縮は得られず、子宮復古不全に対する手技として推奨されない。むしろ収縮を促したい場面では氷嚢などの冷罨法や輪状マッサージが選択される。

  4. 4.  子宮底をマッサージする。

    大きく柔らかい子宮底と悪露の多量排出は子宮復古不全(子宮弛緩)を示唆する所見である。手掌で子宮底を包み込み輪状にマッサージすると、機械的刺激により子宮筋の収縮が促され、子宮底は硬く小さく触れるようになる。あわせて貯留した凝血塊や悪露の排出も促進され、弛緩出血の予防につながるため、本症例に最も適切なケアである。

子宮復古の目安は、分娩直後は臍下2〜3横指、産褥1日で臍高〜臍下1横指、産褥2日で臍下1〜2横指、産褥7日で恥骨結合上縁と臍の中央、産褥10日以降は骨盤内に収まり腹壁から触れなくなる。悪露は赤色悪露(〜3日)→褐色悪露(〜7日)→黄色悪露(〜2週)→白色悪露と移行する。子宮復古不全のリスク因子としては、多胎妊娠・巨大児・羊水過多による子宮筋の過伸展、急速分娩や遷延分娩、胎盤や卵膜の遺残、子宮内感染、多産婦、膀胱・直腸の充満などが挙げられる。看護では子宮底の高さ・硬度・悪露の量と性状を経時的に観察し、頻脈・血圧低下・冷汗などのショック徴候を早期に把握する。改善しない場合は医師と連携してオキシトシンやメチルエルゴメトリンといった子宮収縮薬の投与、超音波検査による遺残の確認などが検討される。

産褥2日目に「子宮底臍高・大きく柔らかい・悪露多量」という子宮復古不全を示唆する所見が揃ったときに、まず行うべき直接的な看護ケアを問う問題である。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。