医療事故を防ぐ最強の習慣「復唱」――伝え合いがチーム医療を守る
看護師国家試験 第115回 午前 第19問 / 必修問題
国試問題にチャレンジ
医療者間のコミュニケーションのエラーを防ぐために適切なのはどれか。
- 1.薬剤の単位は省略する。
- 2.与薬の指示は口頭で行う。
- 3.伝えられた情報の内容を復唱し確認し合う。
- 4.伝えられた情報の不明点に関する質問は控える。
対話形式の解説
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士
サクラ
博士POINT
医療現場における伝達ミスを防ぐ基本行動を問う問題。「復唱して確認する」「省略しない」「不明点は質問する」「文書で残す」という医療安全の原則を理解しているかがポイント。
解答・解説
正解は3です
問題文:医療者間のコミュニケーションのエラーを防ぐために適切なのはどれか。
解説:正解は 3 です。医療現場では、医師・看護師・薬剤師・コメディカルなど多職種が情報を共有しながら患者ケアを行うため、伝達ミスは重大な医療事故に直結します。情報を受け取った側が内容を声に出して繰り返す「復唱(read back / repeat back)」は、米国のJoint CommissionやWHOの医療安全ガイドラインでも推奨されている基本手技で、聞き間違い・思い込み・記憶違いをその場で検出して修正できる極めて有効な手段です。受け手と送り手の双方で内容の認識が一致しているかを確認し合うことで、与薬・検査・処置などにおけるヒューマンエラーを大幅に減らすことができます。
選択肢考察
- ×1. 薬剤の単位は省略する。
単位(mg、g、mL、単位(U)など)の省略は、桁違いの投与や薬効の異なる剤型との取り違えを招く重大な原因になる。たとえば「インスリン10」と記載すると10単位なのか10mLなのか不明確で、致命的な過量投与につながり得る。医療安全の基本として、単位は省略せず正式表記で記載・伝達することが求められる。
- ×2. 与薬の指示は口頭で行う。
与薬指示は原則として記録に残る文書(電子カルテ・指示書)で行うのが基本である。口頭指示は聞き間違いの危険が高く、後から指示内容を検証することも難しい。緊急時など止むを得ず口頭指示を出す場合でも、受け手は復唱し、事後に必ず指示者が記録に残すことがルール化されている。
- ○3. 伝えられた情報の内容を復唱し確認し合う。
復唱(read back)は、SBARやTeamSTEPPSなどの医療安全コミュニケーション手法でも中核に位置づけられる行動。患者氏名・薬剤名・投与量・投与経路などを声に出して相手に返すことで、誤認をその場で発見でき、医療事故の発生を未然に防ぐことができる。
- ×4. 伝えられた情報の不明点に関する質問は控える。
わからないまま指示を実行することは、患者の安全を直接脅かす行為である。職位や経験年数にかかわらず、疑問点は必ず確認することが医療安全文化の基本であり、「アサーティブな質問」「安心して声を上げられる職場(心理的安全性)」が医療チームには不可欠とされている。
医療安全領域では、コミュニケーションエラーが医療事故の主要因とされ、米国Joint Commissionの分析では重大事故(センチネルイベント)の原因の約70%にコミュニケーション不良が関与していると報告されている。具体的な対策として、(1) SBAR(Situation・Background・Assessment・Recommendation)による情報整理、(2) read back(復唱確認)、(3) 略語や紛らわしい単位の使用回避、(4) タイムアウト(手術前のチーム確認)などが標準化されている。また、患者誤認防止のためにはフルネームと生年月日など2つ以上の識別子で本人確認を行うことも国際的に推奨されている。
医療現場における伝達ミスを防ぐ基本行動を問う問題。「復唱して確認する」「省略しない」「不明点は質問する」「文書で残す」という医療安全の原則を理解しているかがポイント。
「医療安全と職業安全」の関連問題
看護手順は何のためにあるのか
看護手順の主目的は、標準化により誰が行っても一定の安全と質を担保する「看護ケアの水準の保持」であることを問う問題である。
115回
医療安全管理者の仕事は『犯人探し』ではない!与薬事故防止の本質
医療安全管理者の役割は個人の責任追及ではなく、システムアプローチによる業務プロセスの改善であることを理解しているかを問う問題である。
115回
タイムアウトの本質を理解する〜WHO手術安全チェックリストと医療安全〜
タイムアウトは『侵襲性の高い処置の開始直前』に『全員が手を止めて』患者・部位・術式を声に出して確認する医療安全手順であることを問う問題である。
115回
医療事故と医療過誤の違いがわかる!医療安全の基本ルール
医療事故と医療過誤の用語の違い、インシデントレポートの提出ルール、医療安全文化(非懲罰的・速やかな報告)の理解を問う複合的な問題。
114回
インシデントレポートの目的と運用を理解しよう
インシデントレポートの目的(安全向上・再発防止)と運用原則(非懲罰・速やか・全件報告・組織共有)を理解しているかが問われています。
113回
