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医療事故を防ぐ最強の習慣「復唱」――伝え合いがチーム医療を守る

看護師国家試験 第115午前19 / 必修問題

国試問題にチャレンジ

115午前19

医療者間のコミュニケーションのエラーを防ぐために適切なのはどれか。

  1. 1.薬剤の単位は省略する。
  2. 2.与薬の指示は口頭で行う。
  3. 3.伝えられた情報の内容を復唱し確認し合う。
  4. 4.伝えられた情報の不明点に関する質問は控える。

対話形式の解説

博士博士
今日のテーマは医療者間コミュニケーションのエラー防止じゃ。意外なほど多くの医療事故が「言った・言わない」「聞き間違い」から起きておるのを知っておるかな?
サクラサクラ
え、そうなんですか?技術的なミスより、コミュニケーションのミスの方が多いんですか?
博士博士
そうじゃ。米国Joint Commissionの調査では、重大事故(センチネルイベント)の原因の約7割にコミュニケーション不良が関与しておると報告されておる。だからこそ「どう伝え、どう受け取るか」が医療安全の核心なのじゃ。
サクラサクラ
なるほど…。問題では4つの選択肢があって、私は3番の「復唱して確認し合う」が正解だと思いました。
博士博士
正解じゃ!復唱は英語でread backといい、WHOやJoint Commissionの安全ガイドラインでも強く推奨されておる基本手技じゃよ。例えば医師から「ヘパリン5000単位、生食100mLに溶解、1時間で投与」と指示が来たら、看護師は「ヘパリン5000単位、生食100mLに溶解、1時間で投与ですね」と声に出して返す。
サクラサクラ
声に出して繰り返すことで、その場で聞き間違いを発見できるんですね。
博士博士
その通り。さらに送り手側も「自分が言ったことと違うぞ」と気づける。送受信のダブルチェックになるわけじゃ。じゃあ他の選択肢も見てみよう。1番の「単位を省略する」はどうじゃ?
サクラサクラ
それは絶対ダメですよね。「インスリン10」だけだと、10単位なのか10mLなのか分かりません。
博士博士
鋭いのう。インスリンは1mLあたり100単位入っておるから、もし10単位を10mLと取り違えたら100倍量となり、致命的低血糖を起こす。だから単位は決して省略してはならぬのじゃ。
サクラサクラ
2番の「口頭指示」も基本的にはNGですよね?
博士博士
その通り。指示は原則として記録に残る形(電子カルテや指示書)で出す。緊急時など止むを得ず口頭指示を出すときは、受け手が必ず復唱し、指示者が事後速やかに記録に残すルールになっておる。
サクラサクラ
4番の「不明点の質問を控える」は明らかに危険ですね。新人のころは先輩に聞きづらいこともありますが…。
博士博士
そこが大事なポイントじゃ。医療チームには「心理的安全性」、つまり職位や経験に関係なく安心して疑問を口にできる文化が不可欠なのじゃ。航空業界では機長に副操縦士が異議を唱えられない雰囲気が事故を招いた歴史があり、医療もそれに学んでチーム医療を整備してきた。
サクラサクラ
他にも具体的な手法ってあるんですか?
博士博士
代表的なのがSBARじゃ。Situation(状況)、Background(背景)、Assessment(評価)、Recommendation(提案)の順で報告する型じゃな。これに沿えば短時間で過不足なく情報を伝えられる。手術室で行うタイムアウト(執刀直前のチーム全員での患者・部位・術式確認)も同じ思想で生まれた手法じゃよ。
サクラサクラ
患者の取り違え防止のために、フルネームと生年月日で確認するのも同じ流れですね。
博士博士
その通りじゃ。2つ以上の識別子で本人確認を行うのは国際的な標準で、日本の医療機能評価機構もこれを推奨しておる。看護師は与薬の6R(正しい患者・薬・量・時間・経路・目的)と組み合わせて実践することになる。
サクラサクラ
「曖昧なまま進めない」「声に出して確認する」「疑問は必ず口にする」――この3つを意識すれば事故は大きく減らせそうですね。
博士博士
見事なまとめじゃ。コミュニケーションは医療技術と同じくらい重要なスキル。学生のうちから復唱と質問を習慣にしておけば、現場でも自然に身についた行動として患者を守れるようになるぞ。

POINT

医療現場における伝達ミスを防ぐ基本行動を問う問題。「復唱して確認する」「省略しない」「不明点は質問する」「文書で残す」という医療安全の原則を理解しているかがポイント。

解答・解説

正解は3です

問題文:医療者間のコミュニケーションのエラーを防ぐために適切なのはどれか。

解説:正解は 3 です。医療現場では、医師・看護師・薬剤師・コメディカルなど多職種が情報を共有しながら患者ケアを行うため、伝達ミスは重大な医療事故に直結します。情報を受け取った側が内容を声に出して繰り返す「復唱(read back / repeat back)」は、米国のJoint CommissionやWHOの医療安全ガイドラインでも推奨されている基本手技で、聞き間違い・思い込み・記憶違いをその場で検出して修正できる極めて有効な手段です。受け手と送り手の双方で内容の認識が一致しているかを確認し合うことで、与薬・検査・処置などにおけるヒューマンエラーを大幅に減らすことができます。

選択肢考察

  1. ×1.  薬剤の単位は省略する。

    単位(mg、g、mL、単位(U)など)の省略は、桁違いの投与や薬効の異なる剤型との取り違えを招く重大な原因になる。たとえば「インスリン10」と記載すると10単位なのか10mLなのか不明確で、致命的な過量投与につながり得る。医療安全の基本として、単位は省略せず正式表記で記載・伝達することが求められる。

  2. ×2.  与薬の指示は口頭で行う。

    与薬指示は原則として記録に残る文書(電子カルテ・指示書)で行うのが基本である。口頭指示は聞き間違いの危険が高く、後から指示内容を検証することも難しい。緊急時など止むを得ず口頭指示を出す場合でも、受け手は復唱し、事後に必ず指示者が記録に残すことがルール化されている。

  3. 3.  伝えられた情報の内容を復唱し確認し合う。

    復唱(read back)は、SBARやTeamSTEPPSなどの医療安全コミュニケーション手法でも中核に位置づけられる行動。患者氏名・薬剤名・投与量・投与経路などを声に出して相手に返すことで、誤認をその場で発見でき、医療事故の発生を未然に防ぐことができる。

  4. ×4.  伝えられた情報の不明点に関する質問は控える。

    わからないまま指示を実行することは、患者の安全を直接脅かす行為である。職位や経験年数にかかわらず、疑問点は必ず確認することが医療安全文化の基本であり、「アサーティブな質問」「安心して声を上げられる職場(心理的安全性)」が医療チームには不可欠とされている。

医療安全領域では、コミュニケーションエラーが医療事故の主要因とされ、米国Joint Commissionの分析では重大事故(センチネルイベント)の原因の約70%にコミュニケーション不良が関与していると報告されている。具体的な対策として、(1) SBAR(Situation・Background・Assessment・Recommendation)による情報整理、(2) read back(復唱確認)、(3) 略語や紛らわしい単位の使用回避、(4) タイムアウト(手術前のチーム確認)などが標準化されている。また、患者誤認防止のためにはフルネームと生年月日など2つ以上の識別子で本人確認を行うことも国際的に推奨されている。

医療現場における伝達ミスを防ぐ基本行動を問う問題。「復唱して確認する」「省略しない」「不明点は質問する」「文書で残す」という医療安全の原則を理解しているかがポイント。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。