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点滴中の寝衣交換は「脱健着患」――右腕に輸液中の患者さんを安全に着替えさせるコツ

看護師国家試験 第115午前40

国試問題にチャレンジ

115午前40

右腕に点滴静脈内注射をしている成人患者の寝衣(パジャマ)の交換について正しいのはどれか。

  1. 1.寝衣(パジャマ)は右袖から脱がせる。
  2. 2.右袖を脱ぐ際に、点滴ボトルはベッド上に置く。
  3. 3.清潔な寝衣(パジャマ)は左袖から着せる。
  4. 4.清潔な寝衣(パジャマ)の右袖には、先に点滴ボトルを通してから腕を通す。

対話形式の解説

博士博士
今回は点滴中の患者さんの寝衣交換について学ぶぞ。臨床ではほぼ毎日のように出会う場面じゃ。
サクラサクラ
右腕に点滴が入っている人の着替え…どこから手をつけたらいいか毎回迷います。
博士博士
更衣介助の大原則は「脱健着患(だっけんちゃっかん)」。脱ぐときは健側から、着るときは患側からじゃ。
サクラサクラ
患側って、麻痺がある側のことじゃないんですか?
博士博士
広い意味では『動かしにくい・触れたくない側』全部を患側と呼ぶのじゃ。麻痺、骨折、術後創部、そして点滴留置中の腕も患側として扱う。
サクラサクラ
なるほど、点滴側=患側なんですね。じゃあ右腕に点滴が入っているなら、脱ぐときは左から、着るときは右からということですか?
博士博士
その通り。今回の問題で右袖から脱がせるという選択肢は誤りで、健側の左袖から脱がせるのが正しい。
サクラサクラ
脱ぐときに点滴ボトルはどう扱えばいいんでしょう?ベッドに置いた方が楽そうですけど…。
博士博士
それは危険じゃ。ボトルを刺入部より低い位置に置くと、回路に血液が逆流したり滴下が止まったりするし、寝具に触れて汚染するリスクもある。基本は点滴スタンドに吊るしたままじゃ。
サクラサクラ
じゃあ袖を抜くときはどうやってボトルを通すんですか?
博士博士
ラインを袖の中側から外側へくぐらせて、ボトルごと袖の中を通過させる。スタンドから一旦外すときは、必ず刺入部より高く保ちながら手早く操作するのじゃ。
サクラサクラ
着せるときは患側からということは、右袖に最初に手を入れる…でも点滴ボトルが邪魔ですよね?
博士博士
良いところに気づいた。清潔な寝衣の右袖には、まず袖口側から点滴ボトルを通して、袖の中を通過させる。それから患者さんの右腕を袖に通すのじゃ。
サクラサクラ
あっ!袖の中をボトルが通っていれば、後から腕を入れてもラインが袖の外側に絡まらないんですね。
博士博士
その通りじゃ。これが今回の正解の選択肢の意味じゃな。ルートを三方活栓で一旦外せば楽そうじゃが、それは閉鎖回路を破る行為で感染リスクが跳ね上がるから原則しない。
サクラサクラ
接続は外さない、これも大切ですね。最後はどうまとめますか?
博士博士
右袖を通したら、ボトルを再び点滴スタンドに掛けて、健側の左袖を通し、襟元やシワを整える。最後に刺入部、固定テープ、滴下数、漏れや腫脹がないかを必ず確認するのじゃ。
サクラサクラ
更衣後の観察まで含めて1セットなんですね。麻痺や骨折のときも同じ考え方で応用できそうです。
博士博士
うむ。脱健着患は片麻痺患者、術後ドレーン留置中、ギプス装着中など、応用範囲がとても広い基本技術じゃ。国試でも繰り返し問われるから、手順とともに『なぜそうするのか』をセットで覚えるのじゃぞ。

POINT

点滴留置中の患者の寝衣交換における基本原則「脱健着患」と、輸液ラインを外さずに袖を通す具体的手順を問う問題。患側=点滴側であることを見抜けるかが鍵。

解答・解説

正解は4です

問題文:右腕に点滴静脈内注射をしている成人患者の寝衣(パジャマ)の交換について正しいのはどれか。

解説:正解は 4 です。点滴ライン(輸液ルート)が留置されている上肢を「患側」と捉え、更衣介助の大原則である「脱健着患(だっけんちゃっかん)」――脱ぐときは健側から、着るときは患側から――に従って行います。さらに右腕には点滴ルートとボトル(輸液バッグ)がつながっているため、ルートを外さずに着せるためには、まず袖の中に点滴ボトルを根元側(袖口)から通し、続いてその袖に右腕を通すという手順が必要になります。こうすることでルートを抜去・引っ張りせず、刺入部にも負担をかけずに更衣でき、感染や血管外漏出のリスクを最小限にできます。

選択肢考察

  1. ×1.  寝衣(パジャマ)は右袖から脱がせる。

    右腕は点滴が入っている患側なので、ここから先に脱がせるとルートが袖の中で引っ張られ、刺入部のずれや抜去、血管外漏出の原因になります。脱衣は健側である左腕から行うのが基本です。

  2. ×2.  右袖を脱ぐ際に、点滴ボトルはベッド上に置く。

    輸液ボトルを刺入部より低い位置(ベッド上など)に置くと、輸液回路内に血液が逆流したり、滴下が止まったりする可能性があります。さらに寝具に触れることで汚染や落下のリスクもあるため、ボトルは点滴スタンドに吊り下げた状態で、刺入部より高く保ったまま操作します。

  3. ×3.  清潔な寝衣(パジャマ)は左袖から着せる。

    着衣は患側(右腕)から先に通すのが原則です。健側の左腕から着せると、その後で患側の腕を通す際に袖を大きく引っ張ったり身体をひねったりする必要が生じ、ルートに余計な張力がかかります。

  4. 4.  清潔な寝衣(パジャマ)の右袖には、先に点滴ボトルを通してから腕を通す。

    点滴ラインに接続したまま更衣する正しい手順です。袖口側から点滴ボトルを通して袖の中を通過させ、その後で患者の右腕を袖に通すことで、ルートを外さず、刺入部にも負担をかけずに着衣できます。ボトルは再び点滴スタンドに掛け、滴下状態と刺入部を確認します。

更衣介助の合言葉は「脱健着患」。麻痺、骨折、点滴、創部など『動かしにくい・触れたくない側』はすべて患側として扱います。点滴中の更衣では、(1)滴下を一旦観察しやすい位置で確認する、(2)健側から脱がせる、(3)患側の袖を抜くときはルートを袖の内側から外側へくぐらせて、ボトルごと袖から抜く、(4)新しい寝衣は患側の袖にまずボトルを通し、続いて患者の腕を通す、(5)健側を着せて整える、(6)輸液ボトルをスタンドへ戻し、刺入部・滴下数・固定テープを再確認、という流れが安全です。途中でルートを三方活栓などから一時的に外すと閉鎖回路が破綻し感染リスクが上がるため、原則として接続を外さずに行います。

点滴留置中の患者の寝衣交換における基本原則「脱健着患」と、輸液ラインを外さずに袖を通す具体的手順を問う問題。患側=点滴側であることを見抜けるかが鍵。

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。