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眼底検査と散瞳薬の指導

成人看護学 / 皮膚・感覚器・耳鼻

解説

今回は眼底検査と散瞳薬の指導について解説します。

眼底検査とは

眼底検査とは、瞳孔を通して眼球の奥にある網膜・視神経乳頭・網膜血管・脈絡膜などを直接観察する検査です。糖尿病網膜症、高血圧網膜症、緑内障、加齢黄斑変性、網膜剥離などの診断や経過観察に用いられ、全身疾患の血管病変を直接みることができる数少ない検査として臨床的価値が高い検査です。 眼底をしっかり観察するためには、瞳孔が十分に開いている必要があります。通常の明るい環境では瞳孔は縮瞳しており、奥まで光が届かず観察範囲が狭くなるため、検査前に散瞳薬を点眼して人為的に瞳孔を広げる前処置を行います。検査は基本的に暗室で行い、点眼から十分な散瞳が得られるまで時間を要します。

散瞳薬の種類と作用

散瞳薬は瞳孔を開大させる点眼薬で、大きく2種類があります。

抗コリン薬(副交感神経遮断薬)

代表薬はトロピカミドです。瞳孔の大きさを調節する筋肉のうち、副交感神経の支配を受けている瞳孔括約筋を弛緩させることで瞳孔を広げます。同時に毛様体筋も弛緩させるため、ピント調節機能が低下し、近くのものが見えにくくなる調節麻痺も起こります。

交感神経刺激薬

代表薬はフェニレフリンです。交感神経支配を受ける瞳孔散大筋を収縮させて瞳孔を広げます。調節麻痺は起こしにくいのが特徴で、抗コリン薬と併用されることが多くあります。

効果発現時間と持続時間

散瞳薬は点眼後すぐに効果が出るのではなく、十分な散瞳が得られるまでに30〜60分ほどかかります。そのため検査開始の30分以上前に点眼するのが一般的です。 効果の持続時間は通常4〜6時間程度です。この間は瞳孔が開いたままになるため、患者の見え方には次のような変化が続きます。

検査前後の患者指導

検査前に説明すること

散瞳薬の点眼によって瞳孔が大きく開くと、眼に入る光の量が増えるため、患者は強い羞明(まぶしさ)を自覚します。検査前にあらかじめ「光がまぶしく感じます」と伝えておくと、不安が減り検査への協力が得られやすくなります。また、毛様体筋の弛緩によりピント調節ができなくなり、手元の文字が見えにくくなる近見障害が起こることも説明します。

検査後に守ること

散瞳の効果が消えるまでの4〜6時間は、羞明と近見障害が続きます。屋外ではまぶしさを軽減するためサングラスの使用をすすめ、手元の作業や読書も困難になることを伝えます。視力が一時的に低下するため、検査後数時間は自動車・バイク・自転車の運転を避けるよう指導します。高齢者では転倒のリスクもあるため、付き添いや帰宅手段の確認も大切です。なお、調節麻痺による近見障害には老眼鏡や眼鏡では対応できないため、効果が切れるまで待つ必要があります。

散瞳薬の禁忌

散瞳薬の最大の禁忌は閉塞隅角緑内障です。瞳孔が開くと虹彩根部が前房隅角に押しつけられ、房水の流出路である隅角がふさがれて眼圧が急上昇し、急性緑内障発作(眼痛、頭痛、悪心・嘔吐、視力低下)を引き起こす危険があります。そのため散瞳薬を使用する前には必ず緑内障の既往の有無を問診で確認することが重要です。また、抗コリン薬には口渇・頻脈・顔面紅潮などの全身性副作用もみられます。

まとめ

眼底検査では網膜や視神経乳頭を観察するため、検査前に散瞳薬で瞳孔を広げます。代表的な散瞳薬はトロピカミド(抗コリン薬)とフェニレフリンで、点眼後30〜60分で効果が現れ4〜6時間持続します。患者にはまぶしさ、近見障害、運転を避けることを説明し、検査前には必ず閉塞隅角緑内障の既往を確認することが看護師の重要な役割です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    眼底検査の前処置で瞳孔を広げる目的で点眼される薬剤をという。

  2. 2.

    散瞳薬のうち抗コリン薬(副交感神経遮断薬)の代表的な薬剤はである。

  3. 3.

    散瞳薬を点眼してから十分な散瞳が得られるまでの時間はおよそであり、効果の持続時間は4〜6時間程度である。

  4. 4.

    散瞳薬を点眼すると瞳孔が開いて眼に入る光量が増えるため、患者は(まぶしさ)を強く自覚するようになる。

  5. 5.

    抗コリン薬による散瞳では毛様体筋も弛緩してピント調節ができなくなり、手元が見えにくくなるが生じる。

  6. 6.

    散瞳薬の効果が持続している間は視力が低下するため、検査後数時間は自動車などのを避けるよう指導する。

  7. 7.

    散瞳薬使用の最大の禁忌で、瞳孔散大により急性緑内障発作を起こす危険があるため事前の問診で必ず確認すべき疾患はである。

  8. 8.

    眼底検査では網膜・網膜血管・脈絡膜のほか、視神経が眼球を出る部位であるを観察する。

眼底検査と散瞳薬の指導」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。