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網膜疾患の診断と術後管理

成人看護学 / 皮膚・感覚器・耳鼻

解説

今回は網膜疾患の診断と術後管理について解説します。網膜は眼球の最も内側にある光を感じる神経の膜で、ここに障害が起こると視力低下や視野欠損が生じます。代表的な疾患である網膜剥離、加齢黄斑変性、そして網膜と関連の深い緑内障について、症状・検査・治療・術後ケアを順にみていきましょう。

網膜の基礎と検査方法

網膜は神経網膜と網膜色素上皮の2層構造になっており、神経網膜が光を電気信号に変換します。網膜の状態を観察する基本検査が眼底検査です。眼底検査では、瞳孔から眼内を覗き込んで網膜・視神経乳頭・血管の状態を確認します。瞳孔は通常小さくて奥が見えにくいため、検査前に散瞳薬を点眼して瞳孔を大きく広げてから観察します。散瞳後はまぶしさやピントが合いにくい状態が数時間続くため、検査後の運転は避けるよう指導します。あわせて行われる検査には眼圧測定、視野検査(ハンフリー視野計)、光干渉断層計(OCT)などがあります。

網膜剥離

網膜剥離は、神経網膜が網膜色素上皮から剥がれてしまう疾患です。原因により裂孔原性、牽引性、滲出性に分類され、最も多いのは網膜に穴があくことで生じる裂孔原性網膜剥離です。50〜60歳代や強度近視の人に好発します。

症状と診断

前駆症状として、視野の中に光が走って見える光視症と、虫やゴミのような浮遊物が見える飛蚊症が現れます。剥離が進行すると、視野の一部がカーテンが下りるように欠けていきます。診断には散瞳薬で瞳孔を広げてからの眼底検査が必須です。

治療と術後の体位管理

小さな裂孔だけならレーザー光凝固で進行を予防しますが、剥離が広がっていれば強膜バックリング術や硝子体手術が行われます。硝子体手術では、剥がれた網膜を内側から押さえつけるために硝子体腔にガスを注入します。使われるガスはSF6(約2週間で吸収)やC3F8(約6〜8週間残存)などの膨張性ガスで、水より軽く眼内で上方に浮く性質があります。

裂孔は眼球の後極(奥側)にあることが多いため、ガスが裂孔部分を確実に押さえるよう、術後は**腹臥位(うつ伏せ)**で過ごします。これにより裂孔が上方を向き、ガスがタンポナーデとして働きます。腹臥位は数日から1週間以上続くこともあり、褥瘡や頸部・腰部への負担、食事や排泄の工夫が必要です。また、眼内にガスが残っている期間は気圧変動でガスが膨張し失明の危険があるため、航空機への搭乗は禁忌です。

眼底光凝固療法

眼底光凝固療法(網膜光凝固術)は、レーザー光を網膜上の目標部位に照射して凝固させる治療法です。糖尿病網膜症、網膜裂孔や小さな網膜剥離、網膜静脈閉塞症などに適応があります。

手技のポイント

治療はまず散瞳薬を点眼して散瞳下で行います。麻酔は点眼麻酔のみで十分であり、静脈麻酔や全身麻酔は不要で外来通院での治療が可能です。患者の角膜には専用のコンタクトレンズを当て、これを通してレーザー光を網膜上の目標部位に正確に照射します。治療中は固視を保つよう協力してもらい、終了後は散瞳の影響でまぶしさが残るため運転を避けるよう指導します。

加齢黄斑変性

黄斑は網膜の中心部で、視力の最も鋭い部分です。加齢黄斑変性は黄斑が加齢に伴って変性する疾患で、ドルーゼンが蓄積する萎縮型(ドライ型)と、脈絡膜新生血管が生じる滲出型(ウェット型)に分類されます。

症状は、視野の中心が見えにくくなる中心暗点と、物がゆがんで見える変視症です。視野の周辺はみえるのに真ん中だけ見えにくくなる点が特徴です。自己チェックには格子状のアムスラーチャートを用います。滲出型には抗VEGF薬(ラニビズマブ、アフリベルセプト)の硝子体内注射が標準治療です。危険因子は加齢、喫煙、紫外線曝露、高脂肪食であり、生活習慣の指導も大切です。

緑内障の検査

緑内障は視神経が障害され視野が欠けていく疾患で、日本人の中途失明原因の第1位です。開放隅角緑内障は自覚症状に乏しく『沈黙の病』とよばれ、40歳以上の約5%にみられます。視野欠損があっても夜盲や頭痛・悪心がない場合に疑われます。診断には眼圧測定で眼圧の上昇を、眼底検査で視神経乳頭の陥凹拡大や網膜神経線維層の菲薄化を確認します。あわせて視野検査やOCTを行います。一方、急性閉塞隅角緑内障は急激な眼圧上昇により頭痛、悪心、眼痛、霧視をきたす緊急疾患で、早急な眼圧下降治療が必要です。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    網膜剥離の前駆症状として、光が走って見えると、浮遊物が見えるがある。

  2. 2.

    眼底検査の前には薬を点眼して瞳孔を広げる。

  3. 3.

    硝子体手術でガスを注入した後、後極の裂孔を押さえるためにとる体位はである。

  4. 4.

    眼内にガスが残っている期間は気圧変動で膨張するためへの搭乗は禁忌である。

  5. 5.

    加齢黄斑変性の代表的な症状は中心暗点と、物がゆがんで見えるである。

  6. 6.

    滲出型加齢黄斑変性に対しては抗薬の硝子体内注射が行われる。

  7. 7.

    日本人の中途失明原因の第1位はである。

  8. 8.

    緑内障の診断に必要な検査として、眼圧測定とがある。

  9. 9.

    眼底光凝固療法は下で専用コンタクトレンズを角膜に当ててレーザーを照射する。

  10. 10.

    眼底光凝固療法では麻酔を用いるため静脈麻酔は不要で外来通院で実施できる。

網膜疾患の診断と術後管理」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。