間質性肺炎の病態と看護
成人看護学 / 呼吸器系
解説
今回は間質性肺炎の病態と看護について解説します。
間質性肺炎とは
間質性肺炎とは、肺胞の壁(間質)に炎症や線維化が起こる肺疾患の総称です。通常の肺炎(細菌性肺炎など)は肺胞の内腔に膿性の滲出液がたまる病気であるのに対し、間質性肺炎は肺胞と肺胞の間の組織が厚く硬くなっていく点が大きく異なります。原因不明のものを特発性間質性肺炎といい、その代表が**特発性肺線維症(IPF)**です。膠原病や薬剤、塵肺、過敏性肺炎などが原因となるものもあります。
病態と特徴的な身体所見
間質性肺炎では、肺胞壁が線維化することで肺が硬くなり、十分に膨らまなくなります。また、肺胞壁が厚くなることで酸素が血液中に拡散しにくくなり、ガス交換障害が起こります。 聴診では、両側下肺野を中心に、吸気の終末で「パリパリ」「ベリベリ」と聞こえる**捻髪音(fine crackles)が特徴的です。慢性的な低酸素状態が続くと、指先がばち状にふくらむばち状指(clubbing finger)がみられます。胸部CTでは網状影や輪状影、進行例では蜂巣肺(honeycombing)**と呼ばれる嚢胞状の変化が下肺野や胸膜直下に出現します。咳嗽は痰を伴わない乾性咳嗽が多く、労作時呼吸困難が徐々に進行します。
換気障害の分類
呼吸機能検査では、%肺活量(%VC)と1秒率(FEV1.0%)の2つの指標で換気障害を分類します。%肺活量は予測肺活量に対する実測肺活量の割合で、80%未満になると肺が十分に膨らんでいないことを意味します。1秒率は努力性肺活量のうち最初の1秒間に吐き出せた量の割合で、70%未満になると息が吐きづらい状態を意味します。 %肺活量が80%未満に低下し、1秒率は70%以上に保たれる病態を拘束性換気障害といいます。「吸えない」病態であり、間質性肺炎や肺線維症、胸郭形成術後、神経筋疾患などでみられます。一方、1秒率が70%未満となるものは閉塞性換気障害で、「吐けない」病態を指し、COPDや気管支喘息が代表です。両者を併せもつものを混合性換気障害といいます。間質性肺炎は典型的に拘束性換気障害を呈します。
呼吸不全の分類
動脈血酸素分圧(PaO2)が60Torr以下となった状態を呼吸不全といいます。さらに動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が45Torr以下に保たれているものをI型呼吸不全、45Torrを超えて二酸化炭素が貯留しているものをII型呼吸不全と分類します。間質性肺炎は拡散障害が主体のためI型呼吸不全を呈することが典型的で、COPDや神経筋疾患のように換気そのものが落ちる疾患ではII型呼吸不全となります。
治療と看護
特発性肺線維症の治療では、ピルフェニドンやニンテダニブといった抗線維化薬が用いられ、進行を遅らせます。低酸素血症が進行した場合は在宅酸素療法(HOT)が導入されます。予後は比較的不良で、急性増悪を起こすと致命的になりやすい点に注意が必要です。
在宅での自己管理指導
看護では呼吸仕事量を減らす生活指導が中心となります。横隔膜を有効に使ってゆっくり深く呼吸する腹式呼吸を習得し、息苦しいときは前傾姿勢を避けて起坐位やファーラー位をとります。動作はゆっくり小分けに行い、呼気に合わせて動くなどエネルギー温存動作を心がけます。肩までつかる入浴は胸郭に水圧がかかり呼吸困難を増悪させるため、半身浴とします。感染は急性増悪の引き金となるため、手洗い・うがい・インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が重要です。SpO2の自己測定と、呼吸困難の急な悪化時には早期に受診する行動も指導します。
まとめ
間質性肺炎は肺胞壁の線維化により肺が硬くなり、拡散障害と拘束性換気障害をきたす疾患です。聴診での捻髪音、ばち状指、CTでの網状影・蜂巣肺、%VC低下・FEV1.0%保持の呼吸機能所見、PaO2低下とPaCO2正常のI型呼吸不全が国試で繰り返し問われる典型像です。看護では腹式呼吸と起坐位を軸とした呼吸仕事量の軽減、感染予防、急性増悪時の早期受診行動の指導が要点となります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
肺胞の壁(間質)に炎症や線維化が起こる肺疾患の総称をという。
- 2.
原因不明に肺の間質が線維化する進行性疾患で、間質性肺炎の代表的な原因疾患をという。
- 3.
間質性肺炎の聴診で両側下肺野を中心に吸気終末に聴かれる、パリパリという特徴的な副雑音をという。
- 4.
慢性的な低酸素状態により指先がばち状に膨らむ身体所見をという。
- 5.
%肺活量が80%未満に低下し、1秒率が70%以上に保たれる換気障害の型をといい、間質性肺炎はこの型を呈する。
- 6.
PaO2が60Torr以下かつPaCO2が45Torr以下に保たれる呼吸不全をといい、間質性肺炎では拡散障害によりこの型となる。
- 7.
特発性肺線維症の進行を遅らせる目的で用いられるピルフェニドンやニンテダニブはに分類される。
- 8.
間質性肺炎患者の在宅管理では、横隔膜を有効に使い一回換気量を増やして呼吸仕事量を軽減するの習得が指導される。
- 9.
胸部CTで進行した間質性肺炎にみられる、嚢胞状の変化が蜂の巣のように集簇する所見をという。
