StudyNurse

新生児バイタルと光線療法

母性看護学 / 新生児期・適応

解説

新生児期は子宮内環境から子宮外環境へ適応していく特殊な時期で、バイタルサインの正常範囲や皮膚・反射の所見が成人や乳児期以降とは大きく異なります。看護師国家試験では、正常な所見を「異常」と誤認しないこと、そして異常を正確に拾い上げることの両方が問われます。ここでは新生児のバイタル基準、生理的所見、そして高ビリルビン血症に対する光線療法について整理していきます。

新生児のバイタルサインの正常値

まず押さえるべきは正常範囲です。腋窩温は 36.5〜37.5℃、心拍数は 110〜160回/分、呼吸数は 40〜60回/分、血圧は収縮期60〜80mmHg程度が目安となります。呼吸数が60回/分を超える状態を 頻呼吸(多呼吸) と呼び、新生児一過性多呼吸(TTN)、呼吸窮迫症候群(RDS)、感染症、先天性心疾患、気胸などの鑑別が必要です。頻呼吸を認めた場合は経過観察と医師への報告が求められます。

また、生後24時間以内の初回排尿・初回排便の確認は極めて重要です。初回排尿がなければ腎・尿路系の奇形を、初回排便(胎便)がなければ 鎖肛ヒルシュスプルング病 を疑う手がかりとなります。生理的体重減少は出生体重の3〜10%以内に収まり、生後3〜4日で最大となり、7〜10日で出生体重に戻るのが通常の経過です。

正常と誤認しやすい新生児の所見

新生児には独特の所見が多く、これを病的と誤解しないことが看護の基本です。腋窩や鼠径部にみられるクリーム状の白色付着物は 胎脂(vernix caseosa) で、皮脂腺分泌物と剥離角質からなり、薄く脆弱な皮膚を乾燥や感染から守ります。無理に洗い落とさず、自然に吸収・剥離させるのが適切です。

顔や体幹に出現する境界不明瞭な紅斑は 新生児中毒性紅斑 で、生後2〜3日に現れ、1週間程度で自然に消退します。消毒や薬剤塗布は不要です。

四肢を屈曲させた姿勢は子宮内肢位の名残であり、股関節は屈曲・外転位で保つのが望ましく、無理に伸展させてはいけません。突然の刺激で両上肢を広げて抱きつくような動きをするのは モロー反射 で、生後3〜6か月で消失する正常な原始反射です。吸啜反射、把握反射、バビンスキー反射、歩行反射なども同様の原始反射に分類されます。

光線療法の原理と看護

新生児黄疸が進行し血清ビリルビン値が治療基準を超えた場合、光線療法(phototherapy) が行われます。波長約 460nm の青色光を皮膚に照射することで、間接ビリルビンが光異性化・光分解され、胆汁や尿中に排泄しやすい水溶性の形に変化します。最終的な目的は、ビリルビンが脳に沈着して起こる 核黄疸(ビリルビン脳症) の予防です。手掌・足底まで黄染が及ぶ、傾眠傾向、哺乳力低下などは進行のサインです。

光線療法中の看護では4つのポイントを押さえます。第一に アイマスク で眼を保護し網膜障害を防ぐこと。第二に おむつ で性腺を遮蔽すること。第三に体温上昇と不感蒸泄増加による脱水を予防するため、30分〜1時間ごとに体温測定を行い、授乳を継続 して水分を補給すること。第四に体位変換で照射面積を確保し、便性変化や皮疹を観察することです。副作用として体温上昇、頻回軟便、皮疹、直接ビリルビン高値児にみられるブロンズベビー症候群などがあります。母児同室型の光線療法器(ビリベッド等)を用いれば、治療と授乳を両立できます。

まとめ

新生児のバイタルは呼吸数40〜60回/分、心拍数110〜160回/分が正常で、頻呼吸は要注意所見です。胎脂・中毒性紅斑・モロー反射・屈曲位はいずれも正常所見であり、触らず・伸ばさず・残すのが原則です。光線療法では460nmの青色光でビリルビンを排泄しやすい形へ変え、核黄疸を予防します。アイマスクと性腺保護、体温管理、授乳継続による水分補給を徹底することが看護のかなめとなります。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    新生児(正期産)の呼吸数の正常範囲は 回/分であり、これを超えると (多呼吸)と判断される。

  2. 2.

    新生児の心拍数の正常範囲は 回/分、腋窩温の正常範囲は36.5〜 ℃である。

  3. 3.

    新生児の腋窩や鼠径部にみられるクリーム状の白色付着物を といい、皮膚を保護する作用があるため無理に洗い落とさない。

  4. 4.

    突然の刺激により両上肢を広げ抱きつくような動きをする原始反射を といい、生後3〜6か月で消失する。

  5. 5.

    光線療法では波長約 nmの 色光により間接ビリルビンを光異性化・光分解し、胆汁や尿中に排泄しやすい形に変化させる。

  6. 6.

    光線療法の最終的な目的は、ビリルビンが脳に沈着して起こる (ビリルビン脳症)の予防である。

  7. 7.

    光線療法中は眼の保護のために を装着し、性腺保護のために を使用する。

  8. 8.

    光線療法中は不感蒸泄の増加により脱水傾向となるため、水分補給を兼ねて を継続することが重要である。

新生児バイタルと光線療法」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。