妊娠期の体重管理と育休
母性看護学 / 妊娠期診断・健康管理
解説
今回は妊娠期の体重管理と、産後の育児を支える制度について解説します。
つわりと初期の食事
つわりは妊娠5〜6週ごろから始まり、12〜16週ごろには軽快することが多い妊娠初期の生理的反応です。空腹時に胃酸や血糖の変化で嘔気が増強しやすいため、空腹時間を作らないように少量を頻回に摂取することが基本のセルフケアになります。食べ物を冷やす・室内をよく換気するなどの匂い対策、水分は一度に大量に摂らずこまめに少量ずつ、ビタミンB6を含む食品(魚・バナナなど)を取り入れる工夫も有効です。体重が非妊時から5%以上減少したり、尿ケトンが陽性、明らかな脱水徴候がみられる場合は妊娠悪阻として医療介入が必要となります。
妊娠期の体重増加の目安
妊娠期の体重増加は、母児の健康のために適正な範囲に管理することが重要です。妊娠前のBMIを基準に、推奨される体重増加量が定められています。
BMI別の推奨体重増加量
やせ(BMI 18.5未満)は12〜15kg、ふつう(BMI 18.5〜25.0未満)は10〜13kg、肥満1度(BMI 25.0〜30.0未満)は個別対応で概ね5kg程度、肥満2度以上(BMI 30.0以上)は個別対応が基本です。
体重増加の偏りによるリスク
過度の増加は妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、巨大児のリスクを高め、増加不足は低出生体重児や早産のリスクを高めます。ふつう体格の妊婦では、おおむね10〜13kgを目安に、急激な増減を避けて緩やかに増えるよう食事と運動で調整します。
妊娠中の経過観察と両親学級
妊婦健診では、母児の状態を把握するためにバイタルサインや自覚症状の変化を確認します。血圧は140/90mmHg未満が正常範囲とされ、これを超える場合は妊娠高血圧症候群を疑います。便通については妊娠による腸蠕動の低下や子宮増大の影響で便秘傾向となりやすいものの、毎日排便がなくても腹部膨満や苦痛がなければ正常範囲と判断します。胎動の自覚は初産婦で妊娠18〜20週ごろ、経産婦ではやや早い時期から感じられるようになります。
両親学級
両親学級は妊娠・出産・育児に関する知識を学ぶ場であると同時に、同じ時期に出産を控える妊婦・夫婦同士が交流し情報を共有できる場でもあります。仲間づくりを通じて妊娠中や産後の孤立感の軽減につながるため、参加を勧めることが看護として有効です。
産後の支援と育児・介護休業法
産後の子育てを支える制度として、育児・介護休業法に基づく育児休業は男女を問わず取得でき、会社員の夫も要件を満たせば対象となります。
育児休業
原則として子が1歳に達する日まで取得でき、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長が可能です。
産後パパ育休(出生時育児休業)
父親が育児に参加しやすいよう、子の出生後8週以内に4週間まで取得でき、2回まで分割取得できる制度です。
その他の支援
短時間勤務制度は子が3歳未満の労働者を対象に、時間外労働の制限・深夜業の制限は小学校就学前まで利用できます。育児休業中は雇用保険から育児休業給付金が支給されます。
産褥期の正常経過
産褥期は分娩後に母体が妊娠前の状態へ戻っていく時期で、子宮復古や悪露、乳汁分泌の変化を観察します。産褥1日には子宮底は臍下1横指程度に下がり、悪露は血性(赤色悪露)で量は減少傾向となります。乳汁分泌はにじむ程度で本格的な分泌は産褥2〜3日以降に増加します。また、産後直後は分娩時の膀胱・尿道の圧迫や会陰部痛の影響で**一過性に排尿障害(尿意の鈍化や残尿感)**がみられることがあり、定期的な排尿促しと残尿確認が重要となります。
まとめ
妊娠初期のつわりには空腹時間を作らない少量頻回食が基本で、体重管理は妊娠前BMIに応じた目安(ふつう体格で10〜13kg)に沿って急激な増減を避けます。妊娠中は血圧140/90mmHg未満や胎動自覚(初産婦で18〜20週ごろ)などの正常範囲をふまえて経過を観察し、両親学級は仲間づくりの場としても活用できます。産褥1日には子宮底臍下1横指・血性悪露の減少・にじむ程度の乳汁分泌・一過性排尿障害といった正常経過がみられます。産後の子育て支援としては育児・介護休業法に基づく育児休業や産後パパ育休が男女ともに利用でき、家族構成や支援者の状況をふまえて活用を勧めることが看護のポイントとなります。
確認問題(穴埋め)
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- 1.
妊娠初期のつわりに対するセルフケアでは、空腹時に嘔気が増強しやすいためが基本となる。
- 2.
妊娠前のBMIが18.5以上25.0未満の「ふつう」体格の妊婦における妊娠中の推奨体重増加量はおよそkgである。
- 3.
妊娠中の過度の体重増加は、妊娠糖尿病や巨大児に加え、母体の高血圧・蛋白尿を主徴とするのリスクを高める。
- 4.
妊娠中の体重増加不足は、出生時体重2,500g未満のや早産のリスクを高める。
- 5.
育児・介護休業法に基づき、男女を問わず原則として子が1歳(最長2歳)に達する日まで取得できる休業をという。
- 6.
父親が子の出生後8週以内に4週間まで取得でき、2回まで分割取得できる制度をという。
- 7.
育児休業中の所得保障として、から育児休業給付金が支給される。
- 8.
妊娠中の血圧は収縮期140mmHg未満かつ拡張期mmHg未満が正常範囲とされる。
- 9.
初産婦が胎動を自覚し始める時期はおよそ妊娠週ごろである。
- 10.
妊娠・出産・育児の知識習得とともに、同時期に出産を控える妊婦同士の交流・情報共有の場として活用される教室をという。
- 11.
産褥1日の正常な子宮底の高さは程度である。
- 12.
産褥1日の悪露はで、量は減少傾向となる。
- 13.
産褥1日の乳汁分泌は本格的ではなく、圧迫すると程度であることが多い。
- 14.
産後直後には膀胱・尿道の圧迫や会陰部痛により、一過性にがみられることがある。
