StudyNurse

妊婦・育児の労働法規

母性看護学 / 母性看護総論・その他

解説

今回は妊婦・育児の労働法規について解説します。働く女性が安心して妊娠・出産・育児を経験できるよう、日本では複数の法律で母性保護や育児支援が定められています。看護師国家試験では、どの制度がどの法律に規定されているかを正確に識別する力が問われます。

母性保護に関わる3つの法律

働く妊産婦と育児中の労働者を守る法律は、大きく分けて3つあります。1つ目は労働者の労働条件の最低基準を定める労働基準法、2つ目は雇用上の男女平等と母性健康管理を定める男女雇用機会均等法、3つ目は仕事と育児・介護の両立を支援する育児・介護休業法です。それぞれが担当する範囲が異なるため、制度ごとに根拠法を整理して覚えることが重要です。

労働基準法の母性保護規定

労働基準法は、産前産後の休業や危険業務の制限など、妊産婦の「働き方そのもの」を制限する規定を置いています。妊産婦とは妊娠中の女性と産後1年を経過しない女性のことを指します。

産前産後休業

労働基準法第65条では、出産予定日を基準に産前6週間(多胎妊娠では14週間)以内に休業を請求した女性を就業させてはならないと定めています。一方、産後については原則として産後8週間を経過しない女性を就業させてはならず、これは本人の請求を必要としない強制的な就業禁止です。ただし産後6週間を経過した女性が請求し、医師が支障ないと認めた業務に就かせることは差し支えありません。

軽易業務への転換と危険有害業務の制限

第65条第3項では、妊娠中の女性が請求した場合、他の軽易な業務へ転換させなければならないとされています。また第64条の3では、妊産婦などについて重量物を取り扱う業務や有害ガスを発散する場所での業務など、妊娠・出産・哺育に有害な危険有害業務への就業を制限しています。

時間外・休日・深夜業の制限

第66条では、妊産婦が請求した場合に時間外労働、休日労働、深夜業をさせてはならないと規定しています。変形労働時間制をとっていても、法定労働時間を超えて働かせることはできません。

育児時間

第67条では、生後満1歳に満たない生児を育てる女性労働者は、休憩時間とは別に1日2回、各々少なくとも30分の育児時間を請求できると定めています。育児時間は授乳や保育園送迎の実情に応じて活用される制度で、対象は女性のみである点に注意が必要です。

男女雇用機会均等法の母性健康管理措置

男女雇用機会均等法は、健診時間の確保や医師の指導事項に応じた勤務軽減など、母性の「健康管理」に関する措置を事業主に義務付けています。

妊婦健康診査の受診時間の確保

第12条では、事業主は雇用する女性労働者が母子保健法に基づく保健指導または健康診査を受けるために必要な時間を確保しなければならないと定めています。妊娠23週までは4週間に1回、24〜35週は2週間に1回、36週以降は1週間に1回が基本の健診回数です。

指導事項を守るための措置

第13条では、医師等から受けた指導事項を守ることができるよう、通勤緩和(時差出勤)、休憩時間の延長、勤務時間の短縮、症状に応じた作業の制限などの措置を事業主に義務付けています。医師の指導内容を事業主へ正確に伝えるために用いられる書面が**母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)**です。

育児・介護休業法による育児支援

育児・介護休業法は、男女を問わず労働者が仕事と育児を両立できるよう支援する法律です。

育児休業

原則として子が1歳に達するまでの期間、男女ともに取得できる休業で、保育所に入所できないなどの事情があれば最長2歳まで延長可能です。育児時間(労働基準法)とは別の制度であり、根拠法・対象・期間がすべて異なるため混同しないよう整理が必要です。

子の看護休暇と所定外労働の制限

小学校就学前の子を養育する労働者は、子の看護休暇を年5日(子が2人以上は10日)まで取得できます。また、3歳未満の子を養育する労働者が請求すれば所定外労働が免除され、小学校就学前の子を養育する労働者が請求すれば深夜業も制限されます。

まとめ

妊婦・育児に関わる労働法規は、産前産後休業・軽易業務転換・危険有害業務制限・時間外労働の制限・育児時間が労働基準法、妊婦健診時間の確保と指導事項を守るための措置が男女雇用機会均等法、育児休業や子の看護休暇が育児・介護休業法、というように制度ごとに根拠法が分かれています。「働き方そのものの制限は労基法」「健診時間や指導事項対応は均等法」「育児休業は育介法」と整理して覚えると、国試で確実に得点できます。

確認問題(穴埋め)

空欄をタップすると答えが表示されます。

  1. 1.

    労働基準法第65条では、出産予定日を基準に産前週間以内(多胎妊娠は14週間)に休業を請求した女性を就業させてはならないと定めている。

  2. 2.

    労働基準法第65条により、産後は原則として週間を経過しない女性を就業させてはならない。

  3. 3.

    労働基準法第67条は、生後満1歳に満たない生児を育てる女性労働者が休憩時間とは別に1日2回、各々少なくとも分の育児時間を請求できると規定している。

  4. 4.

    妊娠中の女性労働者が妊婦健康診査を受けるために必要な時間の確保を事業主に請求できることを規定している法律はである。

  5. 5.

    男女雇用機会均等法第13条に基づき、医師から受けた指導内容を事業主に正確に伝えるために用いられる書面をという。

  6. 6.

    産前産後休業、軽易業務への転換、危険有害業務の就業制限、時間外・深夜業の制限、育児時間を規定している法律はである。

  7. 7.

    育児休業や子の看護休暇など、男女を問わず仕事と育児の両立を支援する制度を規定している法律はである。

  8. 8.

    育児・介護休業法に基づく育児休業は、原則として子が歳に達するまでの期間取得でき、保育所に入所できないなどの事情があれば最長2歳まで延長可能である。

妊婦・育児の労働法規」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。