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発達理論(ピアジェ・エリクソン)

小児看護学 / 小児の心理発達・権利・社会

解説

発達理論とは、人間が誕生から老年期に至るまでに、どのように心や思考、社会性を変化させていくのかを体系的に説明した理論のことです。今回は看護師国家試験で頻出となるピアジェの認知発達理論エリクソンの心理社会的発達理論について解説します。子どもの看護や患者教育では、対象者がどの発達段階にあり、どのような思考様式や心理的課題を抱えているかを理解することが、適切な看護援助の土台となります。

ピアジェの認知発達理論

ピアジェ(Piaget, J.)はスイスの心理学者であり、子どもの思考の発達を観察し、認知の発達を4つの段階に分類しました。各段階で子どもがどのように世界を理解しているかを把握しておくことが重要です。

感覚運動期(0〜2歳)

感覚運動期とは、見る・触れる・なめる・つかむといった感覚と運動を通して外界を認識する段階です。この時期の重要な獲得は対象の永続性で、目の前から物が見えなくなっても存在し続けると理解できるようになります。生後8か月ごろから始まる人見知りも、養育者を他者と区別する認知発達の表れです。

前操作期(2〜7歳)

前操作期とは、言語や象徴(イメージ)を使って物事を表現できるようになる一方で、論理的な操作はまだ獲得されていない段階です。前操作期はさらに象徴的思考段階(2〜4歳)と直観的思考段階(4〜7歳)に分けられます。

この時期の代表的な特徴は自己中心性で、自分の視点からしか物事をとらえられず、他者の立場に立って考えることが難しい状態を指します。また、無生物にも心や意思があると考えるアニミズム、悪いことをすると罰として病気やけがになると考える内在的正義も典型的です。たとえば「ばい菌が体内に入って病気になる」と擬人的・具象的にとらえる思考は、目に見えない原因を象徴化して理解する前操作期の特徴です。さらに、液量を細いコップに移しかえると量が増えたと感じるなど、見た目に左右される直観的判断もみられます。

具体的操作期(7〜11歳)

具体的操作期とは、目の前にある具体物に対しては論理的な思考ができるようになる段階です。保存の概念(容器を変えても量は変わらない)を獲得し、可逆的な思考や系列化、分類が可能になります。ただし、抽象的・仮説的な事柄を扱うことはまだ困難です。

形式的操作期(11歳以降)

形式的操作期とは、具体物を離れて抽象的・仮説演繹的な思考ができるようになる段階で、論理的推論や仮説検証が可能となります。

エリクソンの心理社会的発達理論

エリクソン(Erikson, E. H.)はアメリカの精神分析家で、人生全体を8段階に分けた漸成的発達理論を提唱しました。各段階には対立する2つの心理社会的課題があり、それを乗り越えることで対応する基本的強さ(徳)を獲得すると考えました。

8つの発達段階と課題

乳児期(0〜1歳)の課題は基本的信頼 対 基本的不信で、養育者から一貫した愛情とケアを受けることで世界と他者への信頼を獲得し、「希望」が育ちます。幼児前期(1〜3歳)は自律性 対 恥・疑惑で、排泄の自立などを通して自分で行う力を養い「意志」を獲得します。幼児後期(遊戯期、3〜6歳)は自主性 対 罪悪感で、自ら活動を始める力と「目的」を得る時期です。

学童期(およそ6〜12歳)の課題は勤勉性 対 劣等感で、学校や家庭での学習や活動を通じて成功体験を積み重ね、勤勉性と「有能感」を獲得します。失敗体験が続くと劣等感を抱きやすくなるため、この時期の支援は重要です。

青年期は同一性 対 同一性拡散で、自分は何者かを問い「忠誠」を獲得します。初期成人期は親密性 対 孤立で「愛」、成人期は世代性 対 停滞で「世話」、老年期は統合 対 絶望で「英知」を得るとされます。

発達理論の臨床的意義

これら2つの理論は、看護の場面で対象を理解するうえで欠かせない視点を提供します。たとえば前操作期の子どもには、病気を擬人化したり絵やぬいぐるみを使って説明することが効果的です。学童期の入院児には、学習の遅れや「できない自分」への劣等感に配慮し、達成可能な課題で成功体験を保障することが求められます。

まとめ

ピアジェは認知発達を感覚運動期・前操作期・具体的操作期・形式的操作期の4段階に分類し、年齢ごとの思考様式を示しました。エリクソンは人生を8段階に分け、各段階の心理社会的課題を整理しました。とくに前操作期の特徴である自己中心性やアニミズム、学童期の勤勉性 対 劣等感、乳児期の基本的信頼 対 基本的不信は国家試験で頻出ですので、年齢区分とともに確実に押さえておきましょう。

確認問題(穴埋め)

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  1. 1.

    ピアジェの認知発達理論において、0〜2歳の段階をといい、目の前から物が消えても存在し続けると理解するを獲得する。

  2. 2.

    ピアジェの認知発達段階で、2〜7歳の段階をといい、自分の視点からしか物事をとらえられないが特徴である。

  3. 3.

    前操作期に無生物にも心があると考える特徴をといい、悪いことをすると罰として病気になると考える特徴をという。

  4. 4.

    ピアジェの認知発達段階で、7〜11歳の段階をといい、容器を変えても量は変わらないとするの概念を獲得する。

  5. 5.

    ピアジェの認知発達段階で、11歳以降の段階をといい、抽象的・仮説演繹的な思考が可能になる。

  6. 6.

    エリクソンの心理社会的発達理論において、乳児期(0〜1歳)の発達課題は対基本的不信であり、獲得される基本的強さはである。

  7. 7.

    エリクソンの理論において、幼児前期の課題は対恥・疑惑、幼児後期(遊戯期)の課題は対罪悪感である。

  8. 8.

    エリクソンの理論において、学童期(6〜12歳)の心理社会的課題はであり、成功体験を通じて有能感を獲得する。

  9. 9.

    エリクソンの理論において、青年期の課題は同一性対であり、自分は何者かを問う時期である。

  10. 10.

    「ばい菌が体内に入って病気になる」と目に見えない原因を擬人化・具象化してとらえる思考様式は、ピアジェの認知発達段階のうちの特徴である。

発達理論(ピアジェ・エリクソン)」の過去問演習

※公式問題・正答は厚生労働省公開資料をもとに整理しています。